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77話 魔法+科学=混ぜるな!危険!

前回のあらすじ「合体ロボは出ません」

―「聖カシミートゥ教会付近」―


「先手必勝!呪縛!」


「グラビティ!」


「グオオオオーー!!??」


 ワイバーン戦で大活躍した重力変化魔法で相手を地上に落とせないかを試す……が。


「コザカシイ!!クラエ!!」


 悪魔が手に平に巨大な炎の球を作り出し、それをこちらに投げ飛ばす。重力操作によってその動きは遅くなっていたためその攻撃を僕たちは難無く避ける。でも、どうやらこいつ自身を地面に落とせそうには無い。


「……やばいね」


「そうッスね……」


 こいつの今の攻撃は空に向かって放たれたから良かったものの、これが地上方向に向かって放たれたら町が大惨事になる。


「避けるにしても気を付けないと行けないし……かと言ってあの火の球を相殺ってのも……」


 ダンプカーサイズの火の球を相殺するのは確かに難しい……。とりあえず、絶えず魔法による遠距離攻撃と移動を繰り返し泉たちと作戦を立てる。


「翼は……ダメかな?」


「効いているようには見えないッス」


「人なら弱点になるような個所に攻撃が当たっても平気みたいなのです」


「雷による攻撃キャンセルが一番有効かな?彗星は撃てないし……」


「下は町なのです。逃げ遅れた人がいたら大変な事になるのです。ここは上級魔法の津波がいいかと」


「となると、うちらはトルネードかダイダルウェーブッスね」


「……薫兄なら獣王撃もありじゃない?後はさっきの雷刃からの放電攻撃とか」


「そうだね……あの巨体にどれだけ効果があるか分からないけど……」


 そして僕は移動しながらロロックを見る。先ほどからの悪魔の攻撃は威力は弱いが広範囲に散らばるスプレッド・ファイヤーボールで僕たちを狙っている。威力が弱いとは言ったが、一発でも喰らったら大火傷は免れない。町に当たらないように僕たちは悪魔より常に上を保ちつつ高速で移動し続けている。


「……これじゃあ近づけないね」


 すると、ロロックの顔の近くで小規模な爆発が起こる。そこに燃え上がる炎の剣を持ったカーターたちが先ほどから術を出している右手へ頭から振り下ろした渾身の一撃を加える。腕には大きな切り傷が出来るが切断には至らない。それに対して悪魔がカーターたちを左手で払う動きをとろうとするが、シーエさんたちが頭上に巨大な氷の塊を落として行動を遅らせる。カーターたちはその隙に悪魔から距離を取り、僕たちと合流した。


「カーター。サキ。様子はどう?」


「フランベルジュでの渾身の一撃があれだ……正直に言って難しいな」


「カシー達のオクタ・エクスプロージョンが一番効果的ね」


「悪魔たちを吹き飛ばしたあの爆発呪文?」


「そうだ。一気に8回の爆発を起こす呪文。それを直撃させれば……そこに俺のフレア・カラミティにシーエ達の必殺技で何とか押し通せば……」


「そういえば、あなたたちはどうやって悪魔を倒したの?」


「薫の雷刃ッスよ。悪魔に剣を突き刺して、そのまま電気を流し続けたッス」


「そしたら最後のごり押しでそれをやってもらうしかないな……」


「だね……全員の必殺技を連撃で決めないといけないね」


「あれだけの巨体。そして体力がどれだけあるか分からない以上、長期戦は厳しいのです」


「それに町にも被害が大きくなるぜ」


 今、現在あっちこっちから煙が上っている。恐らくコンジャク大司教の指揮の元で避難と同時に消火作業も行われていると思うが……。そんな事を考えているとシーエさんたちも合流する。


「先ほどからの攻撃で有効なのは……頭ですかね」


「翼が折れれば少しは戦いやすくなるかと思ったが……」


「……カーターさん。それは無理みたい。あれ」


 泉が悪魔に指を差す。悪魔を見ると、カーターが与えた右腕の切り傷が異常な速さで塞がっていく。また翼も爆発によって穴が開いていたり、焦げていたがそれも治っていく。その治り方はまるで蛆虫が傷口へ這って覆い隠すようにも見えた。


「ケガしたらすぐ治るって……こんなゲームのボスキャラいたよね」


「それなら反射呪文をかけて回復阻害なんだけどね……あれは間違っても反射されたくないんだけど?」


「分かる」


「お前等、余裕だな」


「いや?マーバ。これでもかなり真剣に考えているから。とにかく、あれを倒すには回復も間に合わないような強力な呪文で連続攻撃を仕掛けないと勝てないっぽいね」


「そうですね……」


「クソ!!ウットシイ蠅ガ!!」


 悪魔が今度はその両手を上に構えて、両手から複数の炎の球を放つ。


「ウォーターシールド!」


「フレイムシールド!」


 カーターたちが僕たちを守るように盾魔法を放つ。それによって何とか防いでいるが長くはもたなそうだ。


「とにかくここは分かれて動きましょう」


「そしたら盾魔法を放っている俺たちとシーエたちで分かれて……泉たちは俺たちといくぞ!」


「分かりました!」


「そうしたら薫さんはこちらへ!」


 一ケ所にいると猛烈な攻撃を受けてしまう為、二組に分かれる。二組分かれた僕たちに対してどんな攻撃に転ずるかと思ったら、ノータイムでこっちに攻撃を向けて来る。


「ニガスカ!!」


「薫!私たちの盾があるうちに攻撃を仕掛けろ!」


「オッケー!レイス行くよ!雷連撃!」


 頭上から雷を連続で落とす。的が大きいため全弾命中する。


「グアーーーー!!!!」


「攻撃をキャンセルできたのです!」


「うん!」


「……一時的に行動不能とは。便利ですね。それ」


「泉が、サンダーまでならいける!って言ってたので単発ならできると思うよ」


「……この戦いが無事に終わったら練習しますか」


「そだな……」


 そんな会話をして少し緊張を解したところで、悪魔攻略の策を考える。やっぱり強力な魔法の連続攻撃からのトドメの雷刃の放電が有効かな?


「薫さん!すいません!」


「うん?何ですか?」


「カシーがこちらに合図を送ってます。あれは、どうする?って言ってますね」


 見るとカシーさんが教会の崩れた壁の所から光の球を出している。その光は不規則な点滅をしていた。モールス信号みたいなものか。


「どうするか一度相談したいですね……」


「そうしたら二人はカシーさんの所へ!僕たちが攻撃を引き付けるよ!」


 悪魔の攻撃を見ていると、その攻撃の多くは僕たちを狙っているのが分かる。どうやら雷を自由自在に操る僕がこの中で一番危険と判断されているようだ。そうでなければ、強烈な連続爆発呪文を放つカシーさんがいる聖カシミートゥ教会をまず狙うはずだろうし。


「お願いします。マーバ!」


「そうしたらいくぜ!アイスキャノン!」


 シーエさんたちの前に大きな氷の塊が発生。それが悪魔に向かって飛んでいく。アイスランスの強化版みたいな呪文か。


「フン!」


 それをロロックが同じく巨大な火球で相殺する。一瞬で氷は解けて白い水蒸気となって一時的に視界を遮った。その隙に僕たちはシーエさんたちと分かれたのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―薫達が分かれるほんのちょっと前「聖カシミートゥ教会・上空」泉視点―


「完全に無視されてるなこれは」


「そうね」


 カーターさん達の炎を盾にして攻撃から抜けた私達。その攻撃はどうなるかと思ったらあっさりと止んで、その攻撃を薫兄達に注がれていた。


「神霊魔法を放つ薫達を執拗に狙っているッスね」


「仕方ないわ。私達の世界での雷の認識は神の鉄槌。そんな伝説の魔法を何度も唱えられたら狙いたくなる気持ちになるわ」


「私達も単発なら使えるんだけどね……」


「それはここぞという時に撃ってくれ。一時的に行動不能にするその攻撃は切り札になる」


「分かりました」


「カーター!あれ!カシーが合図を送っているわ!」


「あれは……どうする?か。シーエ達に向けてだな」


「分かるんですか?」


「ああ。光の点滅とその光球を持つ腕で、どちらに何を言いたいかが分かる」


「流石、戦闘のプロですね」


「国内の防衛に携わってるからな。となるとシーエ達、一度教会まで飛んで相談する気だな」


「攻撃を分断しますかね?」


「いや。それは無い。恐らく全力で、一番の脅威である薫たちを倒すために集中砲火する。そうじゃなければ、教会から動いていないカシーたちをすぐさまに潰すはずだしな」


「そういえば……」


 そういえば、雷を落とされた後、アイツは薫兄達に執拗に攻撃をしていた。計画を邪魔されたからと思っていたけど……そうじゃなかったんだ。


「そうしたら攻撃をして少しでもこっちに気を引かないといけないわね」


「そうだな」


「なら……上級呪文いきますか!フィーロいくよ!トルネード!」


 アイツの周りに風の渦が巻き起こる。でもこれ自体では大したダメージは与えられていないみたい……。


「カーターさん!スプレッド・ファイヤーボールを飛んでいるアイツの足元の地面に向かって撃って!出来ればステッキィで!」


「わ、分かった!スプレッド・ステッキィ・ファイヤーボール!」


 カーターさん達が呪文を唱えると複数の炎の球がカーターさんの周りに発生する。そして剣を振るうとその炎の球が飛んでいる悪魔の真下の地面に広範囲に着弾。粘性のある火がそこで燃え続ける。


「出力最大!」


「うッス!……ってこれどうなるんッスか?」


「これで上手くいく……はず」


「はず。なの!?」


「うん」


 すると、燃え続けている火が徐々にトルネードに引き寄せられていく。あ、上手くいきそう。


「よし!いくよ!ファイヤーストーム!!」


 炎がトルネードの勢いでどんどん巻き上げられていく。砂埃を巻き上げていたため薄い茶色していたトルネードが鮮やかなオレンジになっていく。そして少し離れたこの場所からでもその熱さが分かる。


「ちょ!ちょっとアレ何よ!!」


「ファイヤーストーム。大規模な火災とかで見られる現象を魔法で人工的に造ったの。高温の暴風で、あれの内部にいたら基本は呼吸器官が焼かれて窒息死。周辺には輻射熱による被害をもたらすわ。とはいっても周辺の住人は避難しているから輻射熱の被害は無いとは思うけど……この前の火事の時に薫兄が豆知識で話してくれたんだけどね」


「……おい。死んだんじゃないかあれ?」


「え?……どうだろう?」


 先ほどから轟々と燃えつつ渦を巻く炎。それに飲み込まれている悪魔……あれ?もしかしてヤった?


「グッヅゾガアアアアーーーー!!!!」


 悪魔の怒号と共に猛烈な突風が起こり、ファイヤーストームを掻き消した。どうやらご自慢の羽で消したようだ。しかし、さっきのあれでかなりの火傷のダメージが入ったらしく回復が間に合っていない。それに先ほどの声もどこかくぐもっていたので、喉も焼かれたみたいだ。


「チャンスよ!」


「ああ!泉!この位置から支援攻撃を頼む!一気に決めるぞ!」


「分かりました!」


 カーターさん達が炎の剣を構えて、ボロボロの悪魔に突っ込んでいった。


「……意外な大ダメージが入って良かったッスね」


「……ゲームの合体魔法をイメージしてやっただけなんだけどね」


 ふと思いついた攻撃だったけど……まあ、いっか!

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