↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームのラスボスですが、勇者と結婚することになりました。  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
58/60

のらりくらり

 私が目覚めた後、シリルは今回の事後処理で、外出が増えてしまう。

 帰宅は深夜になることもあり、数日、シリルとほんとど顔を合わせることができなくなってしまった。

 でも仕方ない。

 今回もいろいろあったのだから。


 そうしている間にキルが目覚めた。


 黒のワームと黒のギガースを殲滅したのは、キルということになっている。

 かつその時、私は大量の黒のワームと恐ろしい黒のギガースに囲まれ、意識を失ったことになっていた。よって私に対するヒアリングはなく、それはキルに集中する。


 そこは申し訳ないなぁと思いつつも。


 キルは自身の身分を偽っていたのだ。しかも不死身であることを私に知らせず、いかにも「自分はもうダメだ……」みたいな雰囲気を醸し出していたのだから……。長時間の聴取は、耐えてもらうことにした。


 その聴取の合間に、つまりは昼食をキルととることができたのだ。


 会議室に缶詰状態だからと、キルは城の中庭の東屋(ガゼボ)での昼食を提案した。


 そこでローズレッドの濃淡のグラデーションになったドレスを着て、中庭へと向かうことになった。東屋に続く小径を歩きながら頭上を見上げると、レッドドラゴンによる火災もなくなり、よく晴れた空を見渡すことができた。


 護衛を兼ね、私をエスコートして歩くセインは、自身の髪色と同じセットアップに空色のマントを身に着けている。その姿は秀麗であり、中庭に面する廊下を歩く貴族や使用人の女性達が、チラチラと見ている様子が伝わってきた。


 前世では。例え推しがいても、日々の生活の中で出会いがあれば、結婚する人は、結婚している。セインが私を推しとして応援してくれるのは嬉しいが、彼にだって幸せになって欲しい。いつかこのセインの銀色の瞳を虜にする令嬢が現れてくれればいいのに。


 そんなことを考えているうちに東屋へと到着した。


「やあ、オデット、よく来てくれた!」


 珍しくハグで迎えられ、面食らうが、アンティークグリーンのセットアップ姿のキルに、チークキスをする。


 東屋の中には、アイアン製のテーブルと椅子が置かれていた。

 テーブルには白いクロスが敷かれ、既に美しい花と共に、大皿に乗せられた料理が並べられている。

 肉と魚料理、焼きたてのパン、ポテト……。

 香辛料の、食欲をそそる匂いが漂っている。


 まずは着席し、食前酒で軽く乾杯となった。


 東屋から少し離れた場所に、セインとシアとペルが待機している。


「シリルから聞いたと思うが、そういうことだ」


 キルは早速肉料理を自身の皿に取り分けながら、そう切り出した。

 「そういうことだ」で全部済ませるところは、キルらしいというか、なんというか。

 でも本当に。

 キルが魔族の始祖であり、初代魔王であるが、でも知るのはシリルと私と本人だけだ。

 その一言で済ませるしかないだろう。


「ずっと身分を明かさず、生きているのか?」


「そうだな。最初の頃は、皆、私を知っていた。だが人間達との戦が始まると、次第に命を落とす者も増え、私を知る者も減っていく。それに子沢山だから、上が詰まっていると困るだろう? そこでまあ、初代魔王から退き、後はのらりくらりやってきたわけだ」


「自分を知る者が減ることは、寂しいことではなかったのか?」


 白身魚のフライを食べながら尋ねると、キルは「ははははは、そうきたか」と朗らかに笑う。


「しつこく浮気を責められることもないし、大きな失敗も忘れてもらえる。それに新たに私を知る人もできるわけだから。寂しいなんてことはない。まあ、ただな。心から愛した人間の女がいても、どうしたって別れがきてしまうということだ」


 思いがけずこのキルの言葉には、ドキリとすることになる。

 シリルは人間なのだ。

 だが乙女ゲームにおいて、ヒロインであるフィオナに選ばれた攻略対象は、魔王討伐の成果と共に、長寿のギフトが与えられる。フィオナが聖女であるからこそ、与えられるギフト。しかしシリルはヒロインに攻略されていない。


 長寿ギフトは……手に入れていないだろう。


 そうなると私は……キルと同じ。

 心から愛したシルとは別れを迎え、でも私は生き続けることになる……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢は王太子直属の護衛騎士に~溺愛付きのジョブチェンなんて聞いていません~
『婚約破棄された悪役令嬢は王太子直属の護衛騎士に~溺愛付きのジョブチェンなんて聞いていません~』

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。