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乙女ゲームのラスボスですが、勇者と結婚することになりました。  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中


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君と自分だけの秘密だ

「オデット様、お目覚めになったのですね!」


「オデット様、気分はどうですか!?」


 ペルとシアがのぞき込んでいる。

 状況を理解しようとすると……。


「今、シリル様を呼んできます!」とシアがそばを離れ、残ったペルが「起き上がりますか?」と聞かれ、頷いて上体を起こす。自分が白い寝間着姿であることに気づく。そういえばペルとシアも、メイドのように、黒のワンピースに白いエプロン姿だ。


 ここはどこなのだろう……?


 私が上体を起こし、枕に背を預けると、ペルが話し出した。


「オデット様はキル様と共に、黒のワームと黒のギガースを殲滅したことになっています。倒したのはキル様で、オデット様は逃げ遅れたということになっていますから。魔力の件はバレていません!」


 そう言うとペルが、グラスに注いだ水を差し出してくれる。

 それを受け取り、水を一口飲む。

 喉が渇いていたのか、ごくごくと残りも飲んでしまう。


「コロン原生林の一部は、火山噴火後のような状態でした。それが収まってから、シリル様とレウェリン様、それにセイン様も。再びコロン原生林へお戻りになり、倒れているオデット様とキル様を発見。ヴィレンドレーへ連れ帰ったのです。ここはヴィレンドレー城の客間。裏門に陣取っていた魔族は殲滅され、逃走した魔族も捕えられました。すべて、終わりましたよ」


 すべてが終わった。


 いや、でも私はキルのことを……。

 血の気が引く思いになった時。ドアがノックされるのと同時に開き、シリルが飛び込んできた。


 空色のシャツに白のズボンと、眩しいほどの爽やかなシリルを見て、ついさっきまで見ていた夢の中の少年シリルの姿が重なる。十五歳のシリルと私は、確かに会っていた。それを夢の中で思い出していたのだ。


「オデット!」


 ふわりと抱き寄せられ、そしてギュッと全身でシリルを感じると、涙が自然とこぼれ落ちる。


「ちゃんと約束を守ってくれてありがとう、オデット。生きて自分の元へ戻って来てくれた」


「シリル……。だが私は叔父上を……」


 「……ああ、キル殿か」となぜかシリルがため息をつく。

 命を落としたキルに対する反応としては、随分とよそよそしく感じてしまう。


「シリル、叔父上は」「オデット。生きている」


 これには驚き、言葉が出ない。

 私は……とんでもない炎の魔術を何度もキルにぶつけている。

 そしてキルは、魔力を抑えるためのチョーカーを私の首につけ、目の前で果てたと思ったのに!


「これはオデット。君と自分だけの秘密だ」


 シリルの黄金の髪がサラリと揺れる。

 二人だけの秘密なんて言われると、急にドキドキしてしまう。


「キルは魔王だ」「え?」


 ぽかんとする私を見て、シリルがふわっとキスをする。

 そちらに意識を持っていかれそうになるが、今とんでもない情報がもたらされたと思った。


「シリル、叔父上は……」


「叔父、などではない。ご先祖様だよ。初代魔王。諸悪の根源と言ってもいい。長きにわたる人間と魔族の戦いの原因を作ったのだから……。でも本人は猛省している。今回、戦争の終結にも手を貸してくれた。よって目をつむるが……。まったく。魔王だったらあれぐらいの黒のワームも黒のギガースも一人で殲滅できただろうに。オデットを巻き込むなんて、信じられないな」


「初代魔王は死んだのではなかったのか……?」


 茫然とする私に、シリルは教えてくれる。


「不死身なんだそうだ。天に戻ることもできず、この地上で生きていくしかないが、魔族はすっかり嫌われ者だ。そこで戦争を終結させようと、キルは自分達に協力すると申し出た。まあ、それはそれでいい。今回、オデットの魔力を解放したのは『ガス抜き』だと言っていたよ」


 なるほど。あの飄々とした性格と世渡り術は、長きに渡る経験の賜物ということか。

 それにしても……。


「ガス抜き……」


 つまりは私は魔力を溜め込んだ状態であり、シリルという伴侶を得たものの。シリルがどれだけ頑張っても足りないぐらい、魔力が強まっていた。今回、いい機会だったので、放出させたというのだ。


「今回の魔力暴走で、オデットの中の魔力は、半分は減ったというのがキルの見立てだ。あとは自分に対し、『頑張るように』と言われた」


 ひょんなことで魔力暴走が起これば、大変なことになっていたと思う。よって今回、溜まっていた魔力を解放できたのは、ある意味良かった。そうしてそれをできたのは……キルのおかげだ。その点はキルには感謝だろう。


 だがしかし!


 シリルに「頑張るように」って。それはシリルも知ったということでは!?

 つまりは私の魔力の特殊なメカニズムを……。


 全身が羞恥で赤くなったところで、セイン、レウェリン、ミルトン、レダ、マーシャルソンを連れ、シアが部屋に入って来た。

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