↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームのラスボスですが、勇者と結婚することになりました。  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/60

気持ちが乱れまくる

 剣撃の嵐。


 まさにその言葉がピッタリだった。


 剣と剣がぶつかり合う音が絶え間なく響き、セインは押される一方。

 しかもシリルの左右の剣の動きが読めない。

 後退するために、足だって素早く動かさないといけなかった。


 もう見ている方はハラハラドキドキを通り越し、気持ちが乱れまくる。

 シリルが優勢なのは嬉しい。

 でもそうなるとセインを応援したくなる。

 ではセインに勝って欲しいのかというと、そうではない。


「!」


 もはやシリル勝利かと思ったのに!


 セインは左腕を斬りつけられながらも、シリルの右手の剣を奪ったのだ。


 つまり左腕を斬りつけたことで、シリルの気持ちが一瞬緩んだ隙をつき、右手の剣を打ち落とした。


 これにはシリルが二重の意味で衝撃を受ける。

 まず、剣を落とす事態に。しかも利き手の右手の剣を落としたのだから。


 だが。


 ここがシリルの底力なのだろう。すぐに気持ちを切り替え、左手の剣を持ちかえるのかと思ったら……。


 左手の剣で斬り込みをかけ、その直後に右手で短剣を取り出し、投擲したのだ! あのナイフ投げの要領で!


 セインはシリルの左手の剣を受けていた。


 飛んでくる短剣を避けようとしたが間に合わず、それは左の肩を深くかすった。


 セインの左手は既に斬りつけられていた。その上で肩も負傷することで、剣を両手で構えているが、左手には力が入っていない。


 シリルが両手で剣を構え、何度も前に出て振り下ろす。


 その打撃の威力はすさまじく、セインの剣を持つ両手が荒地へと下がる。


 もう勝負が決すると思ったその時。


 黒い火成岩に亀裂が走り、そこから飛び出してきたのは、黒のワームと言われる巨大な魔獣!


 その姿は翼のないドラゴンとも、大蛇とも言われるが、全身を鋼鉄のような鱗で覆われ、口から猛毒を吐く。それが何体も這い出てきた。


 さらに。


 黒のギガースと呼ばれる太古の巨人族が、何体も出現したのだ。


「まさかこれは」と絶句したキルが叫ぶ。


「カイテリアだな。アイツ、敗北を悟り、そしてここで決闘が行われると知り、魂を売り払った」


「どういうことだ、叔父上!」


「魔力の強さは、その魂に反映されると言われている。そこでカイテリア自身の魂、カイテリアと同格の魔力を持つ魔族の魂。それと引き換えに、これらの魔獣や巨人族を召喚したということだ」


 それはつまり、既にカイテリアと彼を祭り上げた幹部クラスの魔族は、もうこの世にいないことを意味する。自身の魂と等価交換で、今ここに現れた魔獣と巨人族を召喚するなんて。とんでもない自爆攻撃だ。


「後先見ない戦法をとる奴だ。しかしどうしたものか。ここには私達四人しかいない。……この数と、このクラスの魔獣は、さすがに私達だけでは倒しきれないぞ……」


 キルがそんな諦めの言葉を口にするが。

 そう言いたくなるのもよく分かる。

 全部で何体いるのか、それすらも分からない。


「レウェリン、防御!」


 シリルの叫びにハッと顔をあげると、黒のワームが一斉に毒を噴射した。


 もしも。


 レウェリンの防御魔法が間に合っていなかったら。

 あの黒紫の毒を浴び、全身が溶け、骨だけになっていたはずだ。


 心臓が信じられない程、ドキドキしていた。


「レウェリン、回復してくれ。キル、戦えるか!?」


「……シリル卿、さすがにこの数を相手にするのは……」


 腰が引けているキルに反し、声を上げたのは……。


「……わたしのことを回復してください。ワームは一度毒を噴射すると、十分間は毒を使えません。数は多いですが、毒を溜め込む腹と首を切断できれば、脅威ではなくなります」


 セインの言葉に、一瞬沈黙ができた。だがすぐにシリルが反応した。


「セイン、助かる。数えたところ、三十体だ。まずは黒のワームの殲滅と行こう」


「ああ」


 まさかシリルとセインがタッグを組むなんて!

 レウェリンは二人に回復を魔法をかけた。

 そしてキルには「ほれ、この剣を使え」とずしりとした大剣を渡している。


「ではレウェリン、魔法でサポートを頼む。セイン、君は風の魔術があるからサポートは……」


「魔法のサポートは不要です。魔法使い殿には、シリル、君のサポート、そしてオデット様の防御をお願いしたい」


そう言うと、セインはキルを見てこんなことを告げた。


「……キル殿、あなたは風と炎と水……三大元素魔術、そのすべてを使えますよね? ちゃんと戦ってください」


「そうなのか、叔父上!?」


 私は思わずキルをガン見してしまう。

 三大元素魔術が使え、さらに地を操り、空を飛べるのが魔王だ。

 魔王の弟だが「自分は大したことがない」とキルはいつも口癖のように言っていたが……。

 実はすごい逸材なのでは……?


「まあ、年寄りだからな。無駄にいろいろとできるようだ。……仕方ないな」


 そう言いながらもキルは、再び上着を脱いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。