彼の戦略
シリルとセインの決闘。
その勝敗はすぐになんてつかない。
最初は両者の睨み合いから始まる。
お互いの力量は、過去の戦歴で分かっていた。
一瞬の隙が、命取りになると分かっている。
何より、剣と剣が触れあえば、そこからはノンストップにも近い戦闘になると、互いが理解していた。
キル、レウェリン、そして私は息を呑み、その本当の始まりを待っていたが――。
先に動いたのはシリル。
その動きは機敏!
大剣ではないのだ。素早く動けて当然と言えば、当然。
そうだとしても早過ぎる!
魔法のサポートはないのに。
セインの銀色の瞳が、その人間離れしたスピードに、警戒の色を強めている。
「……!」
間合いに入ったシリルが、攻撃を開始した。
セインは、突きの攻撃で踏み込んできたシリルの剣を、冷静に避けてかわした上で、自身の剣で払う。さらにシリルの手から剣を叩き落そうと、自身の剣を振るう。
シリルはいわゆる細マッチョ。その腕は筋骨隆々というわけではないが、剣と剣がぶつかる衝撃にも動じない。しかもセインから剣を払われ、動きを止められたのかと思いきや! 次の瞬間にシリルは、またも攻撃をしかけている。
一方のセインは、しばらくシリルの攻撃を受け流していたが――。
身長はわずかにセインの方が高く、リーチが長い。まさかのその間合いで、“瞬砕の一撃”改め風の魔術を伴わない“断命の一撃”を繰り出した。
「ああっ」と思わず、悲鳴が漏れてしまう。
あれを避けたシリルの身体能力は、奇跡に思えた。しかも避けた後、バランスを崩したと思ったら、脇腹を狙うかのような低い位置からの斬りの攻撃。
最初から突きの攻撃を続けていたシリルから、突然斬り込みの攻撃を、しかも低い位置から、さらにはバランスを崩したと思っていたら受けたのだ。今度はセインがあわやとなり、私はまたも悲鳴を上げてしまう。
これにはセインも驚いたようで、素早く後退し、間合いをとる。
だがシリルはその間合いをつめ、踏み込んでいく。
セインは押され、どんどん後退していた。
突きによる攻撃が続き、その時。
驚いた。
シリルが繰り出した一撃は、まさに“断命の一撃”。
これを見せられたセインの顔色が変わる。
それはそうだろう。自身の渾身の一撃を、シリルが繰り出したのだ。しかもシリルは、斬り込みの攻撃を得意としているのに。それだけシリルの剣技が優れているということだが……。
「……!」
手首を巧みに動かし、左右、上下、次にどこを突くか分からないというスピードで、セインがシリルに迫る。前進するセインに対し、後退しながらこの猛スピードの突きの攻撃を受けるシリルは、どう考えても不利だ。
できれば剣で受けるのではなく、受け流したいが、セインは直前で手首をひねり、それをさせない。
さっきとは一気に形成逆転で、シリルが押されている状態になった。
だが。
驚いた。
ここでシリルがもう一本、剣を抜いたのだ。
伏兵のように、左手の剣がセインの腹部に切り込む。
ここでようやく、セインの動きが止まることになった。
シリルが左右の二本の剣でどう戦うのか。
セインはそれを見極めることになる。
だがシリルはその暇を与えない。
左の剣は盾のように防御として、右の剣で突き、斬り込みと攻撃を加えると思ったら。いきなり左の剣で突きの攻撃を行ったのだ。セインが大きく後退する。
これだけでも分かってしまう。
シリルは左右、両方の剣を同じように扱えるのだと。
利き手ではないので、左の剣の動きが鈍い……なんてことはない。
しかも左右の剣で、違う動きができる。
「これは一長一短だ。二本の剣を扱うということは、セインを混乱させ、より攻撃が通りやすくなる。だがシリル自身にかかる負担も大きい。これは短期決戦で、終わらせるしかなくなる」
キルが冷静に言うと、レウェリンもこんなことを言う。
「シリルが二本の剣を出す時は、多くの魔族を一人で相手にする時だ。その時は電光石火の勢いで殲滅する。どこかで起点ができたら……嵐が舞うぞ」
レウェリンがまさにそう言った時だった。シリルが動いた。























































