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94 勇者の住処でガッツリ食事しましたけど?

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!


※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様

        『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。


 ふふふ、そういうことなんだね。

 国ってどこも間抜けなんだなぁ。なんで財産を産む材料を放っておくのかな。大バカだよ、本当に。

 トランサル王国か。ギルドはまともなのかな。

 そうだといいけどね。

 

 おじいちゃんからのメールを読んでる間に、ドゴン、ドガンと音が聞こえてるよ。やってるね、みんな。

「ナ、ナギ殿!」

 おお? あ、忘れたたよ、この人たち。

「わ、我らも進軍しても良いですか」

「うん、別にいいんじゃないの? でも気をつけてね、巻き添えをくらっても知らないよ。僕たちは勝手にやってるだけ。そこに割り込むのはあなたたちの方だからね」

 承知した! と将軍たちはテントを出て行った。


 ちょうどいいか、と豪華な椅子に座った。隣りにノルも座ったよ。

「なんか、あの人たち、疲れるよ。結局、僕たちに乗っかったんでしょ」

「そうだね。まあ、それくらいじゃなきゃ、王族とか貴族はダメなんじゃないの。自分で生きてきた人たちじゃないし」

 そうだね、とノルの意見に同意するほかない。だって事実だもの。


「ナギ殿!」

 はい?

 誰かと思えば、トランサル王国の第一王子ブルックスじゃないの。

「どうしたんですか、王子。あなたはいかないの?」

「副官に任せました。私はあなたと話したいのです」

 ふん、なんでかな。

「俺、外に出てようかな」

「なんでよ。いいじゃん、いても。ねえ、王子」

「もちろんです。ノル殿にも聞いてもらいたい。私の思いを」

 ふん、思い? なんだろうね。

「私はトランサル王国の国王になる身。そのために育てられました。ですが、それ以外のことは何も知らないと言ってもいい。親の決めた女性と婚姻して子孫を残し次代を育てる。その者に引き継ぐために国を運営する。それだけの存在なのです」

 それだけの、って。すごいことじゃん。

「ですが、そこに私の感情はない。私自身の人生はないのです。それが当たり前だと思っていました、先ほどまでは。ナギ様たちと会うまでは、そう生きるのが自分の人生だと信じておりました。ですが、それは間違いだと気づいたのです。それも王族としての勤めでしょうが、私自身、楽しんでもよいのではないか。私の感情で動いてもよいのではないかと考えました。そのためにナギ様にお願いがございます!」

 なんで、様? 俺にお願いって?

「えっと、なんでしょうか?」

「私の国へお越しいただきたい! そして普通の一人の男として、ただのブルックスとしてお付き合いしていただきたいのです。共に生きて欲しい!」

 へ? 何言ってんのこいつ。

 ぶははははは~~~~~~

 ノルが吹き出しちゃったよ。どうするのよ、この展開は。

「あの。僕と一緒に? 僕は男ですよ?」

「存じております! それでも、です。私は現在十六歳。一応婚約者候補はおりますが、あなたと出会って結婚に拘ることはないと思いました。結婚してもよいですが、おそらくあなたを縛ることはできない。それは理解しております。ですから恋人として側においていただきたいのです!」

 なんだよ、こいつ。わけわからん!

「えーと。お会いしたのは数時間前ですよ? それで恋人になれと? 訳がわかりませんけど。そういうところが王族なんですよ、わかりますか?」

 なるほど、と考え込んじゃったね。

「それに、あなたには国があるでしょう? 今でも公務があるでしょうし、ここに来たのも第一王子としてきたんでしょう。そんなあなたと恋人? あり得ないよ。僕は一瞬の感情で一生を共にする相手は決めない。男とか女とかじゃなくてね。僕の言うことが理解できる? それに眷属に認められなきゃダメだよ。あの子たちは相手の中身がわかる。その時の感情もわかるんだよ。それでも挑んでみる? うちの子たちに」

 では、それも含めて、私に時間をいただきたい! 

 あ~びっくりした。なんか、勢い付いちゃってるよ。どうしよう。

「あなたに、そしてノル殿に、眷属の皆に認めてもらえるよう努力いたしましょう!」 確かに公務は自分のやるべき事。できれば国は第二王子に渡したいんだって。でも、それじゃあ俺が叱るって? そんなことはないよね、関係ないし。

 俺に鑑定ができるのでしょう? と問うんだ。自分も家族も鑑定していいので、善人か悪人か判断してくれって。こっちの希望は全て受け入れると約束するそうですよ。ひと休みする意味も込めて、国に来てほしいんだって。


 あはは、そう来たか。でも、ここじゃ決められないよ。

 まあ、全てオニキスたちに聞いてからだね。そろそろ皆と合流したいから。

 自分も同行したいと言うけど、どうやって来るの?

 

『主、終わったぞ。どうすればよいのだ?』

『えっとね、じゃあ僕もいきたい。早めに出ようと思ってたんだけど、第一王子が面倒な事を言い始めたんだよ。だからフラットに迎えに来てもらえるかな』

 承知、と聞こえてノルに伝えた。

「じゃあ、今のフラットなら空間に入る方がいいね」

 そうだね、と外に出れば丁度フラットが降り立った。

「王子もいきたいんだって。だから空間を開いてくれる?」

 いいよ~と聞こえて、新しい空間が開いた。

 どうぞ、と王子を中に押し込んで、俺たちも入る。

 真っ暗だから、灯りを灯した。

「おお、広い。ここは?」

「フラットが作ってくれた空間だよ。旅に出るときは、自分たちの空間で寝泊まりするんだ。キッチンもお風呂もあるから快適だよ」

 そう言えば、すごい、と感心している。でも、すぐに到着すると思うよ。


 二分たらずで到着したようだね。

『ナギ、離宮の中に入る? 最上階が勇者どもの住処だった。そこでいい?』

『うん。お願いね』

 フラットに伝えれば、窓ガラスが破壊されて、もはや窓とは言えない壁の見えるテラスに降りてくれた。

「ありがとうね、フラット。中に入ろう。サンは?」

『ここにいるよ、あるじぃ~』

 ぴょーんと俺の手元に戻ったサンは、いつものサンだ。

「頑張ったね、サン。ありがと」

『がんばったー! サンね、あっちをたくさんこわしたよ~』

 指さした先には王宮があった。

 そうかそうかと撫でてやれば、嬉しそうだ。

『ナギ、お腹すいた~』

 おお、そうだね。

「じゃあ、中にはいろうか。お腹すいたよね大活躍だったから。何か食べる?」

 大きく頷いたフラットと、ピョンピョン跳ねるサンは離宮に入った。

 ドスンと降り立ったのはオニキスだけど、すぐに人化した。

「我も腹が減ったぞ。飯を食うのか?」

「うん。何か食べよう。みんな頑張ってくれたからね」

「そうか。我はワサビ醤油のステーキ丼がよいぞ」

 わかったよ、と寝乱れたベッドがある部屋のソファに座る。でも、どうしても気に入らないね、このベッドは。

 立ち上がって、ベッドを持ち上げる。剛力スキルを使ったんだけど、軽いね~

 そのままテラスに出て放り出した。

「スキルか、主」

「うん。剛力スキルだよ」

 そうか、とソファを移動しているノルを手伝っている王子を見たオニキスは不思議そうだ。

「なぜ、あの者がここにいるのだ?」

 説明するよ。

 狼に変化したフラットはテーブルの脇にお座りしてる。サンはテーブルの上だね。

 そこへ料理を取り出しながら、話しをした。

 第一王子の希望を全て話してから、アルムおじいちゃんからの話を念話した。眷属全員にね。

「それならば、王子の言う通り、一休みすればよいと思うが、皆はどうだ」

 オニキスが聞いてくれる。 

 ノルは、俺の希望に従うらしい。

 サンとフラットは迷宮にいくと言う。いや、それは答えじゃないよ?

 オニキスも俺の判断でというのだが、第二の拠点とするおじいちゃんの意見に賛成らしい。

 さて、どうするかなぁ。


「何卒、私の希望をお聞きいただきたい! 今、ここで父に連絡を致しましょう。それを聞いてからのお返事でも良いのです。お願いします」

 そう言うなら聞いてもいいよ。


「陛下、いえ、父上。こちらがナギ様です。現在、ドルーシア国の離宮におりますが、勇者がおった場所です。そこで父上の思いも聞いていただきたいと思いました。どうぞ、お話しください」

 通信用なのか、大きなボードがこちらを向く。これ、タブレットのでっかいやつくらいあるよね。水晶みたいだけど?

『ナギ様。私はトランサル王国国王、ボルリアでございます。第一王子の思いも既に聞いております。公務などは国の仕事故、どうにでも致しましょう。私もまだ現役でございます。ナギ様ご一行がゆっくり過ごされるよう、ご希望をお伺いして形に致しましょう。どうぞ、我が国にお越し下さい』

「ありがとうございます。でも僕はどこか一国に住むつもりはありません。今は生まれた国であるユリアロウズ国の王宮に部屋をいただいておりますが、いつもどるか、いつ出て行くかわからないのです。ですが、この国にもいろいろ楽しい場所があるようなので、興味はあります。眷属たちもその点においては賛成しておりますが、何分にもサイズが大きな眷属がおりますので、少々心配しております」

『おおおお、我が国にも楽しい場所がありますか! ユリアロウズ国では迷宮を発見されたと聞きました。それに見合うほどの楽しい場所があるならば、ぜひ、お越しいただきたい! お住まいは、話し合いましょうぞ』

 うーん、それならいいかな。

 皆を見てみれば、問題なく頷いてくれてるよ。まあ、それならいいかな。

「じゃあ、一度お邪魔させていただきますね」

 お待ちしております、と国王が頭を下げたんだけど、よかったのかなぁ。


「では、父上。私はナギ様と一緒に戻りましょう。今しばらくお待ちください」

『うむ。粗相のないようにな。では待っておるぞ』

 通信が切れたんだけど、透明な水晶の板、だよね。

 その間にもガツガツ食べてる眷属一行です。

 って、ノルも食べてるけど?

 今、何時なのかな?

 壁にある時計を見れば、そろそろ十一時だけど。

 料理をじっと見つめる王子ってどうよ。

「主、唐揚げも欲しい。あとは味噌汁だな」

 はいはい、と大きな器に山盛りの唐揚げを取り出す。そして魔道コンロと味噌汁の鍋を取り出して味噌汁をいれ、皆に配った。

 ゴクリと聞こえたのは王子?

 そうみたいだね。ヨダレがでそうな顔しているし。

「王子、食べてみる? 僕の料理だから、王宮の料理長みたいに美味しくないかもだけど」

「いいのですか! それはありがたいです!」

 あはは、と取り皿と味噌汁を渡した。そして白米を差し出す。

 これは、と不思議そうに口に入れたご飯に跳び上がっている。それほど?

 美味い、と呟いて唐揚げにかぶりついてるし。

 なんだか、俺も食べたくなった。

 じゃあ、とご飯と味噌汁、そしてハーブチキンのグリルを出して食べる。

 途中で、足りなくなった丼系を前に出して、サラダを追加する。マカロニサラダもだしておいた。

『シチューもたべたいの~』

 はいはい、とクリームシチューの鍋を取り出して注ぐと、ノルも手を上げる。ノルにつぎ分けて、ついでに王子にも注いだやった。

「ナギ様の料理は素晴らしいです。食したことのないものばかりで。素晴らしい……」


 呆れるほど食べまくった俺たちは、やっと食事を終えてくつろいでます。

 紅茶を入れてくれたのはサン。

 ケーキを取り出して、食べながら美味しい紅茶を飲む。


 そんな楽しみの最中に大声が響く。

「ブルックス王子! 失礼致します!」

 よろしいですか、と聞かれていいよと答える。

 そこには、副将と他国の将軍たちがいた。

「ナギ殿のおかげで国を掌握できた。礼を言う、ナギ殿!」

 いえ、別に。

「そうですか、良かったですね。ですが、国王はまだ生きてますよ。それに勇者たちも」

 どういうことだ、と皆が問う。

「僕は勇者たちに聞きたいことがあったの。だから空間に入ってもらってる。国王もね。これから話しを聞こうと思ったんだけど。あなたたちは、この小国をどう分けるか話せばいいよ」

 それは……

 うん、放っておこうかな。王子はこっち側にいるけど。



 フラットの空間から放り出されたのはドルーシア国国王だね。

「な、何者だ! 余はこの国の……」

「はいはい、うるさいよおっさん!」

 なに?! あはは、怒ってるよね~

「あんたに聞きたい事がある。なんで勇者を召喚した? 魔王なんかいないだろ?」

「……」

 無言かよ!

 じゃあ、こっちだね。

「オニキス、勇者だけ出してくれるかな」

 承知、と開いた空間から放り出された勇者は、おもいっきりキョトンとしてるよ。

「あの、これはどういうことだ?」

 間違いなく日本人だね。

「どういうことって? お前たちはブルードラゴンを殺した。その上、村を殲滅したよね」

「……ああ、間違いない。でも、それはそこで腰抜かしてる国王の命令だぞ! 俺たちを魔王と戦わせるために召喚したんだ。その腕試しだって。俺たちは、そのために厳しい訓練に堪えてきたんだからな」

 ふん、厳しい訓練だって?

「どんな訓練だろうが関係ないよ。お前たちは罪もない者たちを殺した。ブルードラゴンだって、村人の生活のために、一年に一枚、ウロコを剥いで渡してたんだ。村人たちは感謝して受け取ってた。そんなつましい生活をしてた者たちの命はお前の命とどう違う? お前たちの命の方が価値があるのか? 命は皆一緒だと僕は思う」

「……た、確かにそうかもしれない。でも、俺たちは魔王と戦える唯一の人間なんだ! だから……」

 うるさい!


読んでいただきありがとうございます。


ドルーシア国の国王も勇者たちも、情けないよね。

勇者って意味ないね、今回は。自分で書いてて勇者っていう存在はもっとかっこよくてリンとした存在だと思ってたけど。ドラゴンのことがあったから、思い切り情けなく書いてしまった。。。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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