41 迷宮用の小屋を作ったよ。
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
今日もよろしくお願いします!
今は小物を見てます。
ビュッフェで使えるような大きな深いトレイを探してるんだけど。
金属の軽いものがあった。これは調理の下準備に使うものらしいけど、かなりしっかりしてる。そのまま調理に使っていいかな。
料理は鉄のトレイにたくさん盛ることに抵抗を感じる。
これくらい大きな陶器の皿はないかを聞けば、奥から持って来てくれたんだけど、かなり大きいね。これなら十分だろう。三枚しかないらしいので、中くらいとその少し小さい物も三枚ずつ買う。もちろん、鉄のトレイ――これ本当に鉄か?――も買いました。
そして大きなスプーンとフォーク。取り分けるのに使えるね。
足りないものは、数日中に思い出すかなと思うんだ。反対側の通路を通って戻る時、保存容器みたいなのがある。これ、お汁とか出ないのかな。聞いて見れば、問題ないらしい。これって金属なんだけどすごいね。どうやらこれは銅でできてるみたい。少々お値段は張るけど、今後も使うし買っちゃいました。当然自腹で。
じゃあ、と精算をしてもらう。
別に買うものを横によけて、領主様からの依頼分だけ明細を書いてもらった。しめて金貨十六枚と小銀貨九枚でした。
自分の買い物は別に会計を済ませた。
うーん、お金は別にした方がいいよね、とメルトに聞いてみる。
「それほど細かくしなくてもいいだろうけど、お前の性分ならそうするだろうな」
あははは、と笑って、大きめのがま口みたいなものを見せてもらった。これはかわいい。
ちょうどいものがあったので自腹で買った。それに領主様の買い物分の明細とお金を入れた。この財布は仕切りが入ってて、明細とお金が別に入れられるんだよ。
じゃあ、と家に入って裏を見れば、魔物が山盛りになっている。
「フラットは頑張ってくれてるみたいだな。これ、どうする?」
『フラット。今家に戻ったんだけど、たくさんありがとうね』
『戻ったの? もうすぐ一度戻るから。咥えきれなかったから何度か飛んでるんだ』
すごいね~と褒め称える。嬉しそうに笑う声が返ってきた。
じゃあ、ご褒美を用意しておこう。
「今からフラットが戻るって。どうする?」
そうだな、どうするか。
それならメルトもこき使おう。
「お願いがあるんだけど。旅に持って行く小屋を造るのに、木が必要。板だけど。あっちの倉庫を探して欲しい。家を改装した残りがあると思うんだ。なんでもいいから持って来て。薪になるものもあると思うけど」
「家で使える薪もありそうなら俺の仕事だな。じゃあ、鍵かしてくれるか」
うん、と倉庫の鍵を渡した。中に荷車があるからと伝える事は忘れない。
メルトが相互を探している間に、フラットが戻って来た。
「おかえり、フラット!」
ただいま~
うん、かわいいけど、ドロドロだよ。土と血できったないんだけど。
クリーンを掛けてからチーズケーキをワンホール取り出した。そして中くらいのボウルにはいったミルク。
『ありがとうナギ。ご褒美なの?』
「終わったの?」
まだぁ~
「そうだろうと思った。だからこれはおやつだよ。ご褒美は戻ってお風呂に入ってからね。美味しいものをたくさん作るよ。昨日お誕生日だけど何もできなかったから、今日ごちそう食べよう!」
わ~い!
バクバクケーキを食べてミルクを飲み干したフラットは、再び飛び立った。
ガラガラと裏に板がたくさん下ろされてる。
その音で馬が驚いてるんだけど。メルト、静かにしてよね。
ここからは俺の仕事がたくさんある。
今夜は何を作るかな。
あ! パスタとマカロニ見るの忘れた! 明日だね。
お誕生日のお祝いもあるから、フラットがもらった牛肉を使おう。
やっぱりステーキだよね。それとハンバーグにできる部位があるかな。牛丼もいいけど。
旅に持って行くのはある程度の量を作って保存容器に入れよう。あとは、クリエイト先生にお願いするかな。
まずは何を作る?
肉を食べるならサラダだよね。
今日はレタスとキャベツスライス、トマトとキュウリを飾ろう。そこにステーキをのせる。
お誕生日に牛丼も考えものだよね。それならオークの生姜焼きも作るかな。本当はカレーを作りたいけど、未だにスパイスを見ていないから無理。
隣国に入ったらどこかの商会で買い物しなくちゃですよね。その時探してみようかな。
あ、お茶も忘れた。ストレートですっきり飲めるお茶を買う。
チーズを使った料理を作りたい。何があるかな。チーズと野菜を薄切り牛肉で巻けばどうだろう。美味しいと思うけど。
唐揚げも作る? いや、明日にしよう。チャーハンを作ってみたいから。
さて、それじゃ取りかかろう。
食事の準備が終わった。
でもまだ四時だね。
迷宮に入ったとき、時間がわからなくなる。それはちょっと困るな。じゃあ、買った時計をコピーしようか。でも大きいからどうするかな。縮小コピー? 振り子があったら動かなくなるんだけど、腕時計にならないかな。
壁に掛かってる時計を下ろしてコピーする。
それを腕時計に作り直せばどうかな。でも邪魔になる? 防具があるから邪魔だよね。ネックレスの時計にしようか。
とりあえずやってみようかな。
(クリエイト)
ピカッとひかった時計は、小さくなってネックレスの先に付いている。革紐に通されたそれは、懐中時計だ。
パカッと蓋を開ければ、ちゃんと動いてる! これでネジを巻くんだね。うん、これかっこいいし蓋もあるから壊れにくい。
じゃあ、とコピーしておく。
本当ならマックスさんたち主要メンバーには持ってて欲しいけど、既に持ってるかもしれないから、聞いてからにしよう。
じゃあ、次だね。
裏庭に出て見れば、魔物がまた増えている。これ、このままだと大変な事になるよ。
『フラット、どうかな』
『どれくらい狩ればいいのかわからないんだけど、こっちにあと三ついるよ。イノシシのでっかいやつ。持って帰る?』
『うん。持って帰ってくれるかな。ギルドで解体を頼みたいんだ』
りょーかい、と聞こえたので魔法でアイテムボックスに収納した。
「これくらいでいいか?」
「多分いいと思う。どんな風に作ろうか。迷宮の中って雨降ったりする?」
「俺の知る限りないな。でも迷宮はいろいろあるからな。階層によっては雨もあるかもしれない」
じゃあ、ちゃんとひさしは必要だね。
テーブルを取り出して椅子に座った。
図面を書いてみようと思ったから。
フラットが大きいサイズで中に入るには幅が二メートルくらいは必要。奥行きは後で考えるとして、高さは二メートル五十以上だね。これってかなりデカイよ?
とりあえずの奥行きは一メートルで作るか。そのままで自立する必要があるから、それじゃダメだね。じゃあ、奥行きは二メートルでいいかな。
ざっくりと書いてみれば、バランスは良くないかも。それじゃぁ、奥行きを変更だね。二メートル五十にしようか。それなら正方形でしょ。これくらいあれば高さも問題ない。入り口がそのサイズだから、実際の幅は……
いや、これは無理だね。
じゃあ、中に入るときは大型犬サイズで頼もうか。
中に入れば大きくなれるようにしよう。それならくつろげる。
もう一度絵を描いて、入り口の幅が九十センチ、高さは二メートル。奥行きは一メートル五十センチ。このサイズが入り口だね。それに三十センチずつ壁をつけると、こうなるのか。ドアが高すぎるかな。
それならドアそのものにしちゃうかな。それは無理か。
高さを調整しようか。上を丸くすればそこだけ高さが稼げるよね。
じゃあ、小屋の外観は、幅一メートル五十センチ。高さが、屋根の一番高いところで二メートル。奥行きは一メートル五十センチ。これならいいかも。入り口をこんな風に丸くすると、何とかなるかな。床はフラットにしよう。本当は一段上がった方がいいけど、それは中の空間で調整しようかな。
(クリエイト)
ぶわぁ~っと光がわき上がる。
馬の鞍を手入れしていたメルトが驚いて駆けてきた。
「なんだこれ? 魔法か?」
「まあ、そうだね。小屋を造ってみてるんだ」
そうなのか。
おお、視線が釘付けだよ。
そこにフラットが戻って来た。口と足で二頭のでっかいイノシシを下ろした。もう一回で終わるから、と行ってしまったんだけど。頑張るね、フラット!
フラットが飛び立ってすぐに光が収まった。
「なんだこれ?」
だから小屋だよ!
「この中の空間を広げるんだよ。僕のテントも同じやり方なんだ」
すごいな、とドアをそっと開いている。
うん奥行きはちょっとだよ。
その後、どれくらいの寝床にするかと考える。
まずキッチンは必要。食事番だからね。
あと、中途半端な壁を作ってシングルベッドぶんのスペースを作る。反対側は俺とフラットのエリア。旅のテントに敷いてあるマットを利用することにする。コピーして重ねればかなり柔らかいでしょうよ。
小屋の部分半分は玄関になるから、靴を脱ぐ。
もう半分はキッチンだけど、奥に広がるから十分使えると思う。キャンプの時使うような樽かなんかを置いて排水を貯めよう。そして外に扉を作ってそこから水を出すかな。
ホースみたいなのがあればいいんだけど、どうなんだろう。魔道具があったりするのかな。もしかして作れるかな。でも水は魔法で出すことになる。それなら逆に面倒かな。排水だけ魔道具を作る? 作ったとしても排水は必要になるから同じ事だね。じゃあ、それ以外に力をいれよう。
とりあえず空間を広げてみる。寝る場所はかなり広いから、絵を描いてみれば、そのままキッチンを作ってテーブルと椅子が置けるくらいだね。二人で使うテーブルと椅子。そしてフラットのワゴンが置ける。調理台はテーブルを利用しよう。
図面通りに空間を広げたい。
<空間拡張>
さっきよりも大きな光がわき上がる。
これ、少しかかるかな。
その間に、残りの板を見てみることにする。
これ、バラバラで持っていれば便利だよね。箱を置いて板を並べれば作業台になるし、ビュッフェの料理を置く場所になる。大きなテーブルにも使えるからいいかも。でも椅子はないよ。
「この板は十枚くらい持って行くけどいいかな」
「いいぞ。ストーブの薪にするのは細切れや端材があったから」
じゃあ、大丈夫だよね。
やっと光が収まった時、フラットが戻った。
メルトは中を見ている。靴を脱いでと伝えればわかっていたらしい。
俺はフラットを綺麗にしてから撫でてやった。
『魔物、持って行く?』
『うん。一緒に行ってくれる?』
いいよ~と答えてくれたので、メルトに声をかけて、その場から飛び立った。
ギルドの前でゆっくりと地上に降りたフラットだけど、誰も驚かない。もう慣れてるからね。
「おう、ナギ。どうした?」
「魔物の解体を頼みたいんだけど、いい?」
「いいぞ。今日は暇だしな。明日でいいのか?」
いいよ、と裏の解体場へと向かう。
ここに出せと言われ、次々取り出して行く。
おいおい、と呆れるおじさんを無視して全て取り出した。
「これ、いつ狩った?」
「フラットがひとりで行ってくれたんだ。迷宮に行くのに、朝夕の食事を頼まれたから。魔物の肉を使おうと思ってね。大きな塊の肉だけでいいよ。できたら部位を書いて欲しい」
よし! と明日の夕方にはあらかたできるだろうと言われた。素材はどうするかと聞かれたので、柔らかい毛はどれ? と聞けば、このあたりだと見てみた。でもこれならいいかな、と買取を頼んだ。
肉の美味い種類ばかりだと呆れているおじさんに、笑って手を振った。
食堂で呼ばれて行ってみれば、お弁当が出来上がっているらしい。それならと買って帰ることにした。また、明日の夕方きますと言えば、任せて! と行ってくれた。出発までにいくつ確保できるかな。
ん? 出発っていつ?
結局この前決まってないよね。まあ、明日聞いてもらおう。
声をかけられる前に、とギルドからでて空に上がった。
一分もかからず、家の裏庭に到着する。
「お帰り。この家はどうする?」
ここへ入れるから、とアイテムボックスへ入れた。
やっぱり便利だよな、と呆れてるんだけど。
夕食は大騒ぎだった。
フラットにプレゼントだと、塊の牛肉を置いてやれば大興奮! 久しぶりの分厚い肉に感激したのだろう、をぅをぅ言いながら食べてた。人との共存ができなきゃ、俺とは一緒にいられないと理解しているんだろうけど、無理させてるのかと不安になる。
『ナギ、心配しないでいいよ。僕、ナギの作ってくれるご飯が大好き。みんなに撫でてもらうのも好きだから。ずっと一緒にいたいよ。めいきゅ? に行く時には魔物も食べていいの?』
『ありがとね、フラット。迷宮で食べるの? どうかな。死んだ魔物は迷宮に吸い込まれるって聞いたけど。ダメでも生のお肉が食べたいときは言って。たくさんお肉とってきてくれたのはフラットだから』
『うん。言う。でも一番好きなのはナギのご飯だよ~』
むちゃくちゃかわいい。
涙が出そうだよ。
「どうしたナギ。泣きそうな顔してるぞ」
あはは、メルトに気づかれたね。
二人の会話を伝えれば、メルトは大きなフラットを抱きしめる。
「お前の気持ちはわかるぞ。ナギのご飯食べてたら幸せになるもんな。不思議だよな」
なんか二人が仲良しなんだけど……
オーブンはないけど、分厚い煮込み鍋でじっくり焼いた肉の塊はかなり美味しかった。まるでローストビーフの塊だったね。
食後にフラットとメルトは一緒にお風呂にいっちゃった。
フラットの火魔法が強化されたから、お湯もすぐ沸くんだ。
読んでいただきありがとうございます。
クリエイト先生、大活躍ですね。
さすが、前世では敏腕社長だったナギ。いろいろ考えて段取りしてますね。
小さな経営者、みたいです、あはは。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




