第一回ファイティングベア対策会議
「俺をダンジョンマスターにしたやつを……知っているのか!?」
「まあ大きな枠組みでしか分からんがの。個人の特定はできん」
「それでも構わない!教えてくれ!」
「コウ…別に仕返しなんてしなくていいんじゃない?復讐なんて無意味だよ!」
「確かにそうじゃのう。復讐は何も生まんし、労力の無駄じゃ。……………………まあ、儂に言えた義理じゃないがの」
最後にぼそりと誰にも聞こえないほどの声量で呟く。
「そりゃ俺だって復讐がなにも生み出さないってことは知ってるよ。けどな、他の人がまた俺みたいに無理矢理巻き込まれてしまうかもしれないだろ?これもあるんだが、もう一つ『俺が前へ進むため』こちらがメインだ。復讐を止めることは簡単だ。復讐などせずに、ゆっくりと暮らしていくという選択もある。ただその生き方を選んだ場合、これから苦しいこと辛いことがあるたびに、『召喚されただけで部外者だ』などと、逃げ道になってしまう。今の俺は召喚された余所者だが、召喚したヤツらを倒すことで自らの力で勝ち取り、本当の意味でこの世界で生きて行きたいんだ」
要するに俺を召喚したヤツらに勝って、自分のほうが優れていることを示し、ただ拉致られた被害者じゃなく、自分の意志でこの世界に存在したいってこった。
「前に進むために復讐か…面白い考え方じゃの。それでコウを召喚した組織じゃが…………………ズバリ!魔王軍じゃ!どうする?儂も殺すかの?」
「いやベル爺は殺さねーよ。今はもう仲間だし。つーか殺せないし」
「クハハハハ、そうかもしれんの。儂は強いしのう。ただ、儂より少し弱い程度の輩なら沢山おるぞ?魔王候補は全部で七柱じゃからな。そのなかから魔王に選ばれた者は、多分今の儂より強くなるじゃろう。今の儂にかなわんようでは、魔王軍殲滅なぞ、夢のまた夢じゃぞ?」
マジかよ…こんなバケモノがわらわらいるのかよ…
「ま、まあ殲滅は大きな目標であって、今の目標はファイティングベアの討伐だからな!まだ時間はあるし!」
「まあ、そう直ぐにという訳でも無いでしょ?じゃあ大丈夫だよ!まずはクマの対策から始めよう!」
大きな目標として、魔王軍殲滅。
今からはとりあえず、クマの攻略、村などの発見、防具の入手。こんなとこかな?
「クマの弱点とか知ってるのか?」
対策って言うくらいだし、何か知ってるのだろう。
「まず大体の生き物に共通している弱点で頭。虫とかを除いて殆どの生き物は頭をやられたら一発アウトだからね」
「そうだろ!虫は偉大なんだ!」
「でもその分、頭部には頭蓋骨があったり、貫通させるのは難しいんだ。虫は全体的に紙装甲だからあまり関係ないけどね」
「ぐ、ぐぬぅ」
確かに虫は素早さを重視しているため軽く、守りは弱い。
「じゃから首を狙うんじゃな?」
「ああっ!先に言われたー!」
「すまんのう。そうせんと話がなかなか進まんからの。コウは普段どんな武器を使っておるのか?」
「武器か?ちょっと待ってくれ」
騎士団長が持っていた剣を取り出す。
「おおっ!なかなかの業物じゃの!ミスリルか!……………ミスリルの剣持ってるなら、別に頭でも貫けるから対策なんぞ必要ないじゃろ」
エメ先輩お疲れっしたー。
エメが開いたファイティングベア対策会議はこうして幕を閉じた。
多分第二回はありません。




