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インセクトマスター  作者: 天野げる
1章 死にたくないからダンジョンを創る

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14/26

ガサガサ…………ゴソッ?

GブリとF虫がでます。苦手な人は注意してください。

 

 私の名前はシーア。勇者だ。王様直々に依頼されて、元アリアドネ騎士団の団長とその精鋭の部下二人を捕縛、若しくは討伐するという内容だ。今までは夜営の後を辿ってきたのだが、ぷつりとその後が途絶えた。そして近くにダンジョンらしきものが発見された。恐らくこの中に逃げ込んだのだろう。元団長は私でなければ、討伐できないほどの手練れだ。魔物との戦いであまり疲弊するのは避けなければな。


 

 なんだこの魔物は!?ここにいる魔物の殆どが未知の魔物だ。人に嫌悪感を与えるために生まれてきたとしか、考えられない!うわぁ!コッチ来た!嫌ァァァァァアアアア!!!


 

 ようやく地下三階に到達した。地下に空があったのは驚いたが、あの魔物たちの気持ち悪さのほうが、それを上回る。一階で突進してきた魔物が空を飛んでいる。あっちの大きな木のところには、目が痛くなる煙を出す魔物がいっぱいいる。出来るだけ見つからないように進もう。勝てないことは無いが、あれらと戦うのはゴメンだ。


 そして私は階段を見つけた。下から感じる気配のようなものが今までとは格違うということを全身に知らせてくる。だが!元騎士団員を捕縛するため、前に進まなければならないのだ!


 暗い。兎に角真っ暗だ。階段から入ってくる微量な光では、先が見えないな。


  ガザッ                 ガサガサッ


              キィィィ キュウウウウ


    ガザッ               ギィィィィィィィィ

ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ!!


 な!なんだこの音は!?囲まれたか!いや、違うな。囲まれたら殺気がもっと自分のほうに向く感じがする。……………………そうそうこんな感じーーーってこれはマズい!早く視界を確保しなければ!


「全ての悪を消し去る勇者の名において、闇を打ち滅ぼす聖なる光を我が剣に宿せ!【ライトエンチャント】!」

 本来アンデッドなどに大きなダメージを与えるための魔術で、灯り代わりに使うのは心苦しいが緊急事態だ。仕方がない。


 そう考えてシーナは剣から目を離し、顔上げた…………………いや、上げてしまった。


 私が目線を上に上げると目に飛び込んできたのはーーー赤い二つの目、黒光りする身体、細く、気持ち悪い角に、沢山の足、私と同じ位の大きさのソレはギィィィィィィィィ

ギィィィィィィィィと鳴いている。


 それが視界を覆うほど沢山いた。


「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!! 」



 怖い!気持ち悪い!触りたくない!そ、そうだ逃げよう!一回上に上がって体制を整えよう!


 階段があるはずの場所を塞いでいたのは、私の記憶で一番近いものだと、海で捕れるエビだと思う。それがびっしりと張り付いて行く手を封じていた。



 

 四階層は俺が召喚した二種類の魔物が生存本能というスキルを習得し、ねずみ算式に増えているフロアだ。


 そこにいる二種の魔物。ゴキブリとフナムシ。どちらも多くの人に嫌われる生き物だろう。只でさえ、繁殖力の強いこの生き物に生存本能という繁殖を促すスキルを習得させる。壁はフナムシ、地面と空中はゴキブリ。夢にまで見たコラボだ。悪夢だけど。


 ダンジョンはボスフロアを除いて、扉などを遣って、密室をつくることはできない。できたらダンジョンコアを壁に囲まれた部屋に設置すれば、ダンジョンは攻略出来なくなってしまうから。ただし、これにはいくつか例外がある。


 その内の一つが肉壁だ。つまり魔物を使って入り口を塞ぐことは禁止とされていない。だからフナムシは壁中に張り付き、入り口のフナムシが倒されるごとに、入り口側に詰める。そうして、入り口を封鎖できるのだ。


 武道などで重要な心技体。その内の心を強く保てない敵は、このフロアを越えることはできない。



 入り口を塞いでいるこの気持ち悪いエビモドキを倒して脱出しよう!


「ぜゃぁあ!」


 三匹のフナムシが斬り裂かれ、地面に落ちる。


 よし!今だ!全力で前に進ーーーダメだもう新しいのが壁を塞いでいる。もういい突破しよう。最速でこの階を攻略して、次の階に進もう。


 迫り来るゴキブリを横薙ぎに斬り払う。


「ギァィィィィイ!!」


 半分になったゴキブリがそのまま襲いかかる。


「なんで!?なんで死なないんだ!?ヒィッこっちに来てる後ろからも上からも!」


 ゴキブリが女勇者シーアの腕に噛み付く格の差から痛みもダメージもそこまでないが、生きたまま食べられるという恐怖がシーアの全身を襲う。


 その一瞬だけ生じた隙に何匹ものゴキブリが身体中にゴリゴリと噛み付く。


「嫌、嫌だ、嫌ァァァァァァァァア!!!シャイニングスラッシュ!!!」


 身体にとりついていたゴキブリをすべて斬り落とす。一歩足を前に出すと、グシュリと気持ちの悪い感触を足が伝えてくる。恐る恐る下に剣を向け、踏んだなにかを確認すると、クリーム色の汁が漏れ出ているゴキブリの死骸が残っていた。



 

 一つ説明し忘れていたことがあったよ。

 

 リポップ。死んだ魔物を一定時間後に再び召喚するシステムだ。このシステムを設定された魔物は倒されると、一定時間後に姿が消える。一応ダンジョン自体も消化する機能を持っているが、リポップ機能のほうが、短い時間で魔物の死骸を消すことができる。

 それでこの四階層。リポップを設定していない。つまり、死んだ魔物がすぐには消えない。徐々にドロドロと溶けながら消えていくのだ。真っ二つにして、殺したら、お腹の中身とか見えたまま残るし、毒殺など、外傷を負わせずに倒したとしても、ドロドロと溶けて気色悪い姿に変わる。屍の山を掻き分けながら進まなければいけないフロアになっているのだ。


「オエッウプッ」

 吐きそうななるのを我慢しながら、敵を切り続けている。もうどのくらい時間が経ったのか。ブーンと羽音を立て、六本の黒光りする足を見せ付けながら全方位より飛んできた奴らを見て、ああ、これはもうムリ。気持ち悪っ。


 その思考を最後に、私は気を失ったのだった。


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