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インセクトマスター  作者: 天野げる
1章 死にたくないからダンジョンを創る
12/26

閑話:俺が人を殺せる理由

今回の話は読まなくてもストーリー上に全く影響はありません。一部不快な表現があります。

後書きに今回の話を簡単に書きますのでそちらだけみても大体わかります。

 

あれから3日経った。

 ダンジョンにやってきた敵は魔物ばかりで人間は一人もいない。ここは人間の拠点から遠い所なのかもしれないな。



 ようやく怪我が治り、体も動かせるようになった。一時は半殺し超えて九割方生命力が無くなっていたことを思い出すと、今でも寒気がする。




 

 ダンジョンマスターとしてなのか、元々そういう人間だったのかは分からないが、人間を直接殺したことに、あまり罪悪感などは感じなかった。討伐しなければ自分が死んでしまうという大義名分があったとはいえ、恐らく前世でも人を殺したことがないだろう俺が、恐怖を抱かなかった理由はどこか欠けているからなのかもしれないな。


 

 欠けている……心臓か!?多分心臓が無いということで、人間としての考え方がいくらか欠落したのかもしれない。

 

 人が人を殺すことに忌避感を覚える理由は、親や先生などから、『人を傷つけてはいけません』と幼い頃から刷り込まれるからというのも一つ、これが経験としての理由。

 そしてもう一つ、こっちの理由が、俺が平気とは言わないが、躊躇無く人間を殺せるようになった理由だとおもう。人に危害を与える……例えばシャーペンで目の前にいる人の目を突き刺す想像をしてみる。シャーペンを持つイメージをした方の手が震えていたり、思わず目をおさえてしまう人もいるかもしれない。

次にシャーペンを持つ手を反対側にして、刺す対象をイモムシに替えて想像してほしい。


 目を突き刺しても、自分の目が疼いたりする人は極端に少なくなるだろう。手が震えることはあっても、それは嫌悪感からくるものが大きいだろう。それを犬に置き換える。……やはり人間の時と同じような感覚に陥る人が多いだろう。


 

 人間とイモムシと犬の違い。

まず人間と犬に類似している特徴。まずは血の色が同じ。恒温動物。ある程度お互いに意志疎通ができる。手足の数。こんなところだろう。イモムシは血の色が違う種類もいて、変温動物で、意志疎通もできなくて、手足の数も違う。


 次に犬をイモムシに近づける。まず、よだれが緑色で血が青色だった場合、犬は今ほど飼いたいペットとしての地位は高くないだろう。

 そして足の数が昆虫と同じーーーつまり六本になったらさらにその地位は落ちることだろう。だか勿論それでも変わらずに犬を愛するだろう人もいるし、さらにそっちの形になってから、犬を好きになる人もいるかもしれない。


 要するに大体の人は人という形から外れれば外れるほどに共感し辛くなるってことだ。だから人間の目を突き刺す想像をしたとき、目が疼いたりしても、自分からかけ離れた姿ーーーイモムシを突き刺した想像では自分の目は疼かない。無意識に自分に置き換えるからこそ、虫より人間を殺すことに恐怖する。



 だか、人の形をした案山子とイモムシのどちらかを突き刺せと言われたら、案山子のほうが楽だろう。それは案山子が生きていないからだ。案山子のほうが人に近い形をしていても、作り物でそこに生命は宿っていないなら、虫よりも躊躇せずに突き刺せるだろう。


 そして逆に案山子に自我が芽生え、イモムシか人間のどちらかを突き刺せと言われたら、多分案山子はどっちでもいいと思うのだろう。何故なら案山子は生きていないから。他の生き物を自分と重ねることは出来ないから。



 話を俺に戻そう。俺には生物として、必要なものーーー心臓が無い。いや、正確には存在しているのだが、身体の中にあるわけじゃない。今の俺の状態は半分案山子みたいなものだ。虫より犬より人間に近い形をしているが、実は一番遠い生き物だ。


 だから人間を殺すことに戸惑うことが無いのだろう。いつかこの世界にいるであろう他のダンジョンマスターのコアを破壊するとき、俺は初めて何とも言えない恐怖を味わうことになるのだろう。

 

 あ~、えっとつまり何が言いたいかというと
































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒマだ。


コウが人間を討伐するのに躊躇しない理由は、そうしないと自分が死ぬからと、心臓がなく、生き物としての自覚が薄れ、人と虫の命の価値が同じ感じになってるからって話です。

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