仕事の報告
気が付けば何時もの会議室である。
テーブルを挟んで向こう側には何時ものようにローさんがスーツを着て座っていた。
「戻ってこられたと言う事は目的は果たされたのですね」
「ええ、まあ。何とか」
「そうですか。ご無事で何よりです」
嬉しそうに微笑む姿は見ているこっちがほっこりする。
「良く考えたらローさんは俺が行く前から結果を知ってたのでは」
「いいえ。私も全てを見通すわけではありません。特にヒロ・ミヤマさんの周りを見る事は出来ないので貴方が無事かは分からなかったんです」
「ヒロ君を見れない」
「はい。それから何度も言いますが絶対に敵対しないでくださいよ。お願いしますよ」
彼に何があるのか非常に気になるが教えてはくれないだろう。
じっとこちらを見つめる目には有無も言わさぬ力があった。
「わ、分かりました」
ローさんはしばらく俺を見つめていたが満足したのか笑顔になった。
「約束ですよ。では向こうで何があったか教えてください」
俺は向こうで起きた事を順番に話していった。
貰った魔法を使った事。
戦い方を教えてもらった事。
霊廟を守っていた霊獣の事。
それをヒロ君が半殺しにした事。
「霊廟の聖獣、カルナガルナですね。しかし色ボケトカゲですか」
「確かそんな事を言ってました。本人は何となくアイツのせいだったような気がすると」
「そうですか」
ローさんは腕を組んで何やら悩みながらうんうんと唸っていた。
「あとヒロ君はあの時間に残りました。やる事が出来たと。あと名前もジンに変えると」
名前は漢字の読み方を変えるだけだが別人として生きるのだろう。
ただ七魔人の1人を殺す事が目的だったの間違いないだろうが、多分他にもやりたい事があると思う。
気になる事は他にもあるがそこまで俺が突っ込む必要はないだろうし、向こうも話したくないだろう。
多分また会う事になるだろうし。
ゆっくりと目を開くとそこは木の壁に囲まれた小さな部屋でテーブルの上で真っ二つになった赤い宝石が転がって今床に落ちた。
どうやらジンと出発した直後のようだ。
背負っていた荷物をテーブル乗せてそっと中身を取り出した。
まず3本の小瓶。
目薬の入れ物と同じくらいの小さな瓶で中身はそれぞれ蛍光色の赤、青、紫とドギツイ色をした3種類の強力な魔法の薬。
次に取り出したのは黒いビー玉のような宝石。
グッと握り締めるとわずかな熱と共に1メートルくらいの黒い杖に姿を変えた。
それは真っ直ぐで先端に大きな黒い宝石が着いていて杖としてはかなり太く重い。
これらともう1つがジンから貰った今回の報酬である。
金額を聞いたところ金では買えないとだけ言われてた。
薬を使う機会の無い事を祈りながら全て鞄に収め、おそらく朝食になるであろう食事をとりに下の階に下りた。
ヒロ君は先輩と後輩と生活していると言っていた。
先輩には剣や魔法を教えてもらったとも。
つまりそう言う事なんだろう。




