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フツウノアリカ  作者: 鈴ノ宮獅翠
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プロローグ

 夏休みが目前に迫ったその日、彼女は唐突にこう言った。


「好きです。付き合ってください」


 場所はお約束の校舎裏。夕日によって照らされた彼女の整った顔が少し、紅潮しているのが分かる。


 しかし彼女は真っ直ぐにこちらを見て、少しの冗談も交えず、ただひたすらに自分の正直な気持ちを俺に伝えている。


 だからこそ俺は戸惑った。


 何故か。


 彼女と自分に関わりがなかったから?違う。

 むしろこれでもかと言うほどに関わっているだろう。それこそ学校外、つまり登下校や放課後、果ては休日まで一緒に過ごす程だ。


 では彼女と自分のルックスが釣り合っていないから?それも違う。

 自分で言うのもなんだが、二人とも顔はかなり整っている。周りからも俺たちが並べば、まるで一枚の絵画の様だと言われたこともあるぐらいだ。


 ならばなぜ、俺がこんなにも戸惑って居るのか?


 簡単な理由だ。なぜなら彼女は


「......俺たち、兄妹きょうだいだぞ?」


 俺の、『妹』だからだ。


   ◇◇◇


 俺、赤坂あかさか佑真ゆうまは高校一年生である。


 誕生日は4月24日。


 身長は172cmと平均的ではあるが、顔は整っていると思う。


 成績は中の上ぐらいで、運動は帰宅部のため、あまりしていない。


 そして、妹の名前は赤坂あかさか茉由まゆ。彼女も俺と同じ高校一年生だ。


 誕生日は3月7日。


 身長は152cmと少し小柄だが、こちらも顔はかなり整っている。

 胸は...まあ、小学6年生と言っても良いレベルである。


 しかし、それとは対照的に頭脳明晰、運動神経抜群なのだが、何故か帰宅部である。


 俺はいままで、そんな茉由のことを仲の良い妹だとしか思ってなかったのだが、茉由の方はそうでは無かったらしい。


「......俺たち、兄弟だぞ?」


 長い沈黙の後、茉由は「...知ってる」と少し拗ねたような声を発した。


「なら何で.......」


 今までの事に頭が追い付かず、何の面白味も無いことを聞いてしまった。しかし、家の完璧妹はこの状況でも相手の事を考えて行動出来るようで


「一週間前にさ、おにぃ、プール誘ってくれたじゃん?」


 としっかり説明をしてくれる。それに俺は一言だけ返し、一週間前に思考を戻す。


「プール?」


 確かに俺は先週、茉由をプールに誘った。


 でもそれは俺のクラスメイト(断じて友達ではない)である卯月うずき菜名ななから、「あんたお一人様だろうけど、プールのペアチケットあげるよ~www」とからかい半分で渡された物だ。


 それに俺は、告白されても断ってるだけだし。


 ここまで茉由に話した上で、「せっかく貰った物を使わないのも悪いしな」という一言も添えて誘ったのだが......。


「あの時さぁ、ふと思っちゃたの。何かデートみたいだなぁって」


 ...俺も少しだけそう思っていたと言うのは言わないでおこう。


「そう思ったら急にお兄のこと意識しちゃって...それで!」


 顔を真っ赤に染めながらひどく照れた様子でそう言った茉由に、悪いとは思いつつも言葉が口を突いて出てしまった。


「そ、それだけ!?」


 そんな会話だけで落ちたのか。兄ちゃん茉由が変な男に引っ掛かりそうで心配だよ。


「だってしょうがないじゃん!少しとはいえ、初めてかっこいいなって思った人が、四六時中一緒の家に居るんだよ?意識するなって言うほうが無理でしょ!?」


 一気にまくし立てるようにそう言った茉由は今までにないほど顔を赤くしていた。


 少ししてから、茉由は「熱い熱い」と言いながら両手で自分の顔を扇ぎ始めた。


 その姿はいつかのラノベで読んだヒロインとのやり取りのようで、妹だと分かっていても否応なしにこんな事を思わされて。


 家の茉由()、可っっっっっ愛い!!

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