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騎士物語  作者: RANPO
第二章 ~悪者である為に~
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第七話 魔眼

メインメンバーにさらにもう一人。ローゼルのルームメイト、ティアナのお話です。


「ああ、そんな映画あったな。」と思う人がいるかもしれません。

 《ディセンバ》が来たおかげでなんだか濃い日になった今日だったけど、あたしたちにはもう一つイベントが残ってた。

 ローゼルのルームメイトのティアナがひと月の間部屋にこもってた理由――クリオス草で治ったっていう魔法絡みの何か。それを今日の放課後に聞くって約束。

 元気になったならそれでいいじゃないって思うんだけど……ローゼルの口調からするとそこそこ重たい話みたいで、ローゼルとな……ナカヨクしてる以上そうなっていくと思うティアナのそういう話はきっと聞いといた方がいいわよね。

 フィリウスに関する話を延々と聞かされたあたしがベッドでぐでっとしてると誰かがドアをノックした。

「オレが出るよ。はいはい誰ですかー?」

「わたしだ。」

 ドアの方から聞こえたのはローゼルの声。

「例の話なんだが……ティアナが夕食を作ったから、それを食べながら話さないか?」

「ティアナさんが? へぇ、料理出来るのか。」

「基本的には学食なのだがな……休みの日などに振舞ってくれる。味はわたしが保証するよ。」

 ってことで、いつもなら学食に行く時間にあたしとロイドは女子寮の二階の隅っこ、ローゼルの部屋に向かう。途中、他の寮生に会ったけど、ロイドを見ても特に表情を変えたりってことはなかった。

 寮の中では階ごとにルールみたいのがあったりするんだけど、あたしは部屋の位置的にそういう話を聞かないからローゼルが言ってた寮の中におけるロイドの認識みたいのも知らなかった。

「……ホントに大丈夫なんだな、オレ。」

「何もしなければこのままだろうな。何もしなければ。」

 ローゼルが意地の悪い口調でそう言うと、ロイドがとんでもない事を言った。

「何もしないよ……でもまぁ、煙たがられたりしたら女装でもするかって本気で考えていたりしたから良かったよ。」

「はぁっ!?」

「なにっ!?」

 あたしとローゼルの反応にビックリしながら、ロイドは恥ずかしそうに言う。

「い、いやね。前に男子禁制的な店から買い物しなくちゃいけなくなった時があってさ。俺様じゃ無理だからってオレを女装させて買い物に行かせたんだよ……これが全然ばれなかったし、フィリウスも「大将の意外な才能だな!」って言っていたから、たぶん、そこそこいけるんだと思ってるんだ。女装。」

「ななな、何よ男子禁制的な店って!」

「ロイドくんはフィリウス殿とどんな旅をしていたのだ!」

「六……七? 年間も旅してれば色々あるんだよ。お、ここか。」

 ロイドはリシアンサスとマリーゴールドって書いてある札がある扉の前で立ち止まる。

「……今度じっくり聞くとしよう。とりあえず、どうぞだ。」

 ローゼルが扉を開くと良い匂いが鼻をついた。正面にはあたしたちの部屋と同じようにキッチンがある廊下があって、そこにエプロンをつけたティアナが立ってた。

「い、いらっしゃいませ……」

 制服じゃなくて私服に着替えてるティアナは、なんかサイズが合ってないんじゃない? って思うくらいにぶかぶかの上下を着てた。

「ティアナ、まだその服を着ているのか? もう必要ないだろうに……」

「な、なんかこれはこれで楽だなーって……あ、ご飯もうちょっと待ってね。」

 ティアナの後ろを通って奥の部屋に入る。あたしたちの部屋と広さは変わらないけど、二つ違うところがあった。

「あ、そうか。上の階の窓はこうなってるのか。」

 ロイドが窓際に立って下を眺める。あたしたちの部屋は一階だから庭に出れるような大きな窓がついてる。だけど上の階にはそれがない。代わりに小物を並べられそうなスペースのついた小さな窓があった。

「上だと眺めが多少良いが、庭には出られないからな。その点、下の部屋は羨ましい。」

「でもローゼルさんなら氷の階段作って降りて来れそうだけど。」

「ふふふ。せめて滑り台だな。階段では滑って危ない。」

「そうか……ん? あれ? この部屋はベッドが片方に寄ってるのか。」

 あたしたちの部屋と違って、ローゼルの部屋は片側にベッドが二つ並んでて、テーブルとかはもう片方に置いてある。

「と言うよりは、ロイドくんらの部屋が特殊なのだ。基本はこの形だよ。」

「そうなのか。」

 そう言いながらロイドがぼんやりと部屋を見渡してると、ローゼルが少し顔を赤くしてロイドの目を片手で覆った。

「あ、あんまりじろじろ見るな。女性の部屋を……」

「ご、ごめん。なんかそれぞれの色になってるんだなぁっと思って。」

「色?」

「この部屋、小物とかベッドのシーツとか、大雑把にわけると青色と黄色にわかれている。」

「ああ、それか。わたしは基本青系統で、ティアナは黄色。確かエリルくんも赤色でそろえていたな。」

「見事に髪の色と言うか、得意な系統と言うか……そういえばティアナさんの得意な系統って?」

 ロイドがそう聞くと、ローゼルの表情が少し変わった。

「……これからする話に関わって来る点の一つだな、それは。」



「お、おまたせしました……」

 ティアナが作ってくれたのはビーフシチュー。それとボウルにもられたサラダをテーブルにおいて、あたしたちはローゼルの部屋のテーブルの周りに座った。

「うん、うまい。」

 いただきますをしてからロイドがそう言うまでロイドの方をそわそわと見てたティアナはその言葉を聞いてホッとし、自分も食べ始めた。

「……ロイド、あんたは料理できないの? 七年も旅人してたんでしょ?」

「……丸焼きを料理と呼ぶならできるけど。そういうエリルはどうなんだ?」

「あたしは……お、お菓子なら……」

「おお……女の子だな、エリル。」

「なによその感想!」

「アップルパイ作れるか?」

「なによいきなり……作れるけど……」

「ほんとか! オレ、アップルパイ好きなんだ。今度作ってくれよ。」

「……考えとくわ……」

 アップルパイ――パイ生地の材料が無いわね……買ってこないと。

「ちなみにローゼルさんは?」

 あたしたちの会話をふくれっ面で見てたローゼルにロイドが聞いた。

「わ、わたしか? そうだな、パスタなら作れる。何でも。」

「何でも? それってえっと……どんなパスタでも作れるってこと?」

「ミートソースやカルボナーラ、ペペロンチーノ――なんでもだ。」

「何よそれ。なんでパスタだけそんなにできるのよ。」

「……色々あってな。」

 その後、丸焼きしかできないけど魚はさばけるとかいうロイドのよくわかんない特技の話をした後、ローゼルが本題に入った。

「さて……ではそろそろ話そうか。ティアナがこの一か月の間部屋から出てこなかった理由を。」

「? あんたが話すの?」

「ティアナは何と言うか……人に何かを説明するのが下手なのだ……」

「苦手なんじゃなくて下手なのね……」

「そうだ。壊滅的に。」

「ロ、ロゼちゃん……」

 真面目な顔で言うローゼルとあたふたしながらローゼルの制服を引っ張るティアナ。

「この一か月の間の話をする為に、説明するべきことが二つある。一つは、ティアナの得意な系統――ティアナは第九系統、形状の魔法を得意とする。」

「形状? ん、もしかしてローゼルさんが前に言っていた身近にいた形状を使う人ってティアナさん?」

「いや、それはまた別の人だよ。わたしも驚いたモノだ。第十二系統の時間程ではないが魔法を使う者の中では少数派の形状使いにこうも出会うとは思わなかった。」

 縮こまるティアナ。

「形状の魔法は――一応わたしたちでも使う事が出来る系統だ。しかし……学院長のような例外を除けば、それを得意としない者では物体の形を変えるくらいしかできない。だが得意とする者は物体に加えて生物の形も変える事ができる。」

「ん、覚えてるぞ。腕を増やしたり傷口を治したりできるんだろ?」

「そうだ。極めると人以外の生き物に「変身」する事すら可能になると言う。」

「おお! ティアナさんはすごいんだな!」

 ロイドが「すげー!」っていう顔でティアナを見たけど、ティアナはぶんぶん首を振ってた。

「いや、ティアナはまだそこまでできないよ。この間までは物体の形を変える事しかできなかった。」

「……過去形なのね。」

「ああ。そこでもう一つ説明するのが――ティアナの特殊な体質。」

「体質? あ、エリルみたいに魔法に合った身体とか?」

「……それ以上だな。」

「! まさか……」

 あたしは思わずティアナを――ティアナの眼を見た。

「? どうしたんだ、エリル?」

 初めて見た時に感じた引き込まれるような……あのつい見入っちゃう感じはそのせい……

「ティアナ……あなた、魔眼なのね?」

 あたしがそう言うとふっと下を向いて、そのままティアナはこくんと頷いた。

「えぇ?」

 いつもみたいに何も知らなそうなロイドのすっとぼけた声が聞こえたから――

「――ロイド、魔眼っていうのは――」

「ティアナさん、魔眼だったのか。そりゃすごい。」

 説明しようとしたら、意外にもロイドはそんな反応だった。

「なに、あんた知ってんの? 魔眼。」

「あ、どうせ知らないとか思ったんだろー。」

 ニシシと腹の立つ顔で笑った後、ロイドはあたしたちに解説するみたいにしゃべりだした。

「人が魔法を使うようになってからしばらくして、特殊な力が宿った眼を持つ人が現れ始めた。魔法が人の身体を進化させたとか、ただの遺伝子異常とか色々な説はあるけど、普通の人には無い能力を持った眼を――魔眼と呼ぶ。」

「……なんか説明するロイドって気持ち悪いわね。」

「ひどいな! 毎朝体術の説明してるじゃんか!」

「あれとこれは分野が違うからな。違和感がとんでもない。」

 あたしとローゼルが変なモノを見る顔をしてる中、ロイドは少し落ち込みながら解説を続けた。

「……その特殊な能力ってのはいくつかあって、例えば人には見えないはずのマナの動きを視る事ができたり、相手に幻を見せたり……でもってその能力の違いでそれぞれの魔眼に名前がついている……」

「完璧だな。十二系統も知らなかったのになぜ魔眼にはこんなに詳しいんだ?」

「フィリウスとの旅の中でね。ちょっと魔眼使いと関わる事があったんだよ。」

 ちょこちょこフィリウスさんとの旅の経験が出るロイド。あんなに一般的な事を知らないのに変な事に詳しいなんて……もしかしてフィリウスさんは、学院じゃ学べない事を教える為に旅をした――のかしら?

「そう、ティアナは魔眼の持ち主だ。魔眼ペリドットのな。」

「ペリドット……えっと、どんな能力があるんだっけ。」

「簡単に言えば遠視だろうか。すごく遠くまで見え……加えて常人離れした動体視力がある。普通の人の眼をそのままレベルアップさせたようなイメージだな。」

 ティアナは第九系統の形状の魔法を得意な系統としてて、魔眼ペリドットの持ち主。

 何が起きたのか、だいたいわかったわ……

「要するにティアナ、あなた魔法が暴走したのね?」

 あたしがそう言うと、ティアナはビクッと身体を震わせ、ローゼルが少し厳しい顔になった。

「さすがエリルくん……」

「?」

 これに関しては首を傾げたロイドに、あたしは説明する。

「魔眼はそれだけで一つの魔法みたいなモンなのよ。だから魔眼を持つ人が魔法を使うと――術式の中に魔眼が混ざってきて魔法が狂う――暴走しやすいの。」

「暴走すると――どうなるんだ?」

「あたしやあんた、ローゼルなら……例えば出そうと思ってた風よりも強かったり弱かったり、耐熱魔法が上手くできなくて火傷したり、凍らせる対象がずれたり。」

「あ、危ないな、それ。」

「そして今回はティアナ。暴走したのは形状の魔法――」

 そこまで言ってようやくわかった。ティアナが一か月も引きこもってたわけが。

「……そういうこと……確かに、辛いわね。」

「え? え? どういう事?」

 ロイドがさらに首を傾げるの対し、ローゼルが口を開く。

「ロイドくんは……その、見たのだろう? この前、ティアナ……顔を。」

「見たけど……いや、なんていうかその……」

 ロイドは申し訳なさそうにこんな事を言った。

「あとになって思い出せるのはその金色の眼とか金色の髪だけだったというか……そっちの方が印象強くて……他はそんなに覚えてないんだ……」

 それを聞いてティアナがほっとした顔になる。

 でもロイドはきっと覚えてる。だけどそれがティアナにとってどうなのかを考えて、こう言ったんだと思う。

 もしかしたら本当に忘れてるのかもしれないけど……なんとなく、ロイドはそういう事をするんじゃないかって思った。

「……覚えていないのならそれはそれでいいが――話すのだろう? ティアナ。」

「う、うん。」

 ローゼルは「ここからが本題」とでもいうくらいに、真剣な顔をもっとキリッとさせた。

「――一か月前、物体の形状しか操れなかったティアナはこの部屋で生物の形状変化に挑戦した。」

「おお。つまり――変身に?」

「まさか。変身は形状魔法の奥義みたいなモノだからな……傷を治せるようになるぐらいを目指して始めたのだ。」

「なるほど。」

「だが今までやった事のない生物の形状変化を、例えばいきなり自分の腕とかにやるとさすがに危険だ。だから大抵、形状使いは髪の毛の変化から練習を始める。」

「髪の毛?」

 当然のようにロイドはそのすっとぼけた顔をあたしに向ける。

「……髪の毛なら別に失敗しても大したことないし、だけど一応身体の一部だからその辺の物を変化させるのとは感覚が違うのよ。だから形状使いは最初、髪の毛を変化させる事で魔法のイメージとかをつかむのよ。」

「へぇ。」

「そうしてティアナが自分の髪の毛の一本に形状の魔法をかけた時――魔法が暴走したのだ。」

 その時の事を思い出したのか、ローゼルとティアナは二人そろって暗い顔になる。

「暴走した結果、魔法は髪の毛ではなくティアナの全身にかかってしまった。」

「全身!?」

「ああ……あまり詳しくは話さないが……人間のシルエットはそのままに、所々がおかしくなった……とだけ言っておこう。」

 暴走して自分の身体のどこかが変形しちゃったんだろうとは思ったけど……まさか全身とはね。それは引きこもるわ……

「すぐに先生に相談しようと思ったのだが、ティアナが誰にも見られたくないと言い張った。正直あの姿であれば、そう思う気持ちはわかってな……わたしは誰にも言わなかった。」

「え、誰にも? それじゃあどうやって……その、元に戻そうと……?」

「自力で、だよ。暴走とは言え、形状の魔法で起きた事なのだから、形状の魔法で元の形に戻せばいい……この事故が起きた事は二人だけの秘密にし、何事もなかったかのようにこっそり治してしまおうと思ったのだ。」

「ポジティブだなぁ、ティアナさん。」

 ロイドが――裏表のない純粋に感心してる顔でティアナを見ると、ティアナはぶんぶん首を振った。

「あ、あたしは……お布団の中で……泣いてた……だけだったよ……ロゼちゃんが励ましてくれたの。」

「でも自力でなんて……元々生物の状態変化はできなかったのよね? 髪の毛から始めたわけだし……」

「そうだ。だから勉強したのだ。わたしが図書館から形状魔法に関する本を借りてきて、それを読んでティアナは魔法を練習したのだ。」

 ローゼルは疲れたように肩をまわす。

「いつでも授業に復帰できるように、わたしはティアナの分のノートを取ったり、その日の授業の内容を教える。ティアナはわたしが借りてきた本を元に部屋で魔法の練習をし、元に戻る為に技術を磨く。それがここ一か月間のわたしたちの生活だった。」

「……ハードだな。」

「なに、やってやれない事は無い――そんな事を実感した一か月だった。きちんと成果も出ていたしな。」

「成果?」

「そうだ。ティアナは魔法の技術を着々と上げ……徐々に自分の身体を元に戻していったのだ。」

「! すごいわね……それって本を読んで独学でって事でしょ?」

 戻りたい一心でってのもあると思うけど、それでもすごいわ……

「このまま行けばティアナが元に戻るのも時間の問題――だと思っていたのだがな、その時間がまずくなってきたのだ。」

「……試験ね?」

「そうだ。筆記試験はまぁ、最悪なんとかなるかとも思ったのだが、実技はそうはいかない。先生の前で披露しなければならないからな。加えて、その頃元に戻さなければならない場所は残り一か所だけだったのだが――そこは顔だったのだ。」

「? 顔だとなんかあるのか?」

「自分の眼で直接見る事ができないのさ。そういう意味では背中もそうなのだが、幸い背中に変化は起きていなかったからな。」

「鏡見ながらでも難しいのか?」

「難しい。鏡を見ながら文章を書くようなモノかな。」

「――うん、それは……難しそうだ。」

 あたしは形状の魔法を使えないからわからないけど、生物の形を変えるなんて難しそうな事を鏡越しっていうのはきっと相当なことなのね。

「試験が迫る中、それまでに顔を戻すのは難しい……わたしたちはそう判断した。だから学院長に相談しようと考えたのだ。あの人ならば確実だと思ってな。」

「え……でも顔は……まだだったんだろ? 他が元に戻ったって言っても顔は特別だろうし……」

「わたしもそう思った。が、この一か月間で――友人の事ながら嬉しいのだがティアナは随分強くなってな。全身があのままだったらそれでも嫌だったかもしれないが、顔だけならまだ何とか頑張れると。」

「すごいなぁ。あれだ、ティアナさんにはガッツがあるんだな。」

「――!」

 ロイドが自分の腕をぺしぺし叩きながらそう言うと、ティアナは顔を赤くしてさっきから下を向いてる顔をもっと下げた。

「そして、わたしがロイドくんからクリオス草の事を聞いたあの日、ティアナは一人で学院長の元に向かったわけだ。ここが妙に頑固な所なんだが、ティアナは一人で行くと言い張ってな。ついて行くと言ったわたしを置いて放課後に学院長がいる建物に向かい――ロイドくんに会ってしまったのだ。」

「じゃあ入れ違ったのね。クリオス草の事をティアナに言う前にティアナは学院長のとこに行っちゃったって事でしょ?」

「そうだ……」

 ローゼルは、なんでか知らないけどたまに見せる半目とへの字の口になる。

「戻って来たティアナは妙に顔が赤くてな……しかし元には戻っていなかったから、学院長には会えなかったのかと聞いたら王――」

「ロゼちゃん!」

 何かをいいかけたローゼルの口を覆うティアナ。これ、前も見たわね。

 半目のローゼルが顔を真っ赤にして怒ってるのか慌ててるのかよくわかんない顔のティアナを見てため息をつく。

「――ま、つまり男子生徒に顔を見られたから戻ってきてしまったと。そこでクリオス草の事を話して、次の日リリーからそれを買い、保健室の先生に薬にしてもらって――無事に元に戻ったというわけだ。」

「……要するに、クリオス草の事を知ってればすぐに解決したって事よね、これ。」

「ははは。ま、そうなるがな。この一か月間はムダではなかったよ。わたしはティアナに教える分、普段よりも授業内容を理解できたし、ティアナに関して言えば一か月間形状の事だけを勉強していたわけだからな。今では当初の目標だった傷口の治療もできるようになってしまったよ。」

「んまぁ、結果的に良かったならよかったよかった。」

「そうね。でも大事な所が解決してないわ。」

「えぇ? どこだ?」

「そもそも、暴走しなければ良かったわけでしょ?」

「そうだ。エリルくんにアドバイスをもらいたいのはそこなのだ。魔眼をきちんと制御する為にはどうすれば良いか。」

 わたしは家の……都合で授業で習うよりも早く色んな事を知ってる。それに、自分で言うのもあれだけど魔法は得意。ローゼルがあたしにこれを聞くのは納得できるんだけど――

「……悪いけど力にはなれないわよ。あたしもそんなに詳しいわけじゃないし――それこそ学院長に聞いたら?」

 魔眼は、そういう眼を持つ人がいるって言ってもそんなに多くない。持ってるってだけで騎士団の中で重宝されたりなんてこともよくある事。だから魔眼はその専門家じゃないとキチンとした事は言えないのよね。

「えぇ? 制御する方法だろ? それなら知っているけど……」

 また意外な事に、ロイドがそう言った。

「なによ、あんた魔眼博士なの?」

「それはあの人――の話は、んまぁいいとして、さっき言った魔眼使いに教えてもらった事をそのまま言うと、オンとオフで分けるんじゃなくて使う使わないで分ける事がコツなんだと。」

「ど、どういう……事かな……」

 あんまり会話に入ってこなかったティアナがロイドの方を向いた。

「えっと……たぶん今は魔眼を使おうと思った時に初めて魔眼を――発動させていると思うんだけど……」

「う、うん……ずっと使ってたら疲れちゃう……から。」

「そこをだね――」


 そこからしばらくロイドとティアナの会話になった。魔眼をきちんと制御する方法……ロイドが言った事をまとめると、それは常に使う事なのだとか。

 あたしたちの眼は見るモノまでの距離に合わせてピントを変えれるわけだけど、それの――一部っていうか、延長みたいな考え方で魔眼を使うのがいいらしい。

 例えると筋肉みたいなモノで、重たいモノを持つ時だけ力を出してそうでない時は力を抜いてる。でも別に筋肉の電源をオフにしてるわけじゃない。そんな風に、意気込んで魔眼を発動させるんじゃなくて、いつもよりちょっとだけモノをよく見ようとする時に必要な力を引き出す……そんな感じらしい。

 まぁ、これでティアナの魔眼については――すぐに解決ってわけじゃないけど、もう起きないようする対策はとった事になる。


「これで一件落着かしら?」

 食器を片付けて食後のコーヒーを飲みながらあたしがそう言うと、ローゼルとティアナがぺこりと頭をさげた。

「そうだ。色々とありがとう、二人とも。」

「あ、ありがとうございます。」

「あたしは何もしてないじゃない。クリオス草の事も魔眼の制御方法も教えたのはロイドよ……」

「オレも大したことしてないぞ。知っている事を教えただけだ。だからきっと、感謝を向けるべきなのは一か月間頑張った自分たちにじゃないかな。」

「はは、少しキザだなロイドくん。」

「えぇ!?」

「だが――せっかく出した感謝、受け取る相手がいないなら自分の懐にしまうとしようか。」

 ローゼルとティアナが互いを見て笑みをこぼす。そんな二人に砂糖とミルクをたくさん入れてもうコーヒーじゃない甘い何かにして飲んでたロイドがぼそりと言った。

「じゃあ次はティアナさんの話を聞く番だな。」

「? 今聞いたじゃない。」

「今聞いたのは一か月間の話だろう? ティアナさんはもうオレたちの友達なんだから、色々知りたいじゃんか。どんな武器を使うとか、なんで騎士を目指すのかとか。」

「なるほど。女の子の情報は仕入れておきたいロイドくんなのだな?」

「変な言い方やめて下さい!」

「しかしまぁ……うん、たぶん今なら誰もいないだろう。ちょっと見てみるのもいいかもしれないな。どうだ、ティアナ。」

 あたしとロイドが?を浮かべてるとティアナがこくりと頷いた。




 鍛錬所。エリルに案内してもらった時に来たけど入った事はなかったその建物の中には、夕飯時も過ぎて風呂に入ろうかって時間なのにそこそこ人がいた。

 たまに――えっと、ダンベルっていうんだっけか。なんか重たい奴を上げ下げしていたフィリウスが見たら喜びそうな……身体を作るための道具がたくさんあって、でもって多種多様な武器を思う存分振り回せる広い空間もある。しまいには魔法で動く人形が相手をしてくれるなんて部屋もあった。

「さすが騎士の学校って感じだな。強くなれる環境があるというかなんというか。」

「そうだな。わたしも入学したての頃は律儀にここに来ていたよ。しかし家での特訓を思い出して嫌になったな。せっかく抜け出したのに何をしてるのやらと。」

「? ローゼルさんは騎士になるのが嫌なのか?」

「昔はな。家がそうだから仕方なく頑張って、面倒な事になったり面倒な事を言われたりしない程度に力を入れて――学院に入った時は家よりは縛りのない三年間に突入できたと、我ながら大喜びだった。」

 ローゼルさんは優等生だけど、それが素ではない。それがわかってローゼルさんを見ていると、時々ものすごくつまらなそうな顔をしているのがわかる。授業中、たまにあくびをかみ殺してたりもする。

「あ、あたしも、ロゼちゃんの――素顔っていうのかな、そういうの……お部屋で見た時はビックリしたよ……」

 ティアナさんが思い出し笑いをする。小さく笑うその感じはなんだか小動物みたいだ。

 しかし……「ティアナさん」か……

「あの、ティアナさん?」

「は、はい……」

 どこに向かっているのかは知らないけど、鍛錬所の中を歩きながらオレはティアナさんに話しかける。

「ローゼルさんをローゼルさんって呼んでいるからなんとなくティアナさんって呼んでいたけど、「ティアナ」って呼んでいいかな。」

「ふぇ!?」

「なに!?」

 ティアナさんが驚くのはともかく、なんでかローゼルさんがすごい勢いでこっちを見た。

「え、えっと……あ、あたしは……その……い、いいよ……」

「よかった! んじゃこれからはティアナって呼ぶよ。」

「ちょ、ちょっと待てロイドくん! わたしは!」

「……ローゼルさんはローゼルさんで……」

「な、なんでわたしだけ「さん」付けなのだ! なんかこう――距離を感じるぞ!」

 えらく必死なローゼルさんだけど、これには理由がある。

「えっと、ほら、ローゼルさんは美人だから。」

「んにゃ!?」

 舌を噛んだのか、語尾がかわいくなるローゼルさん。

「個人的な感覚で悪いんだけど……こう、美人は「さん」を付けて呼ばないとっていう……イメージっていうかなんというか……ほら、あるじゃんか! 理由は説明できないけどそれぞれにあるこだわりみたいなの! あれだ!」

 説明しづらいオレの感覚を説明するんだけど、ローゼルさんはいつかみたいに顔を覆って隅っこにうずくまってしまう。でもってエリルが見るからに不機嫌な顔になった。

「そうね。確かにローゼルは美人よね。スタイルいいし、表向きは優等生だし、騎士の名門だし、クラス代表だし!」

「後半、関係ないんじゃないか?」

「うっさい!」

「あ。あれだぞ? オレがエリルをエリルさんって呼ばないのはエリルが可愛いからだぞ?」

「みゃっ!?!?」

 エリルの顔が過去最速で赤くなる。

「ざっくり分類するとな、個人的にローゼルさんは美人系でエリル――とティアナは可愛い系の女の子なんだよ。そんで可愛い系の女の子に「さん」を付けるとすごい違和感があって、どっちかっていうと「ちゃん」なんだけどそれは恥ずかしいから――呼び捨て的な?」

 頑張って説明したけどエリルとローゼルさんは背を向けているから、オレは何とは無しにティアナの方を見た。まるで髪留めの重さに引っ張られているみたいに、少し首を傾げてオレの方を見ていたティアナは目が合うや否やプイとそっぽを向いた。



 妙な空気の中、オレたちは縦に長い部屋に着いた。部屋の奥の壁がえらく遠くにあるのだ。

「コホン。えっと、ここは主に遠距離武器を使用する者が利用する部屋だ。」

 そういいながらローゼルさんがパチンと指を鳴らすと、部屋の奥の方にダーツのマトみたいなモノがガショガショ出てきた。

「遠距離武器……弓と銃であのマトを狙うのか?」

「そうだ。」

「でもってここに来たって事は、ティアナの武器は遠距離武器なんだな?」

「その通り。」

 ローゼルさんがふと目線を送った先を見ると、なんかチケット売り場みたいな受付が部屋の壁際にあって、そこにいる人からティアナが何かを受け取っていた。

「この一か月間、あれを使う事はないだろうと――ちょうどいいからフルメンテナンスに出していたんだ。」

「メンテナンス?」

「ティアナの武器はわたしたちのそれと違って複雑なモノだからな。」

 重そうな横長の鞄を受け取ったティアナは少しふらつきながらそれを持って戻って来た。そして鞄を開いてそれを取り出し――組み立てていった。

「な……何よそれ。」

 エリルが驚く。

「無理もない。わたしもこれを見た時はビックリしたよ。少なくともこの国では見ない代物だからな。」

「へぇ。ティアナはガルド出身なのか?」

 鞄から出てきたモノを見てオレがそう言うと三人が同時に驚いた。なんか今日は驚かれてばっかりだな。

「……あ、あたしはこの国の生まれ……だけどお爺ちゃんまでは……ガルドだったって。これはそのお爺ちゃんの……おさがり。」

「おさがりでこれか……お爺さんもとんでもないモノを孫に与えるもんだなぁ……」

「ロイドくん……これが何か知っているのか?」

「? んまぁ……」

 オレがそう返事すると、しゃがみ込んでティアナのそれを眺めていたエリルが呟く。

「……形的に銃だって事はわかるけど……全部金属でできてるなんて初めて見たわ……」

「ああ……この国の銃はマスケットだもんな。」

「ますけ……? 何よ、魔眼の次は銃博士なわけ? なんであんたは変な事ばっか詳しいのよ。」

「しょ、しょうがないだろー……フィリウスがそういう変な人とばっか会うんだから。ついでに覚えちゃうんだよ……」

 オレはエリルみたいにしゃがみ込んでそれの説明をする。

「これは金属の国って呼ばれるガルドで作られている銃だ。うちの国が剣と魔法の技術を磨いてきたのに対して、ガルドは工業――科学技術を磨いてきた国だから、こういう、オレたちからするとちょっと凄すぎるモノが出来上がるわけだ。これはな、エリル。スナイパーライフルっていう狙撃用の銃なんだ。」

「狙撃用?」

「ほら、ここ覗いてみな。」

「! これ、望遠鏡?」

「スコープって言って、それで遠くのモノに狙いを定めてものすごく遠い所から撃つんだ。」

 と、そこまで説明したオレを、エリルはえらく不満そうな顔で睨みつける。

「……なんか今日はロイドに教わってばっかりで気持ち悪いわね。あんたは何も知らない田舎者なんじゃないの?」

「そんなこと言われても……」

「たぶん、ロイドくんは役に立ったり、当たり前だったりする事を知らないが、代わりにいつ役立つかわからない微妙な知識が豊富な田舎者なのだろう。」

 エリルとローゼルさんにオレがいじめられている間、ティアナは黙々とライフルを組み立てていた。その慣れた手つき、体格に合わない大きな銃、そして全てに合わない大人しい性格。容姿も含めて……なんだかティアナは色んな事があべこべになっているな。

「できた。」

 よいしょと小声で言いながら持ち上げたスナイパーライフルは、ティアナのエリルより少し低い身長と同じくらいの大きさがあった。

 ローゼルさんが部屋の隅っこに置いてあった木の箱をティアナの前に積んで、ティアナはそこにライフルを構える。

「ティアナの狙撃は――かなりすごいぞ。」

 ガショガショと銃弾を装填したりなんなりした後、ティアナはスコープを覗く。そしてガンと放たれる一発。大きい見た目に反して意外と小さな音なんだなと思うのと、部屋の遥か向こうにあるマトが砕けるのは同時だった。

「すごい……の?」

 と、珍しく首を傾げるエリル。そしてエリルの言うところの珍しくて気持ち悪いオレの説明。

「スナイパーライフルの射程は一キロを超えるから……この部屋、広いって言ってもせいぜい百メートルくらいだろうし……」

「要するに普通って事ね。」

「ふふふ、ティアナの本領はここからだよ。」

 ローゼルさんがそう言ったから、一体何をするんだろうとマトからティアナに視線を移すと、何故かティアナはスコープを覗いていなかった。だけど何かを狙って銃を構えている。

「えっと……これがあ、あたしの特技です……」

 結構な集中力が要るはずの狙撃なのに、そんな風に呟きながらスコープも覗かずに放たれたその一発は――

「な……」

 ライフルが向いている方向とは違う所にあるマトを砕いた。

「え、何よ今の? だって銃はあっちを……」

 狙いがそれたとかそういうレベルの外れ方じゃない。銃弾が曲りでもしないとそっちには行かな――

「え、もしかしてティアナは……」

「そうだ。銃弾を曲げられるんだ。」

「ど、どうやって……」

 オレがティアナの方を見ると、ティアナは――

「えっと、あ、あたしは第九系統の形状が使えて……それとペリドットをあ、合わせて……バンッて出た球をガシッてしてグネグネさせてからキュルンってして、そうするとギュインってなって曲がるの。」

 むふーと、満足気に説明し終えたティアナに対し、オレとエリルはこれっぽっちも疑問が解消されていなかった。

「つまりな、発射された弾丸を魔眼ペリドットの驚異的な動体視力で捉え、その形状を変化させて弾道を曲げるのだ。」

 翻訳してくれたローゼルさん。なるほど、一か月間の説明をローゼルさんがした理由はこれか。

「銃弾を? 飛んでる間に? 確かに……魔法をかける対象が見えてないと魔法はかけづらいから……魔眼で見えてればできるって理屈はわかるわ。でも……そんな一秒以下の時間でできるの……?」

「ティアナの場合、簡単な変形なら見るだけで可能なのだ。魔眼の中に魔法陣が予めセットされているようなイメージだな。」

「見るだけ!? じゃ、じゃあオレが剣を回しながらうおーって迫っても、剣の形をぐにゃっと変えられちゃったりするのか!?」

「ぐにゃってほどの変形は出来ない。見るだけで可能な変形は精々数ミリ、頑張って一~二センチだ。わたしたちが振り回すような武器にその程度の変形が起きたところで大した問題じゃない。だが……高速で空中を駆ける小さな弾丸にとっては大きな変形だ。空気抵抗が変わり、弾道が変わる。」

「すごいな!」

 オレが尊敬の眼でティアナを見ると、少し照れながら――

「が、頑張れば……あっちにあるマト、一発の銃弾で……全部壊せる……よ……」

 ざっと見た感じ二十はあるマトを一発の銃弾で砕く……それは相当な回数曲げられるって事だ。

「まぁ、もちろん曲げるたびに銃弾の威力は落ちていくのだがな。」




 遠くにあるマトに攻撃を当てる。これはちょっと自分の剣術にも関わるって事に気づいたロイドは、その辺に落ちてた棒っきれを回転させてマトに向かって飛ばし始めた。あたしもやろうかと思ったけど、爆発での発射に耐えられそうな適当なモノは近くになくて、だからあたしは壁によりかかってマト当てをするロイドとティアナを眺めてた。

「あんなにニコニコしているティアナはかなりレアだ。」

 気が付くと隣にローゼルがいた。確かにティアナは楽しそうだ。

「見た目や中身や武器や雰囲気……初対面の者からすると色々な事がずれているように感じるティアナだが、彼女の本質は純粋な女の子だ。少女漫画を読んで胸をときめかせ、白馬の王子様を夢見るようなな。」

「そうみたいね。」

「……ティアナがロイドくんに会ったあの日――わたしがクリオス草の事をティアナに教えたあの日、学院長に会いに行ったはずなのに元に戻った様子でもないティアナに、学院長に会えなかったのかと聞いた時……ティアナは顔を赤くしながらこう言った――王子様みたいな人に会ったと。」

「王子――は? え、それってつまり――」

「ロイドくんの事……だろうな。」

 あたしは仲良くマト当てをする二人を――ティアナを凝視した。楽しそうなのはそうなんだけど、ロイドを見るその眼は金色な事を除いてもキラキラしてた。

「人が見れば――場合によっては嫌悪感すら覚えかねない……そういう状態の顔だったティアナの顔を見て……まぁ、無反応だったわけではなかったそうだが……それでもその事は別として、ぶつかった事を謝った。加えて金色……黄色というのは幸運の象徴で、だからティアナに会った自分はきっと近いうちに良い事があるんだろうと、だからありがとうと……ロイドくんはそう言ったそうだ。」

「……ロイドなら言いそうね……」

「そんな優しい言葉をかけてくれて、それにか、かっこいい男子……良くない状態の自分の所に突然現れた、まるで王子様のような人。しかもわたしの友達として再び目の前に現れた。おそらくティアナの中で、ロイドくんは――う、運命の相手くらいにまではなっているだろうな……」

「……そ、そう……」

 胸の中がモヤモヤするのを感じながら、あたしはそれだけ言った。

「ルームメイトまでとはな……まったく。君もうかうかしていられないぞ?」

「な、何の話よ……」

 マト当てをする二人から視線をそらして適当な方を向いたあたしの耳にローゼルのため息交じりの声が聞こえる。

「人生を一変させる出来事の話さ。」

ひとまず、これでメインメンバーはそろった感じですかね。


次の章から、この第二章の副題の由来の人が出てきます。

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