第八章
おいで おいで 手を繋ごう
一人寂しく時の中 誰かを探しに行きましょう
誰も知らない時の中 時を戻しに行きましょう
いこう いこう 知らない明日へ
一人寂しく時の中 誰かを探しに行きましょう
誰も知らない時の中 時を進めに行きましょう
私は一人時の中 誰かをずっと待っている
私は一人 悲しみを分かつ仲間を待っている
探しに行こう 時の中 一人寂しく行きましょう・・・
呪文とも、歌ともつかない声が、静かに響いた。
静かなアルトの美声で語られる言葉は、空虚な響きを持っているように感じられた
「千羅、さっきの人・・・」
「恐らく、『生命の樹に特別愛された者』神玉保有者だろう」
淡々と述べる千羅。
「じゃあもしかして」
「お前の予想は恐らく当たっているだろう」
「だよね。炎の狼さんいたし、“炎の神玉”は、あの子かな」
「「生命の絆」ではあんなに強力な意思を持つ炎は創れない。あれは、飽く迄予想の範疇だが神玉に宿る神の姿ではないかと私は踏んでいる」
「神様!?」
ことりは目を丸くした。神を信じてはいるが、神玉に神が宿るという千羅の予想はにわかに信じられなかったのだ。
「だから、“神玉”なのだろう?」
「そっか。・・・・・ところで神玉って何?」
千羅はこけそうになった。
「お前・・・・・そうか、知らないのか。神玉というのは、私達神子が『生命の樹』から授かった神の力のことだ」
「あ、なんだかそれ、知ってる・・・・・」
「「神は、こう言って私達八人に力を授けた。
「変える力を・・・」
ここじゃない、どこか、不思議な場所で」」
千羅とことりの声が重なった。
「知ってる。覚えてるよ。水色の髪の神様が、私達に丸い何かをくれたのを」
言いながら、自分でも驚いているようだ。ことりは目を丸くしている。
「本当か!?では『生命の樹』が言っていた“宝玉”とは神玉のことなのか!?」
ことりは嬉しそうに手を叩いた。
「そうだよ!きっと八人の神子を探せばいいんだね!!」
「まだまだ先の長い旅になりそうだ」
「うん。でもきっと、楽しい旅になると思うよ!」
ことりはにっこりと天使のように微笑んだ。
遅くなってしまいましたが、覇者、第八章で御座います^^短くなってしまいましたが、楽しんでいただけたら光栄です♪