第九章
水色の髪、透けるような白い肌。
顔は見えなかったが、声だけは聞けた。
鈴のような透き通る美しい声で紡がれた言葉の断片を、おぼろげながらも覚えている。
『変える力を・・・・・』
他にも何か言っていたけれど、それはもう覚えていない。記憶に靄がかかっているかのように、思い出すことができない。
「さて、これからどうするの、千羅?」
ことりの問いかけに、千羅はすぐに答えを返す。
「とりあえず、今のところは何もしない」
ことりは予想外の答えに相当驚いたようだ。目をまん丸くしている。
「何もしないの!?」
叫びに近い声で言われて耳がきんきんしたが、千羅は平静に頷いた。
「ああ。あの炎の少女、必ずまた私達の前に姿を現すはずだ。闇雲に動き回ると逆効果になる恐れがある」
ことりは感心したように何度も相槌を打った。
「そっか。そう考えると何もしない方が得策かもしれないね」
「とりあえず今分かっている者を優先しよう。他はその後だ」
「うん。じゃあ、またあの子が現れるまでの間、ここら辺で沢山遊ぼうね!」
楽しそうなことりに、千羅は曖昧な笑みを浮かべることしかできなかった。
―がさっ
すぐ近くの茂みから、草を掻き分ける音がした。
千羅はすぐに警戒態勢をとり、ことりを庇うように自分の後ろにさがらせる。
「誰か、いるの・・・?」
茂みから出てきたのは、金髪碧目の少年だった。まだ幼さの残る面差しに、低くなりきっていない声。恐らく千羅たちと同い年くらいだろう。
「私は千羅。お前は誰だ?」
少年は警戒している千羅達に困ったような顔をした。
「怪しい者じゃない。僕はルフナ。この近くに住んでいるんだ。よろしくね」
少年―ルフナは笑みを浮かべ、手を差し出した。
千羅はすぐに警戒を解き、差し出された手を握った。
「私、ことり!よろしくね」
ことりもにこにこと笑い、握手をした。
「キミ達はどこから来たの?ここら辺の住人じゃないよね?」
微笑みながら訊ねるルフナに、千羅とことりは顔を見合わせ困った顔になった。
「それがね・・・」
どこまでを話してよいのか図りかねたが、結局二人はすべてを話した。
「・・・と、いう訳なの」
ルフナはずっと黙って聞いていた。何か考え込むように眉間に皺を寄せている。
「僕と同じ・・・・・・?」
ルフナが小さくもらした言葉を千羅は聞き逃さなかった。
「同じ、だって・・・・・?」
「僕も、ある女の子と二人で嵐に巻き込まれたんだ」
「ある、女の子・・・?」
千羅と鈴音は同じ事を考えたが、いや、まさかな、とすぐにその考えをかき消した。
「うん。とっても優しい女の子。ちょっと、キミに似てるかな」
にっこりと微笑みかけられ、鈴音は驚く。
「え、わ、私!?」
ルフナはにこにこ頷く。
「ではあの少女でないことは確実だな」
・・・確かに。
「あの少女?」
「うん。人目をひきつける灼眼が特徴的だったよね」
「灼、眼・・・?」
千羅が頷く。
「もしかして、・・・?」
ルフナが何か言ったが、声が小さすぎて聞き取ることができなかった。
ちょこちょこと少ぉ〜しずつ更新してたら、ウン日以上更新していませんになってしまっておりました!待っていて下さった皆様、本当に申し訳ございませんorz




