6.
私の家に着くと、私が靴を脱いだ後に、アリアは先ほどとは違い、遠慮なく玄関で皮のブーツを脱いで、私の家に上る。
私はアリアの靴を物珍しそうに見ていた、私の靴と違って勝手に脱げるわけでもなく、まずあまり見たことがない。
私はアリアの靴から目を逸らしそのまま、数歩廊下を歩いてアリアに。
「飲み物とか欲しかったら冷蔵庫から取って、飲んで」
私はそのまま、お風呂に入った。
アリアは私に言われたまま、周囲を見ながら、廊下を歩いていく、最初のドアを通りすぎて、次の部屋に入る。
そこは広いリビングに周りはガラス張りで外は深夜のためリビングも薄暗い、奥にはキッチンもあり冷蔵庫も備え付けられている。
アリアがリビングに入ると電気がついて、そのままキッチンに行き、冷蔵庫を開けて、中身を数秒見た後、プリンを取り食器棚からスプーンを取る。
プリンとスプーンを持ったままリビングのソファーに躊躇なく座る、リビングを見渡して。
「気持ち悪い」
アリアはリビングを見渡したが、リビング自体は物も整理されていて、床のタイルも綺麗に掃除され、少し見渡すかぎりではホコリすらないのにアリアは「気持ち悪い」と言った、アリアの表情にも嫌悪などは何も出ていない。
アリアは鬱な瞳でソファーに座りながら壁をずっと無表情で見つめていた。
廊下の方からドアが開く音が聞こえ、ドライヤーの音が遠くから微かにリビングまで響いてくる…数分して廊下を歩く足音が聞こえ、アリアはソファーからゆっくり立ち上がってリビングから出る。
アリアが廊下に出ると目の前に私の部屋に向かおうとしていた私と出会い。
「ごめんごめん、部屋こっち」
私はアリアを誘って自分の部屋に行きベッドに座る。
そうするとアリアが、私にプリンとスプーンを渡し。
「心の距離というものは大事ですよ」
「どう言うこと?」
アリアの行動には私との心の距離を縮めようとしているような行動をしていることに気づき。
「食べて良いって事?」
「勿論です、あなたのですから」
プリンを開けて、スプーンを使って食べる。
私はプリンを食べながら部屋を見渡して…
「ゲームする?」
「ゲームですか…いいですよ」
私はプリンをすぐに食べて、テーブルに置いてあった、手のひらサイズの半円の上のものを取って床に置き、ベッドにもう一度座りるとバーチャルモニターのようなものが現れた。
「古いやつだけど、やろ」
私がアリアもベッドに座るように誘導するとアリアが隣に座ってくれた。
なぜか私は少し緊張しながらも指を動かしてモニターを操作してアリアの目の前にも画面を出現させる。
「アリアってFPSとかやるの?」
「ゲームをやらないのでわかりませんね」
「へ〜、珍しいね…ゲームできる?」
「下手でしょうが、できますよ」
アリアは指を動かして、モニターを操作する。
アリアはモニターと私の指の動きを交互に見ているだが同時進行的に2つをこなしている。
私はアリアの「ゲームをやらない」という言葉をゲームが下手だと解釈して、ゲーム画面を開いて1分ほどでマッチングした。
「アリア…大丈夫?」
「大丈夫です」
アリアは私のレトロなゲーム機でも毎日やっている私よりゲームが上手かった。
無駄のないプレイだった、私は手本を見せられているのかと思った。
「アリア上手いじゃん、まずこのゲーム機でそのプレイできるのは天才だよ」
「いえただ手先が器用なだけですよ、あと情報が単純でした」
「オンボロゲーム機だけど、ゲーム自体は最新のなんだけどな?」
アリアの「ゲームをやらない」と言った言葉は単なる嘘だったと再解釈して、私はアリアに意地悪く。
「ゲームやらないならいつも何してるの?」
「仕事してますね」
「え? …そうなんだ、何歳なの?」
私は予想外の答えに思わず声が出て顔が硬直したが、言葉を理解して納得に変わるが14歳の私よりも少し歳上ほどアリアの外見を見て年齢が気になり聞く。
「忘れました、外見的にあなたと同じくらいじゃないですか?」
「忘れるとかあるんだ」
「そんな、年齢に興味もないですし、数えるほど余裕があったわけでもありませんでした」
「アリアはどんな育ちだったの?」
アリアは珍しく、思い出すように少し考えて私に向き直り、どうでも良さげな無表情で。
「そう言えば、スラム街のような場所でしたかね…あ〜、そういえばスラム街と呼ばれるような場所でしたね」
私はスラム街という言葉が時点で表情が固まった、その後理解不能な顔に顔を歪める。
「アリア、それ本気?」
「はい」
「そんなの創作の話でしか聞いたことないよ」
私はアリアにまるで冷たい現実を突き詰めるかのような目をして言うがアリアは表情を変えず、何がおかしいのかと言わんばかりに堂々としている。
「ありえないよ」
「あなたは否定しますが、なぜ信じてくれないのですか?」
アリアの言葉は私に信じてくれと真っ直ぐ言っているというよりはどこか私への問い的な意味が含まれている。
私はアリアの言葉に顔を硬直させ少し考えた後に。
「信じない…それは私が否定してるんじゃなくてアリアがおかしいことを言い過ぎなんだよ、矛盾してるよ」
「矛盾していると問題ですか?」
「は?」
私は思わず驚きからではなく怒りから「は?」という言葉を思わず言った。
私はただ単にアリアに真面目に返した、だが私にはアリアの言葉はただ私を否定する言葉として私の言葉を受け止めず一方的な否定に聞こえたのだ。
「私はあなたの言葉も聞いていますよ…私は否定ではなく信頼の話をしています、あなたはただ私よりも現実を信頼しているから現実を信じた」
アリアの「私はあなたの言葉も聞いている」という言葉にはまるで私の内面を読まれたかのように感じたがそれが私の怒りを理解へと変え少しアリアを見つめる目が穏やかになった。
だがその後のアリアが綴る言葉には全く理解できない…正確には理解できるが、アリアが何を言いたいのかがわからない。
「私は決して嘘でもふざけているわけでもないです」
アリアはいつも無表情だからこそわからないが普通の感覚で言うなら嘘はついていない表情や仕草をしている。
だからこそ私はアリアを信じかけている。
そんな時、廊下から足音が響いてきて私の部屋のドアが開けられる。
ドアを開けたのは私の母親だった、何か言おうとしていたが、さっきまでゲームをやっていた痕跡や私の目にできたクマを見て
「ちゃんと寝なさいよ…ご飯食べる?」
「いや、いらない」
私の母親は別に怒っているようではなかったただ優しく心配しているような顔をしていた、私が「ご飯をいらない」と言うとドアを閉めて帰って行った。
すっかりアリアとゲームや話をしていたせいで窓の外は明るくなっている。
「まぁ、もう朝ですし私は帰りますね」
「あ、帰るの? 別にまだいてもいいよ?」
「私はあなたが嫌いです」
「…」
アリアの突然の言葉に私は呆然と立ち尽くし顔を硬直させる、まるでアリアの言葉が違う言語かのように。
理解ができない、さっきまで普通に会話をしていたというのに突然「嫌い」と言われた。
「アリア…どういうこと?」
私はアリアに何か嫌がられることでもしたのかと思い、アリアに恐る恐る聞いてみるが、アリアの表情には嫌悪や怒りは見えず、ただ焦点が合わない虚な瞳が私を見ているだけだ。
「ただ、あなたが嫌いなだけです」
感情的ではない、非常に落ち着いた声でアリアは言う、まるで私を本当に感情に任せたものではなく本心から嫌いと否定するかのような。
アリアは私から視線を逸らし、部屋の扉のドアの部に手をかける、私は反射的に
「ごめん、アリア…」
何が悪いのか、わからなくともアリアに必死に謝る。
が、アリアは冷徹とも言えない、まず言葉が届かないかのようにドアを開けてそのまま廊下を歩いって行った。
私にはただ呆然と廊下からアリアの足音が響いてきた、それが何か抽象的であるが心の距離が遠ざかる感覚を与えた。
「私は…わからないよ…」




