1.感情相場
ここは、空が綺麗に晴れわたり、青空が広がる。
高層ビルが立ち並ぶ都市の中の公園。
公園の広場の中心には噴水があり、周りをベンチや木々が囲う。
全体的に明るく、太陽の光が心地よい。
公園の噴水の近くで、少女がスマホを見ながら立っている。
少女は茶髪に黒い目で、年齢は15歳ほど。
少女がスマホから目を離し、空を見上げると、近未来的な巨大なバーチャルモニターがあり、そこには……
(今日の感情相場は
喜び:高騰
安心:品薄
悲しみ:過剰在庫)
と表示されていた。
少女が数秒、その感情の相場を見ていると天気予報に切り替わり、少女は目を逸らした。
少女はスマホをポケットにしまい、公園を後にしようとした。
その時、老人と目が合った。
その老人は貧困というほどではないが、裕福ではない服装をしており、表情は穏やかで、眠っているようだった。
少女は、なぜか自分でもその理由がわからなかったが、老人に問うた。
「全部、売ったの?」
その言葉は淡々としており、感情が乗らない言葉だった。
老人はゆっくり頷いた。
「高かったからね」
少女が問い返した。
「怖くないの?」
「怖さも、もうないよ」
その声は別に怒っているわけでもなく、優しいような、何もないような言葉だった。
少女は右下を向き……
「それでも、生きてるんだね」
老人は肩をすくめた。
「生きてる方が、安かったから」
「そっか……」
少女は何かを思いながらも公園を後にし、帰り道で先ほどの会話を思い出した。
なんで、私はあんなことを聞いた?……わからない……なんで……
……あ、もう家か……
ドアらしきものが勝手に開き、少女が中に入る。
靴も勝手に脱げて、勝手に収納される。
少女が玄関から上がり、近くの部屋へ行くと……
「ただいま」
リビングらしき場所は清潔感があり、大きなガラス張りになっている。
外を見るとかなり高く、10階ほどにいることがわかる。
部屋の壁には感情の相場が詳しく表示されている。
椅子に座り、薄い光の板を見ている女性、おそらく少女の母親であろう人が、少女の言葉に気づき、優しい笑顔で言った。
「おかえり、リオ」
リオという少女は、それから部屋を離れ、違う部屋へ向かう。
そのドアを開けると、簡素な部屋が現れた。
3畳ほどで、ベッドや机、本棚、そのくらいしか物はない。
少女はベッドに座り、思った。
何か今日は変だった……なんで……
「ハァ〜、もういっか」
ため息をつき、
「あぁ〜疲れた……」
リオがベッドから立ち上がり、机の上にある引き出しから何かを取り出し、窓を開ける。
引き出しから取り出したモノ。
タバコの箱とライター。
タバコの箱から三本しかないうちの一本を取り出し、ライターで火をつけた。
タバコの箱とライターを机の引き出しにしまい、タバコを吸う。
息を吐き、白い煙が上がる。
リオは憂鬱な表情をしながら、高層ビルが並ぶ綺麗な都市を見て、
「今日も綺麗だなぁ」
リオは少し疲れた顔をしながら、タバコを吸う……
しばらく吸ってから、テーブルに置いてあったグラスにタバコを押し付ける。
水のような液体があったので、火がすぐに消える。
グラスを持ち、部屋から出て、薄暗い廊下を歩き、どこかへ向かう……
廊下の一室の扉を開けると、キッチンとダイニングテーブルが置いてあった。
リオはキッチンのシンクにグラスを置き、タバコを取り出し、ゴミ箱へ捨てる。
近くにあった冷蔵庫を開ける……
リオは冷蔵庫の中を見渡す。
「ないか……」
リオが冷蔵庫を閉め、廊下を歩き、リビングへ行く。
リオが母親らしき人へ声をかける。
「ちょっと買い物、行ってくる」
リオの母親らしき女性は、とても笑顔で、
「気をつけてね」
「うん」
リオが玄関で靴を履き、ドアを開け、エレベーターへ向かい、
……マンションの外へ出る。
マンションから出ると、すぐ近くのコンビニに入る。
お酒の陳列棚から迷わずにウイスキーのボトルを手に取る。
「そういえば……」
隣の棚からタバコの箱を二箱手に取り、レジに向かう……
レジ近くにあるスイーツコーナーからプリンを取り、レジに持っていき、タバコとウイスキー、プリンを置く。
「袋つけますか?」
「大丈夫」
店員は無言で端末をカウンターに置く……
リオも無言で端末に指で触れる。
リオはその時、何か抜けた気がした。
「ありがとうございました」
リオは買い物を終え、コンビニを後にし、家に帰る……
玄関を上がり、またリビングに少し寄り、
「ただいま」
「おかえり」
またリオの母親らしき女性は笑顔で言った。
「ウイスキー買っといたよ」
「ありがとうね」
リオの母親らしき女性は感謝の気持ちをリオに伝えた。
リオは廊下を歩き……キッチンへ行く。
食器棚からグラスを取り、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出し、グラスに水を注ぐ……
今買ったウイスキーを開け、グラスに少し注ぎ、水で割る。
プリンと残ったウイスキーは冷蔵庫に入れた。
リオはウイスキーの入ったグラスを持ち、部屋に戻る。
リオの部屋の椅子に座り、ウイスキーを飲みながら時間を浪費していく……
私は今日もリオが嫌いだ。




