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7.元夫side


「何故、彼女達を結婚させたか、ですって? 勿論、彼女達が婚姻する事を選んだからに決まっているじゃない」


「選んだ?彼女達が?」


「ええ、そうです。後妻として裕福な家に嫁ぐか、それとも娼館で働くかを選んでもらったわ。その結果、生活が保障される結婚を選んだ。それだけの事よ。皆、良い選択をしたと思わない?」


「彼女達に何か言ったのか?」


 そうとしか思えない。

 どう聞いても不利な条件での婚姻だ。

 何かあるに違いないと思った。

 それか、アザミ(悪魔)が何かを耳元で囁いたのか。


「そうねぇ。貴男と浮気するだけあって、あまり賢くない人ばかりだから忠告はさせてもらったわ」


「忠告……?」


「ええ、大勢を相手に安く売るよりも、一人を相手にした方が精神的にも肉体的にも負担は少ないとね。それと、初物でない以上は中古として売らないといけない事。それだけで商品価値は落ちてしまうわ。元貴族といったブランドでもあれば話は別でしょうけど。ただの商人の娘程度じゃあ、ブランド化は難しい事。高位貴族並の教養を身に付けていないかぎり高級娼婦は無理な事。中級娼婦は若さを失えば落ちていく者が多いから気を付けるよう教えておいたわ。売り物にならない商品を何時までも置いておけないでしょう?他店にリサイクルできればいいけれど、それが無理な時は最悪、見世物小屋行きになる恐れもあると、ね」


 まさに悪魔の囁きだ。


「私としては別にどちらを選んで貰っても良かったのだけれど……。でも、彼女達って綺麗な容姿のわりに本当に頭が悪いでしょう?それだけでなく、下半身がゆるゆるなんですもの。これといって一芸に秀でている訳でもない。話術に長けている訳でもない。美貌を全面的に売り出したところで売れるのは最初だけでしょうね。一応、私の見解を彼女達に話して聞かせたら何故か黙り込んでいたわ。だらか言ってあげたの」


「……なにを?」


「『貴女達が選んだ結果が今なの。でも、私は鬼じゃないから貴女達に選択権を与えてあげるわ』と――」


「……」



 ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁ!!

 

 選択権などあるものか!

 一択しかないだろ!!


 この悪魔め!!!


 


 

「それで?」


「ん?」


「貴男は()()()()()の?」


 悪魔が今度は僕に微笑みかけてきた。


 意地でも子爵家から出ない。

 そう意気込んではいたものの、悪魔はいつの間にか護衛兵を僕の周りに固めていた。

 ここまでされたら最悪、質の悪い高利貸しのところに無理矢理連れられてしまうのは理解できる。この悪魔はヤると言ったら絶対にヤる。虫の一匹さえ殺せないような顔をして……。恐ろしい女だ。彼女は何時からこんなに恐ろしい化け物になったんだ?


 出会った頃はこんな未来は想像しなかった。結婚後だって、そうだ。


 土地持ちの子爵令嬢は見るからに世慣れていない風情だった!

 少し甘い声で愛を告げればコロッと落ちてきた。

 チョロい女だと内心嘲笑った。

 トントン拍子で結婚が決まった時は笑いが止まらなかった。


 なんでだ?

 どうしてこうなったんだ?




 

 



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