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6.元夫side


 目の前にいる悪魔(元妻)が無邪気な顔で小首を傾げる。

 そして、世にもおぞましい話をにこやかに話す。

 


「採掘現場は危険よ。一攫千金を狙うなら金塊を掘り当てるしかないし。その前に、現場にいる屈強な男達の餌食になるのがオチかしら?」


 更に未来予想を勝手にしていく。


「貴男だって嫌でしょう?不特定多数の人を相手にするの。私だって良心が痛むわ」


 なら、そんな提案をするな。考えるな。

 僕は君の元夫だぞ?

 どうしてそんな酷い話をするんだ?

 謝ったじゃないか。妻なら僕を許すべきだろう。


「ああ!いけない。貴男に知らせていなかったわ」


 なんだ?

 また禄でもない事か?


「貴男の浮気相手にもね、ちゃんと慰謝料請求書を送っておいたの」


「……は?」


「複数人は弁護士の前で、私を口汚く罵っていたせいで支払う額が増えてしまったみたい。馬鹿よね。貴男の遊び相手は専ら未亡人やそこそこ裕福な平民の女の子達だったけど、自分の住んでいる領地の主の夫と浮気をしてタダで済むはずがないじゃない。そんな事も解ってなかったのかしら?ああ、違うわね。理解していたからバレないように付き合っていたんだわ。それがバレて慰謝料を請求されたから罵ったのね。自分達が細心の注意を払っていたのに一人の馬鹿な女から芋ずる式にバレちゃったんだもの。私だけでなく貴男の事も罵ってたみたいよ。もっとも、貴男も屋敷の人間には手を付けなかったみたいね。その点だけは評価するわ」


 ……手を出さなかった訳じゃない。全員に断られたんだ。()()()()()()()()のにだぞ?この屋敷の使用人はアザミと同じで生意気な連中ばかりだ!!

 領内の女にしたってそうだ!

 先祖代々子爵領に住んでいる奴らはアザミばかりを褒め称える!

 移住の浅い女は別だったが……。

 


「それでね、彼女達は全員結婚してもらったわ」


「……結婚?」


「そう。私、と言うよりも子爵家の紹介でね。彼女達の家族は泣いて喜んでいたわ」


「……紹介」


「安心して。身元の確かな男性ばかりよ。ただ、後妻で少しばかり歳の差があるけど、問題ないわ」


 その後もアザミは女達の話をしていく。

 

 親子ほど歳の離れた相手には既に立派な跡取りがいるため、女達が子供を産む必要がない事。

 家督を成人した息子に譲った後も何故か後添えの話が尽きない為、便宜上も妻が必要な事。

 素行の悪い妻でも表舞台には出さない為、問題ない事。

 何らかのアクシデントが生じて新妻が身籠るとも限らない為、あらかじめ子供ができないように処置を施した事。


 アザミ(悪魔)は良い事をしたとばかりに笑う。

 

 だが、ふと思った。

 何故、アザミ(悪魔)は女達を結婚させたのかと――

 

 その疑問を投げかけた。


 アザミは答えた。

 それは実に彼女(悪魔)らしい返答だった。


 




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