悪徳店主
この家を出る時が来た。そう三日もあれから立ったのだ。この三日間は忙しかった。まずは自分の必要な品の配送をお願いしたり、入学手続き、余った時間はアリスとショッピングをした。
そう昨日の夜、アリスと一緒にいたがアリスは夜ずっと僕の手を握っていた当たり、我慢していたのであろう。
「バニル、気をつけてな。」
カイルも僕の旅立ちに駆けつけた。ちょっと軽いが来てくれただけうれしい。
「バニル、絶対帰ってきてね。」
「バルちゃん、いじめられそうだったり、いやなことがあったら戻ってきてもいいんだからね。」
アリスもカリンも心配性だ。アリスに至ってはまるでモンスター討伐するかのように送り出してきた。
「ああ、帰ってくるよ。」
そういって、受験の時と同じようにジークさんの馬車に乗った。
「では、出発します。」
ジークさんはそういって馬車を走らせた。僕はみんなみ向かって手を振った。
「アリス、泣いているのか。」
アリスは僕に涙を見せまいとしていたが泣いていた。今度戻るときお土産を買ってくるか。
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五時間ほどかかったのであろう。まあ、短く感じた。僕は馬車に乗っている間、入学式にする挨拶を考えた。いよいよ明日入学式であるからだ。スピーチ分を考えたら気づいたらついていた。まあ、着くと同時に考え終わったからよかった。
「バニル様、到着しました。これからどうしましょうか。」
「そうですね、まあ、まずは必要なものを買いましょうか。」
実は用意できなかったものが何個かある。例えば幼少魔力活性剤だ。自分のような子供のバイタリティを回復させるものである。ほかにも高速通信機だ。もちろん魔法で通信はできるらしいが雷変換バイタリティ―の上級魔法なので、連絡ツールとして買わなければならない。どれもうちのような辺境地では売ってないものだ。
「そうですか。では買いに行きましょうか。」
ジークさんはそういって僕についていった。買い物する町はにぎわっている。特に国立中等学校指定の店にはたくさんの人がいた。もちろん目当ての品は混んだ店にある。
「この店で買いますか。」
そういって店の中に入った。この店は比較的すいている。まあ、ちょっと高級そうな店だからであろう。店の中にいるのも貴族やお金持ちそうなものばかりだ。
もちろん僕も貴族であるが超高級品が買える貴族ではない。ただ、僕は特待生という特権がある。この特待生証を見せると指定の店では無料で買うことができる。
「この高速通信機よさそうですね。」
スペックは他の通信機はマルチプルに接続でき、さらに普通は1キロあたり2秒ほどの時間がかかって接続するのに対して、これは1キロあたり0.1秒で接続できる。だから、10キロ離れた人とは1秒でつながれるのだ。しかし、肝心の値段がどの商品にも書いていない。
「お客様お目が高い。貴族とお見えしますぞ。どのような身分の方でしょうか。」
「子爵家である。」
富豪にみえる店員が身分を聞いたので答えると顔をゆがめた。
「そうですか。ならやめたほうがいいですね。」
「ほお、なぜです。」
僕が聞くとやれやれとした顔であった。そんなに貴重なもので子爵では持ってはいけないものなのであろうか。
「子爵家は確かに私ら平民より立派な身分ですよ。しかし、金に関しては私のほうが持っているのです。子爵なんか私から見れば貧乏なもの。この通信機はそんな私ですら10台仕入れるのがやっとなのです。」
「そうか。」
富豪そうなものはまるで僕らには到底変えないとあざ笑っているようであった。
「ちなみにいくらなんです?」
「聞く意味はないと思うが、約5000ウルです。」
5000ウル!!つまり20億近いのである。僕の領ハップンベル家の予算は隣国と戦争状態であることから、周りの領より多い約5万ウル(訳230億)ある。それでも領予算の10%に当たるのだ。
「確かに厳しいですね。」
「そうでしょう。だからちょっとランクが下がる100ウル(約4500万)のもいいと思います。」
確かにそれなら僕は買えるであろう。つい先日400ウル貰ったからである。しかし、普通の子爵家の子供はそんな大金を持っていないであろう。この店員はまるで馬鹿にするみたいである。
「わかりました。まず、この高級な高速通信機をください。」
「あのですね、これは5000ウルするんですよ。イルではないですからね。」
まるで僕が数字もわからない子供のように言ってきた。しかし僕もお金はないがこれを買える権限がある。
「これでいいですか。」
僕が見せたのは特待生証だ。これは自分が学校生活に使うものは無料で買えるようになっている。そしてこの店もその証明書が使える店なのだ。
「これは、、、特待生証ですか。これは失礼しました。今から処理させていただきます。」
「それと…」
店員は特待生であったことにびっくりし、急いで商品を用意した。ついでに他に必要なものもそろえてもらった。いや、見下していた人を働かせるのはスカッとした。
「お客様、こちらが荷物です。この通信機は高級で一年に100個ほどしか生産されないものなので気を付けて扱ってください。」
そういって荷物を渡された。荷物は軽かった高級なものですべて軽量化されているからであろう。通信機はペンと同じくらいの重さだ。
僕は荷物をもって店を出た。まあ、この店主が嫌いだから二度と行くことはないであろう。僕が店を出ると店主は金のありそうな子供をターゲットにしていた。
「バニル様、買い物はこれですべてでしょうか。」
「多分、そうですね。」
さっきの店は店主がああだが品ぞろえは神がかっていた。あの店ですべて用意できたのだ。なのでもう買うものはない。しかし、そうだな…。
「妹へお土産を買おうと思います。」
「そうですか。何をお買いになるのですか。」
「通信機です。」
そういって僕は先ほどより安そうな通信機店に入った。お客さんはある程度いるが、店は混んではいなかった。まあ、この店は学校が公認の店でないからだろう。お土産とかは特待生証を使って買うのは良くないと思ったからだ。
「すいません。」
「はい、何でしょうか。」
「この店でできるだけ遠くまで接続できるものが欲しいんですけど。」
僕が持っているお金はお礼としてもらった400ウルだ。その中で妹と電話できるものを頼んでみた。もちろん先程買った通信機はほぼ無制限につながれる。
「そうですね、この電話なんかがいいと思いますよ。速く広範囲で接続できます。まあ、値段は多少しますがこのスペックと考えると安いです。」
「確かにすごいコスパがいい。」
そういって紹介された電話は3ウル(約120万円)の通信機であった。200キロまで接続できてスピードも1.5s/kmと速い。値段もお手ごろだ。
確かに120万円は高いであろう。しかし、裕福でないものは5キロまでで20s/kmのものだ。それでも10イル(約5万円)はするであろう。僕に紹介された通信機は一般的なものの40倍の広範囲に10倍以上速いモデルだ。単純に400倍の性能でこの値段は安いであろう。
「よし、これを一つください。」
「ありがとうございます。」
僕はこの通信機を買った。いい買い物である。商品を受け取って店を出た。この店は今後ひいきすることとしよう。
「バニル様、他に必要なものはありますか。」
「もう大丈夫です。それとこの通信機を妹に渡してください。使い方とかは教えてやってください。」
「わかりました。」
僕は買った通信機をジークさんに渡した。これで妹が悲しくなるようなことはないであろう。
「では、寮に行きます。」
「わかりました。では、学校までお見送りします。」
そういって寮のある学校に向かった。




