合否結果
それから一週間日常が続いた。といっても魔法の練習は欠かさない。とくに重力バイタリティの練習は毎日している。やはり、この魔法は練習すれば効果範囲が広くなる。昔は半径10センチメートルくらいしか範囲がなかった。しかし今では2メートルにまで上がっている。もちろん敵は動くので魔法の効果範囲も動かせるように練習している。ただこれも、昔は動かす速度がアリよりも遅かったが今では人がランニングする速さまでになった。
こんな感じで日常を過ごしていたが今日待ちに待ったものが届いた。もちろん今日届くことは知っていて、父親もそれを見ようと仕事を休んで家に帰ってきたのだ。
「帰ったぞ。」
「お帰りなさい。お父様。」
僕がそういうとアリスも「おかえりなさい、おとーさま」といった。まあ、最近ではアリスが成長していて僕の真似をするのだ。
「それで結果はどうだったか。」
結果。そう、僕らが待っていたのは試験の結果である。多分合格ではあるが事によれば落選。そうなると他行を受けていない僕は浪人に近い応対になるのだ。
「まだ手紙は見ていません。」
「そうか。じゃあ、みにいくか。」
そういってカイルは手紙があるダイニングに向かった。僕もいっしょに見るためダイニングの席に座った。
「よし!開けるぞ。」
カイルは手紙を開け始める。正直受かってはいると思う。問題はクラスだ。特にDやEクラスにはなりたくない。仮にも貴族である。ここで虐げられるのは、のちの事にも響くであろう。
「みるぞ。」
カイルは中の紙を取り出した。
「合格だ、おめでとう。」
中には合格という文字が見えた。そこにはほかにもクラスが書いてある。できればCクラスにしてほしいと思っていたが杞憂であった。そこにはBクラスと書いてある。攻撃バイタリティを持っていない僕がBクラスなのである。それは前代未聞に近いことであった。
前にも言ったが、攻撃バイタリティは魔法科にとってとても重要だ。僕は上級魔法を使えるからBクラスまで行けるだろうが、攻撃バイタリティを持たないCクラス以下に多くいる学生は結構不利だ。もちろん僕のように努力で上級の攻撃魔法は使えるかもしれない。しかし、相当な努力がないと難しいのだ。
「おお、Bクラスか。良かったな。」
BクラスになればAクラスの一部からは見下す人もいるであろうが、そこまで差はないのであまり声を高々に見下すものはいない。BとCクラスの差は大きい。単に大きいだけではない。チーム戦になると手も足も出なくなるくらいである。
「そうですね、しかしBクラスであったとは。」
「やったーー、ごうかくーー。」
僕が言うとアリスは嬉しそうに言った。ただ、合格ということはこの家から出ていくんだけどな。まあ、それは後々話すか。
「あれ、まだ、なんか入っているぞ。」
カイルはそういって封筒の中から紙を取り出した。
「おお!」
カイルはその紙を見るなり驚いている。そして机に置きみんなに紙を見せた。それを見て驚いた。
「特待生!!」
そう、特待生と書いてあったのだ。特待生は試験の結果で左右する。クラス分けはそれこそバイタリティ順であるが、特待生は実力、つまりテストの点数が高い者からなるのだ。
どうして特待生で驚くのかというのはいろいろある。まず特待生になれる人数は3人。3人といっても全学科合わせてだ。特に毎年特待生になるのは現代政治科や貴族科が多い。なぜならこの二つは覚えることを覚えれば8割近い点数が取れるからだ。しかし、魔法科は上級魔法を使えなかったり、魔法を知っていても筆記がダメダメだったりする。なので今までこの学科で輩出したことはないのだ。
「特待生か、親孝行だな。」
カイルはそういって僕を撫でた。特待生の優遇措置はすごい。とくにこの学校の資金すべてを免除し、さらに領は一番いいスイートルームのような広い部屋。そして学校生活にかかるお金はすべて国が持ってくれる。ほかにも1年で15イル(約75万円)が支給されることや、ペットの持ち込みの許可、高等学校への推薦状などだ。
もちろんいいことばかりではない。まず学校に6年在学しなければならない。ただ、単位取得さえすれば学校に在学しているという事実だけを残して帰ってもいい。とにかく、6年間は最低でもこの学校にいなければならないのだ。これは『最低でも』といったが逆に6年を超えるのもアウトではあるが、仮にも特待生なので5年くらいで単位は取得できる。ほかにも特科委員というのに参加しなくてはならない。これは生徒会に近いがこの学校をすべて取り仕切るのは特科委員である。こういうことをさせられるのもあるからいいことばかりでないのだ。さらには...だ。
「バニル、あいさつしなきゃならんのだな。」
カイルはそういって笑っていた。そう、全校生徒の前で入学式に挨拶をすることになっているのだ。これほど面倒くさいことはないであろう。
「特待生ってつらいなー。」




