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10.

深い眠りに揺蕩たゆたうーー


目覚めれば、侍女にかしずかれ、王都で流行りの新種の薔薇の香油を塗ってもらうの。


象牙の櫛で金色に輝く、私の髪はくしけずられ瞳と同じアメジストと遥か東国とうごくで採れるパールが意匠の豪華な髪飾りを付けられる。


「私の可愛いアデライド、我が家のお姫様」

口髭をたくわえた大柄で優しさいっぱいのお父様が甘くおっしゃり私を抱き締められる。


お父様が隣国の宝石商から買い求めて下さった、王侯貴族にも負けていない煌びやかなサークルティアラは額にーー


そう、忘れてはいけないわ。

愛しい王子様が私に「似合っているよ」と笑顔で手づから付けて下さった耳飾りを。


淡いピンクサファイアに小粒だけど希少価値の高い石と銀細工があしらわれた可憐な耳飾り。


侍女が笑顔で王子様からの愛の結晶を付けてくれるわ。

拡大鏡で私の耳元を見て、ほら、こう言うの。

お似合いですわ、アデライド様‼︎


「まぁ、大変ですわ‼︎アデライド様にはお付けする耳たぶがございませんわ」


「レヅィール御子息は食い千切られたアデライド様のお耳をどうされたのでしょうか」


「旦那様にお願いしまして、取り返しませんと」


口々に侍女は喚き立てる。

大声、出さないで頂戴。

響いて頭が痛いわ。

やかましくてよ。


耳がないなら、縫い付ければいいでしょ。


「美しいアデライド様、申し訳ありません。貴女の耳は私が噛み潰してしまい、原型を留めていないんですよ。ほら、この通り」

冷たく笑うレヅィールの口からは


血だまりのーー


「あ、あああああっ‼︎耳、私の耳はーー‼︎」


「食い千切られて、ありませんな」


「いやあああああああああっ‼︎」




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