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序・イザベラとの出会い
私がイザベラ・フォン・エスターライヒの存在を知ったのは、世紀末ウィーンに関する1冊の本を読んでいた時だったが、その時代のその身分の女性にしては、異例中の異例な生涯に、ふと目が止ったのが切っ掛けだった。
とは言え彼女の存在もその生涯も、特に国家や世界に影響を与えるようなものではなかったので、彼女が経験した数奇な出来事も、極めて断片的にしか記録が残っていなくて、彼女がその都度何を思い、何を言ったかは今となって知る由もない。
そんなことを考えながら、彼女の人生に思いをはせる内に私は夢幻の中で、彼女の心象風景の中に入り込んでいたのである。
だからこれから書くことの半分は史実、半分はその時彼女がどう考え、どう行動したかをわが身に置き換え、現代感覚から妄想したものと思っていただきたい。




