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ヘルデンリート・フィナーレ Das Heldenlied Finale ~Mein Bester Freund~  作者: 野原 ヒロユキ
俺は新しい時代の扉を開ける Ich will die Tür der neuen Zeit aufmachen
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闘牛団2

スルトはセリオンとエスカローネを聖堂執務室に呼び出した。

この部屋はスルトとアンシャルが二人で使っている。

「今日はいったい何の任務だ?」

「単刀直入に言おう。『闘牛団』という連中が最近、反政府活動を行っている」

「闘牛団? 聞いたことがないな?」

「何の組織なのですか?」

「ああ、彼らは主に街道に出没し、交易商人を襲っているんだ。特筆すべきことは、その残虐性で、命乞いをした者も殺すらしい」

アンシャルが述べた。

「それで、その闘牛団とやらが俺と何の関係が?」

「今回の任務はその闘牛団を壊滅してほしい」

スルトが強く言う。

「闘牛団の壊滅、ですか?」

「これは実はツヴェーデン政府から頼まれた案件でもある。我々にはそれを拒絶することはできん。今、ハヅキに闘牛団の動向を探らせている。情報が入り次第、行動してくれ」

スルトが任務の背景を述べた。

テンペルはツヴェーデンと同盟関係にある。

と同時に、テンペルはツヴェーデン政府に庇護されてもいる。

もちろん、ツヴェーデン政府もテンペルをただで使おうというわけではない。

きちんと報酬も支払われる。

テンペルは慈善団体ではないからだ。

テンペルは様々な依頼を受けて、それを組織の活動資金としている。

テンペルの職員や騎士に払うのもその資金からだ。

テンペルは活動のために、営利を上げなくてはならないのだ。

「わかった。ハヅキが戻るまで、待機しておく」

「それでは失礼します」

「スルト総長! アンシャル副長!」

「何だ?」

そこに一人の騎士がやって来た。

騎士は取り乱していた。

スルトはそれを落ち着かせるため、あえてクールに対応する。

「テンペルの前に、赤いリザードマンが大量にあふれています!」

「『赤い』リザードマン?」

アンシャルがけげんな表情をした。

普通、リザードマンは緑色だ。

赤などと言うリザードマンは聞いたことがない。

「リザードマンは武器を手にしており、テンペルに侵入しようとしています!」

「セリオン、エスカローネはただちに迎え! リザードマンを迎撃するのだ!」

「サラゴンにも声をかけてくれ。聖導騎士を動員するんだ」

「はっ!」

騎士はそのまま退出した。

セリオンとエスカローネも互いに顔を見合わせると、ただちに臨戦態勢を整えた。



「がっはっはっはっは! テンペルの騎士は怖気づいているのう!」

「オクセ、あなたは敵を侮りすぎではありませんか?」

「がっはっはっは! 我々には先生がついている! 先生から得たパワーを使えば、テンペルなどひとひねりよ! そういうことだ、クーよ」

この二人はミノタウロスだった。

オクセはオスのミノタウロス。クーはメスのミノタウロスだ。

共にバトルアックスを持っていた。

彼らは赤いリザードマンを率いて、テンペルの前に陣取っていた。

門の前にはすでに聖導騎士が守備している。

一食触発の緊張感に現場は満ちていた。

赤いリザードマンは『赤き祝福』によって、狂化パワーアップされている。

彼らは力と引き換えに、正常な理性を失っていた。

彼らは高揚感に支配されて、テンペルを攻撃するという無謀な誤りを平然と成しえる状態だった。

すべては闇の王フューラーの差し金であった。

「そこまでだ!」

「これ以上はやらせないわ!」

そこにセリオンとエスカローネが現れる。

二人は大勢のリザードマンを前にしても恐れなかった。

「がっはっはっはっは! ようやく騎士様が出てきたか!」

「おーっほっほっほっほ! 我らに勝てるつもり? 無謀もいいところね?」

この二人のミノタウロスも赤かった。

赤いミノタウロス。

それが意味するところは、彼らも赤き祝福によって、狂化されているということだ。

リントはセリオン・シベルスクに手を出す気はなかった。

それは闘牛団を破滅させるだろう。

それが分かっていたからこそ、リントは闇の王フューラーの考えに反対したのだ。

闘牛団はもはや正常ではなかった。

彼らはもはや正気を失っていた。

それゆえに、彼らはテンペルに攻撃を仕掛けたのだ。

もっとも、闇の王フューラーにとって闘牛団は使い捨てのコマにすぎない。

セリオン・シベルスクから血を採取できればそれでいいのだ。

フューラーはセリオン・シベルスクから血を手に入れればそれでいいのだ。




セリオンは赤いリザードマンと対面した。

明らかにこいつらは何らかの強化がされている。

しかし、何をすればリザードマンを赤くできるのか……。

セリオンにはそれが血の色だと思った。

「セリオン、ハイリヒ・クロイツを使うわ。時間を稼いで」

「わかった。それなら、リザードマンを一掃できそうだな。では行くぞ!」

セリオンが蒼気を放出する。

そのままセリオンはリザードマンに斬りかかった。

「ぎゃああああ!?」

「や、野郎!」

「ケーヘヘヘヘヘヘヘ!」

「死にさらせえ!」

もはや理性を失ったリザードマンは狂気の攻撃を繰り出す。

その攻撃はただ腕力で斬りつけるだけで、技がなかった。

セリオンは一撃でリザードマンを吹き飛ばす。

リザードマンが一斉にセリオンに攻撃してくる。

セリオンは大きくジャンプすると、そのまま蒼気の斬撃を放った。

セリオンの技『蒼天斬そうてんざん』である。

リザードマンは大きく斬られた。

セリオンはそのまま突きを入れる。

リザードマンが多数、吹き飛んだ。

セリオンはまるで、羊の群れの中に入った、気高い狼のよう。

狼は羊を食い荒らす。

セリオンはリザードマンの群れの中に入って、蒼気の大剣を振るう。

光がひらめくように、大剣が振るわれた。

セリオンにはリザードマンは相手にならない。

強化型リザードマンとはいえ、セリオンは圧倒的なパフォーマンスで相手を圧倒する。

「この野郎!」

「くそがあっ!」

「殺してやる!」

セリオンはくるりと一回りして、大剣で全周囲に斬りつける。

そろそろ、エスカローネの準備が整うころだ。

「セリオン、準備できたわ! 後退して!」

「わかった!」

セリオンは後方に跳んだ。

エスカローネの前に巨大な十字架が効果範囲として現れる。

エスカローネはそれから聖なる魔力を噴き上げさせた。

リザードマンがすべて聖なる十字に呑み込まれる。

リザードマンはすべて戦闘不能になった。

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