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コールドスリープから目覚めたら、剣と魔法が「未来の常識」でした  作者: たくみさん
第三章 神の降臨

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5:ヴェルナー伯爵の神罰

第三章 五話:ヴェルナー伯爵の神罰

「してターゲットの選定は終わってるのか?」


『お任せください。

 まず、悪徳貴族は、ヴィンデミア30名、ノヴァーレ20名存在します。

 どれも大差ない腐り具合なのですが、一人飛び抜けて腐りきっているのが、伯爵である《《ヴェルナー・フォン・ファウスト》》です。

 

 こいつは、国王ガリウスの軍事拡大に、もっとも協力的だった人物です。武器商人と繋がりがあったようで、多額の裏金を貰っていたようです。

 かなりの財産を蓄えており、それを元に傭兵や私兵団を雇い、現在ノヴァーレに攻め込もうとしています。』


「貴族合同とかではなく、単独なのか?」 


『それくらい奴の権力は強力で財産も飛び抜けています。また、かなりの強欲です。利益を独占したいようです。』


「よし、分かった。御光ミヒカリミコトの神罰を味あわせてやろう。」


「響さん…完全に悪神の顔つきになってます…」



◆◆◆



 ヴェルナー・フォン・ファウスト伯爵は、ヴィンデミア王国で最大とも言える規模の領地と資財を蓄えていた。戦争の特需による武器の売買で、かなりの額の裏金で私腹を肥やしたのだ。

 また、戦争に必要な兵糧の管理も任されていた彼は、自国の農民達から食料を難癖をつけて格安で買い付け、国に納める。納めた内訳の何割かは、当然のように自らの懐に納める。


 そうやって、彼は体もブクブクと太り、それに比例して財産も膨れていった。それは、国家予算を遙かに越える財であった。


 まだだ、まだ金が欲しい…


 ある日、ヴェルナー伯爵も神の声を聞いた。そして、神によって大量の食料等の備蓄品を奪われた。ヴェルナー伯爵は、ブヒブヒと泣きわめいた。


 ヴェルナー伯爵の趣味は、宝物庫の金銀財宝を眺めながら、大量の食事を円卓の上に並べてとる事だった。

 食事が終わると、裸になり、金貨や宝石などのひんやりとした感触を、様々な体の部位で味わう。

 ヴェルナー伯爵は、狂っていた。


 そんな趣味を、食料を奪われたことで出来なくなったヴェルナーは、私財を用いて大量の傭兵を雇い、手持ちの私兵と共に、隣国のノヴァーレに攻め込むことにした。


 ノヴァーレは工業が発展した国で、工業品は高値で取り引きされる。それが敵国のヴィンデミアであれば、何倍もの価格で取り引きされるのだ。

 また、ノヴァーレでは秘密裏に、大量殺戮兵器の開発を終わらせたとの情報を仕入れていた。

 当初の予定では、ヴィンデミアの国軍にノヴァーレを攻め込ませ、その隙にノヴァーレの財宝を奪う予定だったが、国王が死去したことにより予定が変わった。


 私財を失うのは惜しいが、強大な私兵団を作り、自らノヴァーレを攻めることにした。食料を失った悲しみは、金銀財宝でしか埋められなかった。

 私兵団の準備も終わり、いよいよ明日が決行日。ノヴァーレの財宝、金を生む工業品を想いながら眠りにつこうとしたその時、声が聞こえた。


『我が名は、御光ミヒカリミコト。欲深き旧き世の権力者よ。』


 ヴェルナー伯爵は、びくりと体を震わせ、辺りを見渡す。


『そなたは、民の血肉を糧に集めた不浄の富に、今なお価値を見出し、我の求める民の安寧にあらがおうとしておるな。

 故に、我は裁定を下す。そなたが崇拝する《《富》》の根源を、この世界から永久に断ち切る。』


 その瞬間、ヴェルナー伯爵の持っていた金貨が、微細な振動を感じたかと思うと、見る見るうちに崩れていた。その場に残されたのは、ただの砂だった。


 ヴェルナー伯爵は、その醜い体に不釣り合いな機敏さで、宝物庫に転がり込んだ。

 そこには、煌びやかな財宝が鎮座しており、ヴェルナー伯爵は安堵した。

 熱くなった自らの体を冷やそうと、そっと財宝に手を触れると、触れた瞬間に、またもや先程の振動が波紋のように、ヴェルナー伯爵の手を中心にして部屋全体に広がる。


 すると、先ほどまで眩しい輝きを放っていた財宝は、瞬く間に一切の輝きを放たない、土塊になり果てた。


 ヴェルナーは、無表情のまま土塊に向かい、裸になり、その土塊を体中に這わせ、恍惚な表情を浮かべ微笑み、声高に笑い始めた。


 その瞬間、ヴェルナーが雇った私兵達が部屋になだれ込んできた。


「貴様、俺たちに偽がねを掴ませた…ヒィッ?!」


 傭兵達の金も、ヴェルナーの財宝と同様に砂となっていた。それに抗議しようとやってきたのだが、ヴェルナーのおぞましい姿に、思わず悲鳴をあげた者も居れば、汚物を見るような目で見つめる者もいた。

 その光景は、まさに養豚場の豚そのものだった。


 傭兵達はきびすを返し、金目の物を物色するため屋敷中を駆け回ったが、残されていたのは、砂と土塊だけだった。



◆◆◆



「気持ちわる…」


 ナノを通じて言葉を投げかけるのだが、同時にその光景も流れ込んでくるため、ヴェルナーの悍ましき最後を見て、響は胸くそ悪さに襲われる。


『予想以上の酷さでしたね…』


「全くだ。人間ああなったらお終いだな…」


『ある意味、死ぬことよりも辛い罰だったかもしれません。』


 ナノの言葉に、俺は何も言葉が出なかった。少しではあるが、罪悪感を感じたためだ。


 その時、ルナがそっと俺に、暖かいハーブティーを差し出してくれた。

 

「響さんは、失われるかもしれなかった、多くの人たちの命を救ったのです。何も気に病むことはありません。」


 そっと俺の肩に手を置き、体をさすってくれた。


「そうだな…そう考えるしかないよな…」


「そうです。これで沢山の人が救われたのです。」


 ルナはそう言って、俺のことを抱きしめてくれた。さすが大天使…包容力が違うな。

◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇


読んでいただきありがとうございます。

初めて書いた作品なので、ちょいちょいおかしな点があるかもしれませんが、温かい目で見ていただけると幸いです。

 毎日更新予定です。応援して貰えると、モチベアップして、小躍りしますので、☆の応援お待ちしています!


よろしくお願いします!

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