再度の検査入院 11
次の日、私はまた夢の中で坂本と会っていた。
そのためか、朝から気分が良い。いつもの時間にやってきた母から私の様子について言われた。
「さくらちゃん、今日は調子いいの? 何か嬉しそうじゃない」
「エヘヘ、分かる? 実は夢の中だけど昨夜も坂本君と会えたの」
「えーっ、それはすごいじゃない。夢では同じような内容をなかなか見られないって言うわよ。それ、もしかすると正夢になるんじゃない?」
「まさか。たまたま2晩続いて見られただけよ。それに坂本君もクラス委員ということだからわざわざ見舞いに来てくれたんだと思うし、私のために、ということじゃないわよ。そうじゃなくても嬉しいけどね。片思いでも良いでしょ?」
「もちろん良いわよ。今はね。でも早く元気になって本当に高校生らしいお付き合いができればいいね。お母さん、応援するわよ。恋愛の先輩として」
「うふ、ありがとう。私、夢の中だけでも恋をしたみたいで本当にうれしい。そこでは私、他の子と同じ容姿なんだよ。現実とは違う。だから夢の中のほうが良いかも」
私は夢の中でのことは嬉しいことではあるが、毎朝鏡を見ると現実に引き戻される。そこには年齢にふさわしくない私が写っている。信じたくはない。それこそが夢なのだと何度も言い聞かせている。だから、今朝も嬉しさと現実が複雑に交錯して、その波を感じていたのだ。
母は私の様子の変化を敏感に感じ取り、負の感情になった時は自分の表情も微妙に暗くなったことを感じていた。
しかし、今、私にそういうところを見られたくないという気持ちからか、すぐに話題を変えた。
「それでね、さくら、昨日お父さんが見舞いに来たでしょう。帰った後、いろいろ2人で話したの。お父さん言っていたけど、しばらく仕事のスケジュールがゆっくりになるので、また病院に来るって言ってたよ。お母さんは毎日来れるけど、お父さんとはあまり話せなかったものね。今度来た時にでも坂本君の話でもしたら?」
「でも、それは夢の話よ。妄想を話しているようで恥ずかしいわ。でも、リアルな話としてお父さんとお母さんのこと、聞きたいな。私の夢の参考にしたい」
「夢なんて言うんじゃないわよ。本当にそうなるようにするためのイメージトレーニングとして聞きなさい。でなければ話さないわ」
母はわざとちょっと怒ったような感じで言った。だが、目が笑っていたので、私には機嫌を損ねた上での言葉でないことはすぐに分かった。
「分かった、分かった。こういうことは親にもなかなか聞けないものね。私が将来家庭を持てたら、同じように娘に話す。男の子だったらお父さんの話をする。恋は2人の気持ちで成立するんだものね。だから今日はお母さんの話をして。お父さんの話は今度来た時に聞く。でもね、今日お母さんの恋バナを聞いたこと、お父さんには黙っていてね。もしかすると、そういうことは恥ずかしいといって来てくれなくなるかもしれないから」
「分かった。これは女の約束ね」




