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エピソード1.異世界転移❶

おかしい、何かおかしい。

何がおかしいのかと言うと地面がない。

地面がないと言えば嘘になる、正確に言えば地面はある。

地面はあるんだが、俺が現在居る所が地面の無い所なんだ。

そう、山本 一郎(やまもと いちろう)18 歳、絶賛空中から落下中。


ーーそもそも何故こんな事になったのか、こんな所にいるのか全くもって思い出せない。

高校最後の思い出作り授業の一環でバンジージャンプ?それとも人生に悲観してビルの上から飛び降り自殺?…どれも違う、背中にパラシュートもないし、周りを見渡してもビル一つない。


「ん?」


周りを見渡して改めて気が付いた、落下する中景色を見渡しても明らかに俺の知る日本では無い。

外国?なんで?夢?意味が分からなかった。

そんな事を考えている間に、どんどん落ちていく俺。

真下をもう一度確認する。

幸い落ちる所は海だ。


「まじで夢なら早く覚めてくれぇぇぇえ」


青少年の主張宛ら絶叫を上げながら俺は盛大に海のど真ん中に『ズボーーン』と落下した。


ーー海、海だ、空の後は海だ、落下した衝撃で口の中に海水が入る。

しょっぱい、うん、間違いなく海だ。

くそ、くそくそくそ、なんて夢だ。

落下した衝撃でどんどん底に沈んでいく俺、遠ざかる水面を見上げながら夢が早く覚める事を祈っていた。


「ギュィイイ」


突如水中で何かの鳴き声が響いた。


「………っ!?」


そして俺は声のするモノの正体を見て絶句する。

遠くから明らかに俺目掛けてやってくるその何かは、魚とも竜とも形容し難い緑色の化け物だった。

やばい。

これはマジでやばい、やばい、やば過ぎる。

一瞬で血の気が引くのを感じた。

必死に身体を動かしがむしゃらに泳ぎ例の化け物から逃げる、逃げる。


ーーしかし、後ろを振り向くと例の化け物はすぐそこまで迫って来ていた。

緑色の細長い胴体のそいつは竜のような頭をしていて真っ赤な瞳で俺を捉え、牙を剥き出しに口を大きく広げる。

噛み殺される。

誰がどう見てもそんな状況だ。

痛い、これ絶対痛い奴だ、夢でも絶対痛い。

いや、そりゃ痛いだろ?こんな化け物に噛まれたら。


『絶対嫌だぁぁぁぁあ』


心の中で叫び決死の思いで身体を動かし噛まれないように抗う。


ーーズキンと右肘に熱が走る。

奇跡的に化け物の攻撃を避ける事ができたみたいだが、右肘を少しかすめたみたいだ、肘から血が出て水中の一部分を赤く染めていく。


「ギュィイイ」


例の化け物は今度こそと言わんばかりに再び俺を食い殺そうと威嚇したままだ。

まじでなんて夢だ、不運なのもほどがある。

痛む肘をフルに動かし必死に化け物から逃げる。

つか、夢って痛みあったっけ?そんな事を考えているうちにどんどん息が限界になってきた、そしてその事実が現実逃避し続ける俺に残酷な現実を突き付けくる。

苦しい、息が苦しい。

まじで死ぬ、やっぱこれって夢じゃないのかよ。

現実だと分かった瞬間、不運で意味不明な現状に泣けてきた。


ーー突然誰かに腕を掴まれた、そしてその誰かにぐんぐん引き上げられていく。

助かったのか?酸素不足でボヤッとする意識の中で俺の手を掴む者の姿を見る、緑色の髪をした少年のようだが、そこで俺の意識は途切れてしまった。


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