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まじかるココナッツ。  作者: いろいろ
第0章 ホルクスの街と英雄街
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40幕:バレた魔道使いと東の国の殺し屋3−1 『溜め込む青年』

 

 光が収まり静寂が支配した時、誰もが目を疑った。

 訓練室内にあの貴婦人が消えていたからだ。


 一同は何度も部屋の隅々を見渡した。

 だが小さな女の子以外は見つけることができなかった。


 リーリやルーリもその中の一人であり、あわあわと震えている。

 全身に鳥肌が立ち背筋が凍ったようなそんな感覚が止まらない。

 白い魔法が炸裂する直前、彼女は何と言葉を発しただろうか、、、

 きょくだいしょう、めつじゅ、、もん

 極大消滅呪文?


 ココが、ココがお婆ちゃんを、、、

 だがそんなことはありえない話だった。

 シルクお婆ちゃんは魔法や魔術の魔道のスペシャリストである。

 彼女が完全消滅することなどありえないからだ。


 だが目の前の光景には信じられないものが広がっていた。

 訓練室の一部が抉れ地面はクレーターができたかのように掘り返され天井は大穴が空いている。

 まるであの魔力に直接当たった部分がごっそりと消失してしまったかのような鋭利な断面図をさらけ出している。膨大な魔力は魔術的防御をぶち壊し観覧席まで及んだようだ。

 幸いにもこちらに死傷者は見渡らない。

 だが、、、


 あの子は誰に教わったと言ってただろうか。

 その元凶を追い視線を恐る恐る移すと、、、

 蒼葉くんが固まっていた。

 微動だにさえしない。


 ルーリとリーリは同時に席を立ち彼に詰め寄った。


「あ、あ、あお、ばくん、あ、あ、ああれどういうこここと?」

「ぶ、ぶぶう、ブーベル先輩、こ、こ、、ココちゃんがシルク婆ちゃんをしょ、しょ、消滅?」


 、、、。


 ゴーレムのように動かない彼の肩に手をかけ大きく揺さぶる。

 こんな時に手加減などできようはずかない。

 二人が蒼葉の意識を正常にさせようと努力しているといつもの可愛い声が響いた。


「おばあちゃんそれがみがわりのまじゅつ?まほー?」

「そうなー、次はこれを覚えるんじゃよー」

「うんわかったー」

「よしよしココちゃんはいい子じゃなー、合格祝いにビスケットあるから後で食べなはれー」

「わーいおばあちゃんありがとー」


 動かない彼を前後左右に揺らしているうちにお婆ちゃんが再出現していた。

 どうやら身代わりの呪文を唱えていたらしい。


 大怪我から死ぬに至るまでのほぼ全ての攻撃を魔力で代替する高難易度の呪文である。

 お婆ちゃんの場合はすでに魔術から魔法へと消化しているのだろうと思う。

 ちなみにギルドで配られる小さな人形もその呪文を応用して作られており魔術が使用できないか苦手な人のために売買されている。

 だいたい登録当初の順冒険者時代に最初だけ無料で配られることが多い。


 彼女のその呪文は本当に画期的で革命的発明であった。

 世の冒険者の死傷率が大幅に激減したのだ。

 結果、そのことによりある現象が起きた。

 それは女性冒険者の増加である。

 男性ばかりだった冒険者という職業の世界に数多くの女性たちが進出したのである。

 そして噂が噂を呼び世界中でこの人形は使用されるようになった。


 それも昔の話であり今では全体の4割を越すまでに女性冒険者が占めるようになった。


 その呪文の考案者であり人形の開発者があのシルクお婆ちゃんである。

 その呪文だけでとんでもない財を築いたと言われておりその話が本当ならば、今の魔道具屋は道楽で営んでいるのかもしれない。


 そんなお婆ちゃんの偉業をルーリもリーリも心の底から忘れていた。

 このことは世界的に有名な話であり、二人が冷静に思考できていればすぐに思いつくのだが、、、



「ブルーベルくん、少しいいかしら?」


 二人がほっと胸をなでおろした時、冷たく鋭い声が背後からかけられた。

 言わなくてもわかる。聞いただけでわかる。振り向かなくてもわかる。

 先ほどとは違った意味で背筋が凍りつき目を背け思わず逃げ出したくなるほどの絶対的恐怖が感じられる。

 これは彼女が最上級の怒りに達したときに奏でられる死の合図(サイン)である。

 ルーリは過去に5回ほどだっただろうか、リーリも過去に4回ほど味わったことがある。

 あのときはまだ子供だったのだ。

 決して触れてはならない、いや違う。決してここまで怒らせてはいけないことがあることを二人は知っていた、記憶していたはずだった。心に刻みつけていたはずだった。


「二人も来なさいね」


 そして、もちろん飛び火した。



●補足説明


一般的な魔道の定義:定義として定められているが線引きは難しく曖昧。蒼葉もココも最低限しか理解してません。


・魔法を使う人 → 魔法師、魔法使い → 一般的に魔法使いと呼ばれる。

・魔術を使う人 → 魔術師、魔術使い → 一般的に魔術師と呼ばれる。

・魔法、魔術を使う人 → 魔道使い(魔道士)


※魔道士は公的に認められた者のみが名乗れる肩書き。ほかは魔道使い。




・魔術:詠唱や魔法陣を用いて事象を起こす。魔力の変換効率が悪い。

・魔法:詠唱や魔法陣は使用しない。魔力の変換効率が良い。難しい。


・呪文:魔術、魔法を統合して呪文と呼ぶ。魔術や魔法も一般的に呪文と呼ばれる。




恐れ入りますが、、、、ココに癒されたい方、蒼葉に同情していただける方、もしよろしければ評価やブックマーク等いただけると嬉しいです。

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