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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第60話 《王女の選択》

王国議会。


空気は最悪だった。


巨大円形議場。


王国中の大貴族。


軍上層部。


神官。


商会代表。


全員が揃っている。


だが。


会議ではない。


これはもう。


戦争寸前だった。


「あり得ません!!」


怒号が響く。


立ち上がったのは保守派筆頭。


侯爵バルディア。


白髪の老人。


顔を真っ赤にしていた。


「観測外存在を保護など!!」


「国家自殺行為ですぞ!!」


周囲の貴族たちも同調する。


「神々に敵対するつもりか!」


「王国が滅ぶ!」


「今すぐ引き渡すべきだ!」


議場が荒れる。


その中心。


王族席。


セリスは静かに座っていた。


疲労は限界。


だが。


瞳だけは折れていない。


議場を見渡す。


そして。


静かに口を開いた。


「王国は」


一瞬で静まる。


王女。


第一王位継承者。


彼女の言葉には絶対的重みがある。


セリスは真っ直ぐ前を見た。


「カイン様を保護します」


空気凍結。


次の瞬間。


議場爆発。


「正気ですか!!?」


「王女殿下!!」


「世界を敵に回す気か!!」


怒号。


机を叩く音。


完全混乱。


だが。


セリスは一歩も引かなかった。


「神々は既に世界へ干渉しています」


「今さら従って助かる保証はありません」


論理だった。


感情ではない。


「それなら」


「唯一対抗可能な存在を切り捨てる理由はない」


正論。


だが。


貴族たちは恐怖していた。


カインが。


怖い。


理解不能だから。


バルディア侯爵が吐き捨てる。


「化け物に頼るなど王族の恥ですぞ!!」


瞬間。


空気が冷えた。


セリスの瞳から感情が消える。


「……化け物?」


静かな声。


逆に怖い。


「王国を何度も救った方を」


「あなたはそう呼ぶのですね」


侯爵が言葉に詰まる。


セリスは立ち上がった。


王族の威圧。


議場が静まる。


「神々が敵かもしれない」


「世界が崩壊している」


「その中で」


「誰が王国を守ってきましたか?」


誰も答えない。


フェンリル。


王都襲撃。


神代迷宮。


神々降臨。


全部。


カインが止めた。


セリスは続ける。


「少なくとも私は」


「カイン様を敵とは思いません」


強い声だった。


覚悟の声。


その時。


後方から拍手。


全員振り向く。


アイリスだった。


アイリス


彼女は壁際で腕を組みながら言う。


「私も同意見だ」


「敵対だけはやめておけ」


王国最強騎士。


その発言は重い。


さらに。


ヴァレリアまで笑う。


「帝国も賛成だな」


「今さら敵に回すとか自殺だろ」


貴族側が青ざめる。


軍。


王女。


帝国。


全部カイン側。


流れが変わり始めていた。


だが。


だからこそ。


反発も激化する。


「認められるか!!」


「王国は神へ従うべきだ!!」


「異端だ!!」


「王女は狂った!!」


議場分裂。


もはや修復不能。


王国そのものが割れ始めていた。


その頃。


カイン本人。


城内食堂。


パン食べてた。


「今日やけに騒がしいな……」


平和。


ルナが呆れる。


「自分が原因だって理解して?」


「いやでも、なんか大事になってるし……」


既に国家レベルです。


その時。


セリスが会議を終えて戻ってきた。


疲労。


限界。


でも。


表情は真っ直ぐだった。


カインが立ち上がる。


「大丈夫?」


その一言。


セリスの肩から力が抜ける。


王女ではなく。


一人の少女として心配された。


それだけで。


少し救われる。


彼女は小さく笑う。


「……はい」


「なんとか」


だが。


その瞬間。


護衛騎士が飛び込んできた。


「報告!!」


空気変化。


騎士の顔が青い。


「反王族派貴族より声明です!」


セリスが振り向く。


騎士は震える声で言った。


「“王女セリスを粛清対象に指定する”と――」


沈黙。


王国内戦。


ついに。


始まりかけていた。

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