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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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第122話 《自由意志》

世界は混乱していた。


当然だった。


神が消えた。


カイン


その事実は。


想像以上に重かった。


これまで人類は。


“神が正しい”


その前提で生きてきた。


神託。


運命。


適性。


レベル。


全部。


絶対基準だった。


だが。


それが。


消えた。


朝。


教国中央神殿。


巨大な祈祷場で。


神官たちは青ざめていた。


祭壇が沈黙している。


どれだけ祈っても。


返答がない。


神託ゼロ。


奇跡術停止。


最高司祭が震える声を出す。


「そんな……」


「神は我々を見捨てたのか……?」


信徒たちは混乱する。


怒号。


泣き声。


崩れる神像。


一部では暴動まで起き始めていた。


長年。


“神の言葉”で成り立っていた国。


その土台が完全崩壊した。


一方。


帝国。


そこでは別の混乱が起きていた。


ヴァレリア


帝国将軍ヴァレリアは山積みの報告書を睨む。


「貴族同士の衝突が急増しています」


副官が苦い顔をする。


「神託階級が消えたことで……」


「下位階級出身者の反発が」


当然だった。


旧世界では。


才能。


適性。


レベル。


それらが社会的価値だった。


だから。


高適性貴族は支配者になれた。


だが今。


その基準が消えた。


“なぜ貴族が上なのか”


誰も説明できない。


帝国は秩序維持に追われていた。


そして。


王国。


そこだけは少し違った。


王都中央議会。


そこには。


セリス


セリスが立っていた。


彼女の前には。


貴族。


平民代表。


騎士。


商人。


各国使節。


全員が集まっている。


空気は重い。


誰もが不安だった。


未来が分からない。


神がいない。


正解がない。


そんな世界。


初めてだった。


老貴族が声を荒げる。


「ならば誰が秩序を決めるのです!?」


「神も運命もない世界で!」


別の者も叫ぶ。


「このままでは世界は混乱する!」


「人類には導きが必要だ!」


沈黙。


だが。


セリスは逃げなかった。


静かに。


全員を見渡す。


かつて。


守られるだけだった王女。


だが今。


彼女は人類の代表だった。


セリスは口を開く。


「……ええ」


「混乱するでしょう」


「失敗もすると思います」


誰も反論できない。


それは事実だった。


だが。


セリスは続ける。


「でも」


「だからといって」


「誰かに未来を決められていい理由にはなりません」


空気が変わる。


彼女の瞳は真っ直ぐだった。


「これからは」


セリスははっきり言う。


「私たち自身で決める時代です」


静寂。


その言葉は。


今まで誰も言えなかった。


神が決める。


運命が決める。


世界が決める。


そうやって生きてきた。


だが。


もう違う。


未来は。


自分たちで選ぶ。


その時。


一人の若い騎士が立ち上がる。


「……俺は賛成です」


さらに。


商人。


魔導士。


平民代表。


次々に声が上がる。


「自分で決めたい」


「もう生まれで決められたくない」


「やっと普通になれた」


変化が始まっていた。


人類は初めて。


“自分の意思”で進もうとしている。


その頃。


辺境都市。


小さな広場。


若者たちが議論していた。


「レベルがないなら」


「誰でも強くなれるんじゃないか?」


「貴族じゃなくても研究できる」


「神官じゃなくても魔法を学べる」


世界中で。


新しい考えが生まれていく。


自由。


平等。


選択。


可能性。


まだ未熟。


危うい。


それでも。


確かに。


人類は変わり始めていた。


境界空間。


カインはその様子を静かに見ていた。


カイン


不完全だ。


争いも起きる。


間違いもある。


でも。


それでいい。


未来は。


自分で選ぶから意味がある。


その時。


世界各地で。


新しい思想を掲げる人々が現れ始める。


神なき時代。


自由意思の時代。


新世界は。


今。


本当に動き始めていた。

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