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追放されたけど、全能力がSSSで世界の理から外れてました  作者: 南蛇井


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111/130

第111話 《観測者本体》

最終門の先。


そこは。


“宇宙”だった。


だが。


カインたちの知る宇宙ではない。


カイン


カインが最初に感じたのは、静寂だった。


音がない。


重力がない。


上下すら曖昧。


白と黒だけで構築された超巨大空間。


無限。


その言葉ですら足りない。


星々が浮かんでいる。


だが。


普通の星じゃない。


近づいた瞬間、レオンが息を呑んだ。


レオン


「……なんだ、これ」


星が。


数式だった。


巨大恒星。


その表面を、無数の演算式が流れている。


魔法陣ではない。


もっと根源的。


宇宙そのものを制御する方程式。


軌道。


生命。


因果。


時間。


全部。


数式として記述されていた。


ルナが震える。


ルナ


「世界法則そのもの……」


「可視化されてる……!?」


さらに。


周囲の空間そのものが演算表示へ変換されていく。


銀色の文字列。


無限コード。


神代文明すら比較にならない情報量。


宇宙そのものが“処理空間”。


そして。


時間。


それすら異常だった。


セリスが空を見上げ、言葉を失う。


セリス


「時間が……見える……?」


本来見えるはずのないもの。


それが今。


層になって空間へ浮かんでいた。


過去。


現在。


未来。


全部が重なって存在している。


時間が“川”ではなく、“積層構造”として露出していた。


アイリスが眉をひそめる。


アイリス


「頭がおかしくなりそうだ……」


実際。


普通の存在なら耐えられない空間だった。


認識そのものが崩壊する。


だが。


カインだけは普通に立っている。


いや。


むしろ。


空間が彼へ同期していた。


白と黒の演算宇宙が、カインの存在を受け入れている。


その時。


宇宙全体が脈動した。


無数の星々が一斉に明滅。


数式銀河が収束する。


巨大な“眼”。


いや。


違う。


もっと巨大。


宇宙そのものが、一つの意識としてこちらを見ていた。


観測者本体。


観測者


声が響く。


直接脳へ。


『境界存在KAIN』


『最終接触を開始』


その瞬間。


神々の姿が空間へ投影される。


アストラ。


クロノス。


ミラ。


かつて戦った神々。


だが。


全員が光の断片だった。


観測者が告げる。


『神々は世界管理端末』


『観測補助ユニット』


『世界維持装置群の一部』


沈黙。


レオンが呟く。


「……端末?」


観測者は続ける。


『世界維持のため』


『因果管理』


『時間制御』


『生命監視』


『法則固定を実行』


つまり。


神々とは。


創世神話の絶対存在ではない。


世界を維持するための管理プログラム群。


神話の正体。


全部。


管理システムだった。


ルナが笑う。


乾いた笑い。


「はは……」


「もう神話とか宗教とか全部壊れてる……」


ゼノですら沈黙していた。


ゼノ


魔王。


神の敵。


その存在理由すら。


この巨大システムの一部だったのかもしれない。


観測者本体が再び脈動する。


すると。


宇宙全体へ黒いノイズが走った。


白銀演算空間へ亀裂。


数式銀河崩壊。


時間層が乱れる。


観測者の声が、初めて揺らぐ。


『外界侵食拡大』


『演算維持不能』


『法則固定失敗』


その時。


カインが感じた。


この空間ですら。


もう限界だと。


そして。


観測者本体は。


静かに。


終末宣言を下す。


『外界侵食率』


一瞬。


宇宙全体が停止する。


『臨界突破』

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