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誕生日の尋ね人

 ノワールが玄関に行き、鍵を閉めていたドアから少しだけ顔を出す。もしかして、先程の動物たちが何か忘れ物を取りに来ただけかもしれない……。



 するとそこには誰の姿も見えない。気のせいかと思い、部屋に戻ろうかと思った瞬間、足元に可愛らしいピンクの箱を見つけた。


  不思議に思い、先程パーティした場所へ戻り、テーブルの上に箱を置く。箱には真っ白いリボンが結んであり、メッセージが添えられていた。




「……!!!!」



 お嬢様が目を覚まし、ノワールの持ってきた箱を不思議そうに見つめる。ゆっくりとリボンを開き、蓋を開けるとそこには真っ赤なヒールのある靴が入っていた。お嬢様はパジャマの姿で靴をはく。背筋を伸ばし、靴を履いて一回転した。靴を結ぶ後ろのシルクのリボンが歩くと揺れてとても可愛らしい。



「お嬢様にとてもよくお似合いです」



  お嬢様は靴をはきながら床にペタンと座った。

 メッセージカードの文字は残念ながら掠れていた。



 お嬢様はノワールの胸元に顔を埋めた。



「お嬢様……?」








  お嬢様の足の傷はほとんど見えないくらいに大分綺麗に治っていた。




「ハッピーバースディと言う言葉を教えてくれたのは、お嬢様でした。私はお嬢様とこのお屋敷に残された沢山の本から言葉もお作法も学びました」


 ノワールが自分の両手をあわせる。



「私はあの日からずっとずっと、あなたの事が大好きなんです」



  そして、そっと、手を離すと……テーブルに置いた燭台の灯りが消えてしまった。







  毎年、毎年。沢山の人からお祝いされる日。

 それは、来年も再来年も変わらない。




「ハッピーバースディ」




  ノワールの首についた鈴の音が遠くから聞こえる……。

  さて、この物語で閉じ込められたのは誰だったのでしょうかーー……。







 























  ーーチリン。

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