第十七話 シュールストレーミン!
タモリことレオナルド本木は、
ゆっくりとグラウンドへ歩き出した。
観客。
ざわつく。
黒龍高校。
空気が変わる。
タモリは織冠メンバーを見る。
劉備。
孔明。
呂布。
馬謖。
そして思う。
⸻
劉備。
くだらねえ嫉妬だろ。
どんだけ孔明が好きなんだ。
⸻
孔明。
この優柔不断が。
おまえはこのチームの真のリーダーなんだ。
しっかりしろ。
⸻
呂布。
おまえはすげえ。
本当にすげえ。
⸻
……ムカつく奴らだ。
心地いいくらいに。
ムカつく奴らだ。
⸻
タモリは立ち止まる。
そして。
突然叫んだ。
「おい馬謖!!」
馬謖。
飛び上がる。
「は、はい!!」
「今の状況!」
「故事成語で例えろ!!」
観客。
「なんだその指示!?」
馬謖。
脳フル回転。
汗。
数秒後。
「四面楚歌です!!」
タモリ。
「よし!!」
「孔明!!」
「何ですか!!」
「劉備に謝れ!!」
孔明。
停止。
「えっ」
タモリ。
「おまえが逃げるから空気が腐るんだろ!!」
孔明。
図星。
劉備を見る。
劉備。
視線逸らす。
孔明。
小さく言う。
「……ごめん」
劉備。
耳真っ赤。
周律。
「なんなんですかこの青春」
タモリ。
さらに吠える。
「劉備!!」
「は、はい!」
「おまえの天下統一はそんなものか!!」
観客。
「モルックだよね!?」
劉備。
止まる。
そして。
少し笑った。
タモリ。
最後に呂布を見る。
呂布(武田猛)
数秒。
沈黙。
「呂布」
「はい」
「おまえはそのままで」
呂布。
「ありがとうございます」
周律。
「そこは完成してるんですね」
その瞬間。
空気が変わった。
本当に。
変わった。
孔明。
冷静さが戻る。
劉備。
力が抜ける。
馬謖。
吹っ切れる。
呂布。
さらに安定する。
そして。
タモリのモルックの具体的アドバイスが、
怖いくらい当たり始めた。
「孔明、右狙え」
カン!!
命中。
「馬謖、回転減らせ」
ドゴッ!!
12。
「劉備、考えんな」
カン!!
9。
実況。
「織冠高校、復活したぁぁぁ!!」
観客。
ざわつく。
黒龍高校主将。
顔が青ざめる。
「なんだあいつら……」
「急に空気変わったぞ……」
さらに。
本木の指示が飛ぶたび。
織冠全員の動きが鋭くなる。
まるで。
全員。
サングラスをかけているみたいだった。
黒龍主将。
震える。
「……全員に」
「あの本木さんが乗り移ったみたいだ……」
そして。
タモリは叫んだ。
「ここからだーーー!!!」
「織冠ァァァ!!」
拳を振り上げる。
「ファイッ!!!」
観客。
静止。
タモリ。
勢い余って。
「シュールストレーミン!!!」
沈黙。
周律。
「なんで最後それなんですか」
しかし。
織冠は笑った。
孔明も。
劉備も。
呂布も。
馬謖も。
全部吹き飛んだ。
その瞬間。
織冠高校は、
本当のチームになった。




