第十五話 目を覚ます伝説の男
黒龍高校戦。
中盤。
スコア。
織冠、負けていた。
しかも。
内容が悪い。
劉備。
焦っている。
孔明。
観客3000人のヤジで集中切れ。
馬謖。
聖マリア女子席を気にして外す。
呂布だけが戦っていた。
呂布(武田猛)
ドゴッ!!
12。
また12。
だが。
追いつかない。
実況。
「黒龍高校優勢!!」
観客。
大歓声。
完全アウェー。
その時。
周律がふとモニターを見る。
そこには過去の世界大会映像。
昔のモルック特集。
一瞬だけ映った名前。
レオナルド・本木・シュナイダー。
周律。
停止。
周律
「……え?」
脳内で繋がる。
黒龍高校の反応。
本木を見る目。
世界大会。
フォーム。
全部。
周律。
顔色変わる。
「あの人……」
「モルックのレジェンドだ」
孔明。
「え?」
周律。
「本当に世界行ってた人だ」
沈黙。
その瞬間。
周律は理解した。
このままじゃ負ける。
いや。
ただ負けるだけじゃない。
空気。
関係。
嫉妬。
焦り。
全部バラバラ。
こんな空気で負けたら、
この部活そのものが崩れる。
周律は立ち上がった。
走る。
タモリことレオナルド本木の元へ。
そして。
頭を下げた。
「タモリ先生」
「お願いします」
「助けてください」
タモリ。
動かない。
関羽も来る。
関羽
状況わかってない。
でも。
なぜか一緒に頭を下げる。
「頼む」
「なんかよくわからんが頼む」
周律。
「雑!」
タモリは無言でグラウンドを見る。
そこには。
本来もっと強いはずのチーム。
なのに。
一割も力を出せていない。
その姿を見た瞬間。
タモリの脳裏に。
昔の自分が蘇る。
全国大会。
リンク。
観客。
羽村結弦。
意識しすぎた。
勝ちたすぎた。
焦った。
そして。
できたこともない、トリプルアクセルに挑戦した。
「するな!!!!」
現在のタモリが過去の自分にツッコむ。
当然。
失敗。
転倒。
動揺。
全部崩れた。
あの日の自分。
今の織冠。
同じだった。
その時。
ふと。
昔の言葉が蘇る。
空港。
ミラノ。
羽村結弦の笑顔。
羽村結弦。
「こだわり過ぎるなよ」
「力抜けよ」
「人生には譲ることも大事さ」
「結弦だけにね」
タモリ。
「最後のいらねぇだろ……」
でも。
少し笑った。
そして。
立ち上がる。
ゆっくり。
チームへ向かって歩く。
観客がざわつく。
黒龍高校も止まる。
タモリはサングラスを少し上げた。
サングラス越しのその目には、
かつて“立川ナンバー1”と呼ばれた、
あの光が戻っていた。




