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第四話 タモリ

放課後。


旧校舎三階。


ダイエット部兼モルック部兼三国志同好会。


劉備たちは体育倉庫へモルックを取りに行っていた。


部室にいるのは。


孔明。


そして新入部員三人。


渡辺美由。

中山ミツル。

周律。


微妙な沈黙。


孔明が気まずそうに言う。


孔明


「えーっと……」


「何か質問あります?」


渡辺美由が手を挙げた。


渡辺美由


「せっかくだし、三国志っぽい名前つけてください!」


孔明。


止まる。


「えっ」


「みんな三国志名あるじゃないですか」


確かに。


劉備。

関羽。

呂布。

曹操。

孔明。


なぜか全員、あだ名で呼ばれている。


周律が少し笑う。


周律


「なんか憧れますね」


孔明は焦った。


実は。


そこまで三国志詳しくない。


知識はだいたいネットと横山漫画。


しかし後には引けない。


孔明は腕を組む。


「じゃあ……」


渡辺を見る。


明るい。


元気。


勢いある。


「孫策」


「わー!なんか強そう!」


喜ぶ。


次。


中山ミツル。


普通。


特徴なし。


だが何か秘めてそう。


「……孫堅」


「ありがとうございます」


普通。


最後。


周律。


爽やか。


空気整う。


なんとなく頭良さそう。


「孫権」


周律が少し笑う。


「ありがとうございます」


その瞬間。


部室の空気が止まった。


渡辺。


「あれ?」


周律。


「……あの」


中山。


「音、一緒じゃないですか?」


孔明。


「え?」


「孫権と孫堅」


「ソンケンとソンケンですよね?」


沈黙。


孔明。


「…………」


「まあ雰囲気で」


「適当だ!」


体育準備室から帰って来た劉備に、孔明がつけた三国志名の件で叱られる。


「呉陣営じゃないか!」


「ソンケン、ソンケンて!」


決まってしまったものは覆せない。


ガラッ!!!


部室のドアが乱暴に開いた。


全員振り向く。


サングラス。


七三分け。


黒ジャケット。


妙に昭和。


男が立っていた。


1年4組担任、タモリ先生


男は部室を見渡す。


「おまえら」


低い声。


「ずいぶん調子乗ってるみたいだな」


空気が凍る。


劉備


「は?」


即座にカチンとくる。


関羽が前に出る。


関羽


「誰だお前」


男は鼻で笑う。


「モルックやってるらしいな」


「だったら投げてみろよ」


挑発。


劉備がムキになる。


「いいでしょう」


体育倉庫から持ってきたモルック棒を掴む。


簡易セット。


スキットルを並べる。


劉備が投げる。


カン!


綺麗に倒れる。


部員たち。


「おおー!」


男。


無言。


そして。


スッとモルック棒を取る。


構える。


空気が変わる。


投げる。


ドゴッ!!!


とんでもない音。


スキットルが綺麗に飛ぶ。


沈黙。


関羽。


「……上手い」


呂布。


「フォームが異常に綺麗ですね」


男はサングラスを上げる。


「今日はこれぐらいにしといてやろうじゃないか」


そして帰る。


ガラッ。


閉まるドア。


沈黙。


渡辺。


「何あれ……」


孔明。


「さあ……」




翌日。


部室。


ガラッ。


入ってきたのは校長とタモリだった。


なぜかテンション高い。


「やあ諸君!」


全員起立。


「モルック部、頑張っているかな!?」


全員。


「……え?」


校長は満面の笑み。


「去年は優勝したし!」


「今年も期待しているよ!」


部室が静まる。


劉備。


「……優勝?」


孔明。


「え?」


校長。


「全国連覇だ!」


沈黙。


関羽が小声。


「ダイエット甲子園のことか?」


呂布。


「勘違いしてません?」


校長は続ける。


「しかも今年は!」


「モルックを指導できる素晴らしい先生も来た!」


嫌な予感。


「紹介しよう」


昨日の先生、タモリ。


サングラス。


七三分け。


黒ジャケット。


「今日から顧問になる」


男はホワイトボードに名前を書く。



レオナルド本木



沈黙。


男。


「レオナルド本木だ」


劉備。


「いや」


孔明。


「ここダイエット部なんですけど」


校長。


「え?」


レオナルド本木。


「え?」


部室。


「え?」

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