表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第三章 魔王と勇者
90/436

振動を辿る

 外から風の音と虫の音が聞こえてくる。

 深い瞑想の中で、その二つの音のみに意識を集中させる。

 

「わかる……」


 沢山いる虫の位置がはっきりとわかる。


 いち……にい……さん……


 漏れがないように一つずつ丁寧に数えていく。


「……全部で四十三匹。風は南西から吹いている」


 回答の正解を教えてくれる人物はいないが合っている自信はある。なぜなら二回数え直した。

 閃光さんが言っていた。集中力を上げれば上げるほど、今の私は強くなる。

 あと少しで何事もなく一日が終わる。お夕飯食べて、お風呂入ってベッドの中だ。

 あと三日ほどでアクワ王国軍が再接近する。それまでは自分の強さを磨いておこうと思う。その必要性を黄色の勇者が教えてくれた。

 だけど、このまま何も起きずに終わればいいと思う。王国軍は成果なしで帰還。それがベストだ。


 キィーン


 耳鳴りと同時に空気が震えた。嫌な感じがする。この感覚は以前にも体験している。

 意識を集中し、空気の震えの発生源を探る。この断続的に起こっている振動を辿っていけば辿り着くはず。


「遠すぎる……」


 振動を掴んだ意識が途切れそうだ。

 

「全開っ!」


 心は静かなまま、魔力を放出する。

 限界まで遠く。さらに広く。

 この大陸全土に届くように。

 見つけた。振動の道筋。

 もう離さない。

 私の意識は北へ北へと登っていく。


「捕まえた!」


 想像はしていた。だが最悪だ。


「魔界のトビラ……このあいだの魔竜……」


 すでに空間が裂け始めている。

 そこから魔竜のエネルギーを感じる。しかも怒りの感情が混じっていた。


「この前、両足切り落とした事怒っているのかな」


  当たり前の回答が出る疑問が口から出た。

 追跡を終了する。

 

「フレデリカ様!」


 盾と叡智の聖騎士が部屋に駆け込んで来た。

 

「うん大丈夫。わかってるよ。今探ってきた。たぶん例の魔竜だよ」


 二人を安心させようと明るく振舞う。

 

「相変わらず下手ですね。あたしでもわかりますよ。その強がり」

 




 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ