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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第三章 魔王と勇者
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ギルドのお姉さん

「昨夜はすみませんでした!」


 朝のリビングに黄色い声が響き渡る。

 

「おはよ。大丈夫だよ。ニーサちゃん疲れていたみたいだし。しかたないよ」


「朝、目が覚めたら服着てないし……たぶんお風呂で寝落ちしちゃいました?恥ずかしいです……」


「私も昔、似たような事あったし平気だよ」


 そんなこともあった。でも『あなたのお師匠様に介抱された』なんてところまでは言えっこないけど。


「朝食とったら、叡智さんが街まで送ってくれるって。他二人の勇者も心配していると思うし、安心させてあげて」



 

 今日は私が当番だ。当番というのは依頼をこなして生活費を稼ぐ当番である。主に、短期間で完了できる内容の依頼を受ける。

 お仕事を斡旋してくれるギルドにも冒険者登録したので、比較的容易に見つかる。効率いい仕事は、害獣の討伐や遠方への採取依頼。

 今の私達の能力をフル活用すれば、容易く高額を短期間で稼ぐ事がでしる。

 もちろん容姿は変身魔法で変えないとダメだ。

 魔王扱いされていて、三勇者から特徴等が王国に伝わっている。

 そして仕事も大切だが、もう一つ気になる事ができた。例の王国の北の台地への侵攻だ。私達は再度お引越しすればいいとして……魔界へのゲートの出現ポイントは魔獣のレベルが高い。さらに、大勢の人間が近づく事によって、悪魔を引き寄せてしまう可能性がある。ゲートが開いて魔竜みたいなのが出てきたら、生半可な戦力では犠牲だけが増える。それだけは阻止しないといけない。


 黄色の勇者と叡智の聖騎士が転移するのを見届け、私も屋敷を出る。とりあえずギルドに向かおう。

 私が出入りしている場所はそんなに大きくない街のギルドだ。

 あまり人目につかないようにというのもあるが、人の出入が少ないので顔を覚えてもらう事ができる。常連になると優先的に仕事をまわしてもらったり、こちらの希望の依頼を優先に紹介してもらえる。

 

「おはようシャルさん。今日も早いね」


 この受付の女性は私を担当してくれているベテランさんだ。

 私より年上のお姉さんで、とても親切にしてくれる。


「おはようございます。今日もお願いします」


 朝も早く同業者も少ないのか、すぐに個室に通された。

 部屋に入ると、図書館ではないかと思えるほど本棚一面に、本やら資料やらが収納されている。

 立派な応接室だ。おそらく、これも足繁く通った者の特権だ。

 

「では、シャルさん。ご希望をお伺いしますね」


 ギルドの担当さんは優しく微笑む。

 

「はい。噂で聞いたのですが、最近は軍のお仕事が忙しいって。何かあります?」


 例の噂が気になる。今日は、その情報収集も兼ねている。噂通りの大規模な遠征があるなら、それに関する仕事もあるはずだ。


「へぇー、シャルさんって意外と耳が早いですね」


 ギルドのお姉さんは立ち上がると本棚から一冊のファイルを持ってきた。

 

「今はこの三件しか入っていないけど、来週には、このファイルがパンパンになるくらいの依頼書が来る予定よ」


 表紙をめくる。

 ふーん。分かりやすい。


 『傭兵・魔術師の求人』

 『武器の調達』

 『料理人募集』


 特に最初の二つの募集期間は一ヶ月間。

 大規模な戦争でも勃発するかのような急募だ。しかも、これから仕事が大量に増える。推測するに何か起こるのは二か月後くらいだろうか。

 これだけで判断するのは早いかもしれない。他の街や南側の地方も見に行った方がいいかもしれない。

 しばらくは忙しくなるかもしれない。

 叡智さんに頼んで、軍上層部の人の心を読んでもらうのが手っ取り早いけど、私の影響で聖騎士の三人も魔の属性になってしまった。軍の探知に引っかかってしまうかもしれない。頻繁に悪魔が出現するようになって、悪魔探知できる技術ができた。北と南の技術の結晶だ。


「ねぇ。これ見ると不安になっちゃうよね。何か戦争でもするのかしら。せっかくアクワ国も一つになって平和になったのに。私ね。この間、生まれて初めて魔法を見たんだ。魔法ってすごいよね。あんなにスゴイ技術、生活とか娯楽とか使い道が沢山あると思うの。戦争なんかに使うの勿体ないよね」


「そうですね。私もそう思いますよ。私の力も、そうありたいと思っています」


「大丈夫です!シャルさんの採取能力は街のみなさんの役に立っていますよ。シャルさんの採ってきた薬草で多くの人が助かっていますよ。自信を持ってください。私が保証します」


「ありがとうございます。嬉しいです」


 私のことを認めてくれる人がいる。

 そういう人がいてくれるだけで、少しだけ自分に自信が持てる気がする。


「それじゃあ。お仕事のお話しましょう。実はシャルさん用にとってある依頼があるんです。えっとですね……」






 

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