あたたかい……
「う……ん……寝ちゃった。まだ眠い。もう少しだけ眠ろう」
「おい、大丈夫か?起きれるか?」
まだ眠いから寝かせてよ。
「ホークぅ……もう少し寝かせて。眠いもん。あなたも少し眠ったら……」
「寝ぼけてないで起きろって」
「寝ぼけてなんか……あれ……私って確か」
意識がある時の直近の記憶を呼び覚ます。
「嘘……いやっ……ごめんなさい。私……」
逃げなきゃ。私って気付かれる前に。
でもよかった……彼生きていた。
「ちょっと外の空気吸ってきます。ありがとうございました!」
裸足のまま外に飛び出した。
門を出て、建物の裏に身を隠す。
いつのまにか蒼の剣が横にいた。
「うぅ……よかったよぉ。ホーク生きててくれて」
ずっと後悔してた。
あの時、ちゃんと考えて行動してたら、もっといい方法があったはずだったんだ。そのせいで、あの人から片腕を奪ってしまった。だから正体は明かせない。あの人の元には戻れない。今日ここを出たら、もう二度と会ってはだめだ。
髪の色も変わっているし、三年も経っている。気付かれる前にここを去ろう。
「シャルルさーん!どうしたんですか!もぅ、裸足じゃないですか。ブーツ持ってきましたからはいてください。ケガしちゃいますよ」
金髪の少女が手に私のブーツを抱え、追いかけてきた。
「ありがとうニーサちゃん。何でもないの。私この先の街に用があった事思い出したの。だから、明日そこで落ち合いましょ」
「何ですか急に。泣いているんですか?どこか痛むんですか?私もうシャルルさんの仲間なんですよ。仲間なんですから、ひとりぼっちで悩まないでくださいよぉ。なんでも言ってくださいよぉ」
「ご、ごめんなさい。ニーサちゃんは泣く事ないよ。悪いのは全部私なんだから。ねっ?」
この子はなんて、いい子なんだ。
私はこの優しい女の子を抱きしめた。彼女も力いっぱい抱きしめ返してくれる。あったかいな。
この暖かさに私の心は慰められる。
私もこの子くらい優しい気持ちがほしい。
そうしたら誰か一人くらい幸せにできるかもしれない。
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