決勝戦
昼休憩が終わり、その後、行われた3位決定戦も終了した。勝者は、シトナ・イカームだった。
そして、遂に、決勝戦の幕が上がる。
『名のある猛者たちが集い、凌ぎを削った魔剣大会。とうとう、決勝戦です。……ここまで勝ち上がってきた選手にご登場していただきましょう!!』
「「「「「ウォォォォオオオオ!!!」」」」」
『まずは!圧倒的なる魔術の腕前!未だ、王国騎士団団長の剣を防ぐためにしか使われていない剣術は未知数!異なる二つの技術を修めた先の魔群の侵攻の立役者!!「月下の魔剣士」ジャック・ネームレス!!!』
司会の紹介に合わせ、入場口から堂々とした足取りで、美青年が現れた。
『続いて!その剛槍は龍が如く!圧倒的な槍技で勝ち上がってきた武を極めし男!!人類最強種、龍人のチカラに疑いはない!!「龍槍」リシ・ヨブニータ!!!』
反対の入場口から、こちらも堂々とした様子で、剛槍を担いだ龍人の男が現れた。
双方、構えはない。石舞台の上で、間合いを取って向き合っている。
「粗々しいチカラだな、小僧」
「ふむ?随分な物言いだな、おっさん」
「……いつ、暴走してもおかしくなかろう」
「……。今日明日のことではないさ」
リシの言葉に、目を閉じて答えるジャック。
「自分を正しく、理解することだ」
「ご忠告痛み入る」
両者は、既に臨戦の構えを取った。
『泣けど、笑えど、最後の試合!一瞬たりとて見逃すな!!魔剣大会、決勝戦開始ぃ!!!』
「「「「「ウォォォォオオオオ!!!」」」」」
先に動いたのは、ジャックだった。左手の指を弾けば、轟く爆発。
牽制であり、挨拶の無詠唱。
「効かんなぁ!」
当然、そんなモノに怯むリシではない。爆発を突っ切って、ジャックに迫る。
「ぬん!」
剛槍が右手から薙ぎ払われる。ジャックは、それを後退して、躱した。そのはずだった。
「うおっ!?」
間合いの外であった。しかし、風圧に押されたかのように、体勢を崩すことになった。
「せい!!」
そこに、容赦なく、突きが放たれた。
ガキィン!
夜刀姫によって、払われた剛槍がそのまま一回転して、さらに襲い掛かる。
遠心力の乗ったそれをジャックは、【魔装】でもって迎え撃った。
大きく弾かれたのは、リシの方であり、その隙を突いて、ジャックは懐へと踏み込んだ。
右手へと現れる魔力光。リシの剛槍ばかりか、自身の愛刀の間合いすらも潰して、叩き込まれた魔術。
「そう急ぐな」
「!?」
魔術は発動せず、ジャックの右手は、リシの左手に捉われた。
時空魔術【瞬間移動】
脱出と同時、リシの背後に立つ。魔術発動と同時に振るった夜刀姫はしかし、戦闘勘によって、振るわれたリシの剛槍に弾かれた。
【障壁】によって、追撃を防ぎ、反撃を試みる。
精霊魔術【精霊の輪舞】
魔力の高まりとともに放たれたのは、数多の魔弾。色とりどりの様々な属性が無作為にリシに向かう。
「喝!!」
気合一声。準決勝でも見せたそれは、魔弾に対しても、効果を発揮した。
「時間を稼げば、充分」
占星魔術【太陽の祝福】
強化魔術を行使して、ジャックが力強く踏み込んだ。
リシもまた、それを迎え撃つ。
ガキィン!
刀と槍がぶつかり合う。鍔迫り合いはなく、すぐさま離され、連撃の応酬が繰り広げられる。
戦神に捧げる演武が如く、攻防は一瞬のうちに入れ替わり、終わりの様子が見えない。響き渡る金属音は、一つの音楽のようにも聞こえた。
ぶつかり合うたびに、チカラは膨れ上がり、やがて、大気を震わせ、観客席を守護する結界をも震わせた。しまいには、地すらも揺らしかねない超常の攻防にも終わりはある。
唐突に停止した攻防。見れば、驚愕の他はない。ジャックの右手がリシの剛槍を掴み捉えていた。両者、動きはない。動くには、チカラは拮抗している。リシとて、自身の得物を手離したくはない。ジャックにしても、ここで離せば、逆戻りである。
果たして、動いたのは、ジャックが先だった。
魔力操作・派生技術【念動】
念じて動かす魔術の対象は、夜刀姫だった。ジャックの手を離れ、リシに向かって、突き放たれる。こうなれば、最早、剛槍を手離すしかない。
手離して、後ろへ跳躍。夜刀姫の突きを躱す。されど、それを振るうのは不可視の魔手。そこに人間的な挙動はない。勢いよく、背後に抜けるかに思われた夜刀姫はリシの隣で急停止。そのまま、薙ぎが実行される。
「っ!?」
背後には、剛槍を突き出すジャック。前方には、夜刀姫。進退窮まったそこに追い討ち。横合いと上からは、数多の魔弾が襲い掛かる。
「喝!!」
気合一声。魔弾を退け、夜刀姫もまた、弾かれた。よって、前方に駆け、ジャックの刺突の間合いの外へ。
石舞台に転がる夜刀姫を掴もうとすれば、尚も一人でに襲い掛かるそれが、右手を斬った。
「ぐっ!?」
いよいよ打つ手がない。夜刀姫は、一撃入れて満足したかのように、ジャックの元へと舞い戻る。左手に夜刀姫、右手に剛槍。
最後の足掻きに、拳を構える。
ダン!
それは、リシの踏み込みの音であり、剛槍が石舞台に突き立たされた音でもあった。両手で、最上段に構えられた夜刀姫。
抉るように放たれたリシの拳に手応えはなく、自然と位置をずらしたジャックの唐竹割が首に添えられていた。
「負けたか……」
『……こ、今大会の優勝者はぁあ!!「月下の魔剣士」ジャック・ネェェェムレェェエエス!!!!!』
「「「「「ウォォォォオオオオ!!!!」」」」」
最近、ポイントが伸び悩んでおります。どうしたものか?
やっとのことで、魔剣大会が終わりましたね!難産でした。しかも、この辺りのお話は、流れに無理が出ているようなないような?まぁ、好き勝手に書いてますからねぇ……はっ!これが伸び悩んでいる原因!?
多少の無理はご勘弁ください。大筋の繋ぎの物語が、テンプレになるのは、素人としては仕方のないことなんです?そう、ポンポン、オリジナルストーリーが思い浮かんだら、その人は変態です。良い意味で、たぶん。
さてさて、評価、コメントお待ちしております。
ジャック「大丈夫だ。この作者は、打たれ弱い。ガンガン石を投げろ!」
ギャァ、やめてぇ!?!!




