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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第三章 魔剣舞闘会
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本選・第二試合

『続いて、第二試合の選手の入場だあ!!』


 第一試合の興奮冷めやらぬままに、第二試合が始まる。


『まずは!魔術大国は、カルドニア王国で圧倒的な剣技を誇るこの男ぉ!王国騎士団団長、「斬魔」カットラス・ラインハルトォオオ!!』


「「「「「ウォーーーー!!!」」」」」

「「「「「キャーーー!!!」」」」」


 黒髪をオールバックにした渋い壮年男性が現れる。騎士鎧を纏い、その腰に佩かれるのは、異名の由来でもある魔剣グイブルシィ。


『対するのはぁ!本選出場者、唯一の老年魔術師!!未だ現役のへんた……ヴッウン……失礼いたしました。未だ現役の白金級冒険者ぁあ!「轟雷」のボボル・エクレールゥウ!!』


「「「「「クタバレ、ジジィ!!」」」」」

「「「「「死に晒せ、変態!!」」」」」


「ヨホホホ、相変わらずじゃのう」


 観客たちのブーイングをものともせずに、魔術師然とした格好の老爺が舞台へと上がる。


「まぁ、よろしく頼まぁ、爺さん」

「ふむ、どうせ剣士とやるのなら、クズハの嬢ちゃんが良かったのう」

「かははは!俺も剣士対決はしてみたいところだ。だが、これも時の運という奴だ、勘弁しようや」

「やれやれ、魔術師殺しのオマエさんが相手とは、儂も運が悪い」


 カットラスが魔剣グイブルシィを抜き、正眼に構える。ボボルもまた、杖を構えた。


『両者、準備ができたようですね!!それでは、魔剣大会・本選、第二試合開始ぃいい!!』


 司会の開始宣言と同時、動き出したのは、ボボルだった。


「【雷飛槍(サンダー・ジャベリン)】」


 槍を象った数多の雷が、カットラスに殺到した。

 カットラスは動かない。否、動くことに意味はない。ボボルが得意とする雷の魔術の悉くは人類(プライミッツ)には回避不能。事実、それは雷速を再現し、すでにして通り道が作られている。

 避けるという手段を取るならば、発動前に動かなければならなかった。


 通り道として、空気が薄くなっている空間を雷が真っ直ぐに奔る。未だ留まる空気すらも切り裂いて、轟音とともにカットラスに着弾したように見えた。その間、およそ一瞬。


 爆発晴れたそこには、無傷のカットラスが佇んでいた。


「あの程度は、やはり斬られるだけか」


 ボボルに驚きはない。観客たちもその理由は知っている。予選でもあったことだからだ。


「爺さん、挨拶にしても手温いぞ。魔力の動きでバレバレだ」

「やれやれ、腐っても魔術大国の戦力か。剣士が魔力の流れを読むとはのぉ」


 今度は、こちらの番とばかりにカットラスが(きっさき)をボボルに向け、魔剣を握る手を顔の横にして構える。


「いくら速くとも、軌道が分かれば、対処可能。我が魔剣グイブルシィは、魔を斬る魔剣なれば」

「知っておるよ」


 ドン!


 対話は終わり、カットラスの踏み込む音が闘技場に響き渡る。

 ボボルは、風の魔術で移動を補助し、逃げ回りながら、次なる攻撃を放とうとした。だが


「はぁ!」

「!?……危ないのう、年寄りには、もう少し優しくせんかい」


 移動補助魔術の出力を上げ、何とか回避したもののカットラスの袈裟斬りが襲いかかってきた。


「【爆風衝波(ブラスト)】」


 ボボルが杖で床を叩けば、予選にてすべての選手を吹き飛ばした爆風が吹き荒れる。だが


「はぁ!」


 カットラスが魔剣を振るえば、グイブルシィのチカラによって【爆風衝波】は呆気なく斬り裂かれた。


「チッ!こっちは得意ではないんだがのぉ。【城壁創造(クリエイト・ウォール)】」


 発動した魔術はボボルの周囲を囲う壁となって顕現した。その壁は、石舞台の石が隆起して形作られた。


「はぁ!」


 壁を崩さんとカットラスがグイブルシィを振るう。だが


「な!?」


 魔術で形成されたはずの壁は、魔を斬る魔剣の刃を跳ね返した。


「なるほど、錬金魔術(アルケミー)か」

「正解じゃ。しかし、魔術名で判断できんのは、まだまだ未熟と言わざるをえんのぉ」

「くっ……」


 錬金魔術。

 そこにある物質に働きかける魔術であり、それはつまり今、ボボルを守る壁が物理的防御であるということ。石舞台の石よりも硬度があるように思えるが、そこは密度を上げるなりしているのだろう。


 カットラスの魔剣グイブルシィは、あくまで魔を斬る魔剣。精霊魔術(シャーマニズム)で造られた壁ならば、その場にある土などを材料にするとはいえその硬度は魔力依存のため斬ることが叶っただろう。だが、錬金魔術による成果物は、発動後の維持に魔力は使われていない。魔力で再現しているのではなく、魔力で物質を造り替えただけだから。そのため、グイブルシィのチカラで斬ることは叶わない。


「だが、我が剣技が通じぬわけではない」

「ヨホホ、なにその前に儂の魔術を喰らわせてやろう」


「はぁ!」


 己の剣技により壁を砕くために、最も威力の乗る最上段からの一撃を、カットラスは何度も振り下ろす。

 ボボルは、壁を突破される前にカットラスに一撃を当てるため、強大な魔術を詠唱する。


「風と雷を司りし精霊たちの王 雷皇(シルフィード)

 其は自由を尊び されどこの願い聞き届けたまえ」


「はぁ!」


 カットラスの一撃が、壁に(ひび)をいれる。ボボルに焦りはない。静かに詠唱を続ける。


「我が眼前の敵に 其の裁きを」

「はぁ!」


 遂に、壁が砕け散る。既に、魔術は完成している。

 両者の視線が合い、カットラスが踏み込んだ。放たれるは渾身の袈裟斬り。

 ボボルの口が、魔術名を紡ぐ。


「【神鳴の裁きジャッジメント・サンダー】」


 その異名にふさわしき轟雷が鳴り響く。カットラスは、それを斬らなかった。


「なに!?」


 予想外の動きにボボルは硬直。

 雷の轟音を再現する音の攻撃を耐え抜き、王国の剣が振り下ろされた。


「……っ!?」


 老体を斬り裂くかに見えたそれは首筋の辺りで寸止め。明らかに、振り切れば即死の位置だった。


「儂の、負けじゃな」

「あぁ、俺の勝ちだ。……対応するセリフ合ってるか?もう、鼓膜がやられて何も聞こえてないんだが?」


 その様子に老爺は首肯することで答える。


『第二試合勝者、「斬魔」のカットラスゥウ!!!』


「「「「「ウォーーーー!!!!!」」」」」


 観客の様子に、カットラスは魔剣を鞘に納める。

 老爺が握手を求めるのが見えたので、それに応じる。


「「「「「ウォーーーー!!!」」」」」


 再びの歓声。

 握手とともに、老爺の治癒魔術で鼓膜を取り戻したカットラスはそれに応えて、腕を突き上げた。

うーん……どうでしょう?一応、理屈は捏ねることができるのですが……

最後の攻防は、魔剣で魔術を防いだ隙に二射目を放つというもので、それ予想してカットラスは耐え抜いたという理屈と

音による攻撃は正面だけを切り裂いても横や上からも伝達されて、威力が多少落ちるものの効果があり、結局、ニ射目を放たれるという理屈です


作者としてもなんか足りない感じがしますが、あと実際の物理現象の矛盾?もあるような……まぁ、矛盾は魔術だから概念補強されてるとかで誤魔化せますが(笑)


ちなみに、いまいち【神鳴の裁き】がパッとしませんが、轟音で気絶させる魔術です!本来は……

うん、カットラスさん、耐久性高いね!


普通の剣でも魔術は斬れるだろという意見があるかもですが、普通の剣でも斬れるっちゃ斬れます。

しかし、魔剣グイブルシィの場合は、魔術を構成する魔力を斬っており、物理的に斬れないものも魔力の塊なら斬れる所に違いがあったりします。あと、魔力に影響を受けた魔化物たちにも効果は抜群だ!だったりします。

あと、あくまで切り裂いているのであって、斬り消しているのではありません。そのため、爆発しますし、カットラスの後方で二つに斬り裂かれたビームが炸裂したりします。カットラスの背後は安全圏ですが、カットラスの後方すべての範囲が安全圏な訳ではないんです。イメージできましたか?


まぁ、こんな感じでカットラスの魔剣は設定が固まりきっていないので、後書きで説明してみました。本文に書くとぐだぐだしますし……


表現が難しいぜ!戦闘シーンって書きにくいんだよなぁ……


ではでは、生暖かい目で応援よろしくお願いしま〜す

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