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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第三章 魔剣舞闘会
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団欒

 その後、怒鳴り疲れたシュテンが、切り上げる事でいがみ合いは終わった。なお、ヤタカはそれでも続けようとしたので、シュテンの糸に雁字搦めにされた。口も塞がれている。


「では、あちきは、このアホを置いてくる」


 そう言って、シュテンはヤタカを蜘蛛の背に乗せて、去っていった。

 モゴモゴと言っているヤタカは、タランチュラに捕獲された小鳥のようだった。


 ……。


 城の全体をザッと見て回ったが、その内装は、地下に関して言えば、俺の知る通りであった。ただ、地上部分の主に、亜人(デミ・ヒューマ)たちの居住スペースが追加されただけのようだ。


 エリーさんとカーラの私室を、空き部屋の中から選び、今日のところはイジネも、こちらで過ごすようなので、客間にする部屋を取り急ぎ決定した。と言うより、イジネの好みに合わせた。


 皆で固まっている必要は消えたので、現在、各々が好きに過ごしている。

 俺は私室で本を読んでおり、側にはドラが控えている。セイとヤトは、ララとともに狩りに行き、ギラは俺が任せている()()の監視だ。

 イジネたちは、確かシュテンやヤタカの元に向かったはずであった。


「……」

「……」


 時折、俺が本のページをめくる音だけが部屋に響き、互いに無言だった。だが、ドラの視線はずっと俺に固定されており、瞬きもしない。


「……」

「……」


 無言は数十分、維持されただろうか。そろそろ、無視をするのも、心情として難しくなってきた。


「……ドラ」

「はい、我が君!何でしょうか!?」


 言葉を掛けられるのを待ち望んでいたのか、ものすっごく前のめりだった。

 ドウドウと宥めながら、言葉を続ける。


「お前、他に用事はないのか?俺は読書を続けるから、いなくとも構わないのだが」

「いえ、お気になさらず。我が君の望みを迅速に叶える事こそ、最優先ですので」


 暗に去れと言ったのだが、伝わらなかったようだ。コイツに余計な気遣いは不要か?いやいや、流石に直截的に言えば、コイツは沈鬱になって自殺しかねない。何か、用事をつくってやるべきか……。


 ……用事、ねぇ。ないな、うん。


 俺は極力、無視することにして、読書を続けようと試みることにした。


 ……。


 城と言うだけあって、中々の広さを誇る、地上部分に造られていた食堂。流石に、全員は無理なので、亜人たちには、それぞれの家族で食事をしてもらうことにして、今ここにいるのは、俺、セイ、ヤト、カーラ、エリーさん、イジネ、シュテン、ヤタカの八人。八人?セイは一匹か?まぁ、良いや。


 ギラは監視したままだが、ドラとララが一応の給仕をしていた。なお、調理はエリーさんとシュテンを中心としたメンバーが行った。


「父様!今日はね、こんなに大っきな鳥さんを斬ったの!!」


 無邪気に語るヤトだが、言っていることは物騒だ。まぁ、正体は刀なので当然だが。


「そうか、どうだったんだ?」

「あのね、眼がピカーって光って、ララが石になりそうだったんだけど、セイのチカラでそれを防いで!それでね!ヤトがその鳥さんの首を断ち斬ったの!」


 ララがやられ掛けたのか。微妙に強いなソイツ。まぁ、ララたちは()()()()()だからなぁ。


 その話を聞きながら、食卓に目を向ければ、おそらく、件の鳥のグリルがドンっと置かれていた。他には、ノノの実が籠に入れられて置かれていたり、この辺りに生えた野草の炒め物やスープ、都市で買って亜空(アイテム)()小袋(ポーチ)に入れておいた諸々の食材による料理が所狭しと並んでいた。


 カーラとヤタカが目を輝かせ、涎を垂らさんばかりの表情をしていた。てか、ヤタカよ、鳥肉に忌避感はないのか?まぁ、良い。


「それじゃあ、食べるか。いただきます」

「「「「「「いただきます!!」」」」」」「チッ!」


 俺の挨拶に皆が続き、我先にとカーラとヤタカが食器に手を掛けた。雑に切り分けられた鳥肉がほぼ同時に、口の中に入る。

 ちなみに、挨拶はどうやら、ソロモンによって広まったらしい。もはや、転生者確定である。


「美味しい!」「うまいのじゃあ!」


 カーラとヤタカの叫びほどではないが、他の皆も美味しいと感じたようで、嬉々として次々、頬張っている。

 ちなみに、ヤトも味覚があるし、食事もできる。食べたものは、俺のように魔力に変換されるような機構を取り付けた。


 さて、では俺も一口。ナイフで適当な大きさに切り分けた鳥肉を口に含む。まず、感じられたのは香辛料のピリリとした刺激。噛めば、淡白なことの多い鳥肉とは思えないほどの肉汁が溢れ出したが、その脂はしつこくなく、淡白な甘さをもっていた。噛んだ後は、舌と口蓋で挟むだけでホロホロと解けるほどの繊維をした柔らかい肉質でありながら、はっきりと肉であることを伝える弾力があった。


 うん、美味い。


 エリーさんとシュテンは時折、談笑していたが、それ以外の者は俺も含めて、食事に集中したままになるのだった。

 リアル諸事情のため、二月の更新はないかもしれません。

 なお、速ければ、二月後半に再開できます。


「これのせいで、更新を止めるなよ〜」


 勿論です。次の展開に必要な登場人物の設定は、一応、考えたのでこれを出さずしては終われません!


記載:1/31・令和二年

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