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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第四章 勇者と神子と神匠と
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猛女vs吸血龍騎 その一

「ハァ……ハァ……ハァ……」


「ジャック、マサミチは限界だ。休息しよう」


「そうみたいだな」


 イジネの提案に頷き、魔力を練り上げる。


 神聖魔術(サクラメント)聖域(サンクチュアリ)


 魔術結界が展開され、辺りを仮の安全地帯にする。


「マサミチ!だらしないわよ!しっかりしなさい!」

「チッチッ!」


 イルとセイの言葉に、応えようとするもマサミチは息を整えるので、精一杯のようだった。


 『バベル』へと挑んで数刻。俺たちは、一階層、二階層と順調に突破し、現在は三階層の半ばといったところ。しかし、当初の勢いはマサミチの疲労で衰えていた。


 マサミチの疲労の原因は、魔力の浪費だった。『バベル』に出現する魔像(ゴレム)系の魔化物(モンスター)はその体を、石や鉄などの鉱物で構成するため、急所を狙うという戦い方ができない。そのため、自ずと【魔装(アームズ)】を多用することとなり、未だ実戦慣れしていないマサミチはペース配分を誤ることとなった。


魔水薬(マナ・ポーション)だ、飲め」


 俺は、薄紫色の液体で満たされた小瓶を、マサミチに押し付けた。マサミチは、躊躇いなく、それを飲み干す。

 ちなみに、魔水薬は形容し難い不味さで有名だ。マサミチも最初は吐き戻していたが、数度の使用のためか、慣れたようだ。


「うっ……」


 まぁ、呻き声を漏らす程度には、味覚は正常なままだ。


「ありがとうございます、ジャックさん。そして、すいません、僕のせいで……」

「それを言うな。おまえは本来なら、無関係な人間なんだ。……それに、これは仕事だ、おまえに合わせた行動をすべきだ」

「……はい、ありがとうございます。でも、チカラがあるのは、僕ですから」


 マサミチの瞳に見えるのは、果たして、覚悟の炎なのだろうか?

 最初の印象は、気弱な少年だった。青臭い正義感か、英雄願望か、何が彼を突き動かしたのか、しかし、少年は戦うことに躊躇いはなかった。話を聞く限り、彼は平和な争いの無い世界で生きていたはずなのに。

 勇者である以上は戦ってもらう。好都合だ。たとえ、その意志が偽りだったとしても、破綻しなければ問題はない。だが、いや、俺には関係の無いことだ。


「偵察に行って来る。俺が戻ったら、出発だ」

「はい」「わかった」「行ってらっしゃ〜い」


 イジネたちの返事を背に受けながら、俺は【聖域】の外に出た。


 ?


 一瞬の違和感。だが、それを確かめることはできなかった。

 俺は気を引き締め直して、『バベル』の通路に足を進めた。


 ……


「でぇりゃあ!!」

「ぐっ……!?」


 アトリンテの斧槍(ハルバード)の振り下ろしを、両腕の爪甲を交差させて受けたダロガだったが、あまりの威力に呻くこととなった。


「どうした?龍人ってのは、総じて戦闘狂(バトルジャンキー)じゃねぇのかよ、あぁ?」

「っ舐めるな!!」


 アトリンテの挑発に応えるように、ダロガは斧槍を弾き返す。追撃は仕掛けず、バックステップを踏み、尻尾で床を叩きながら、高く跳躍した。吸血鬼(ヴァンパイア)としての飛膜を広げ、アトリンテへと飛び掛かる。それは、あたかも銃身から放たれた弾丸のように、螺旋回転しながら真紅の爪甲で敵を穿たんと迫る。


「ふっ、かっ飛ばしてやんよ!!」


 アトリンテは斧槍の分厚い斧刃で防ぐのではなく、あろうことか、バッティングの構えをみせる。


 やがて、二人が交差した時、ギャリギャリといった金属同士が高速で擦れ合う音が響き、次の瞬間。


 ドッバァァアン!!?!


 ダロガが吹き飛び、協会総本部の建物の一部を盛大に破壊した。


会長(グランドマスター)!修理費をどうするおつもりですかぁ!!」


 秘書のような役割の職員の悲鳴にも似た叫びが響き渡った。


 しかし、瓦礫を押し除けて、ダロガが立ち上がる。その姿は無傷。だが、不死者(アンデッド)なのだから、そこに驚きはない。

 アトリンテは油断なく、また、動揺もなく、得物を構え直した。


「どうした蜥蜴野郎?もう、終わりか?」


 アトリンテは挑発の言葉を投げ掛けるも、ダロガに動きはない。立ち上がった彼は、静かに佇み、()()()()()()()()()()


「……!」


 あまり、魔力的才能のなかったアトリンテは気づくのに遅れた。また、ダロガの技量は高く、その場に残っている魔力的才能に優れた冒険者たちも気づけなかった。


「結界を張れ!!今すぐだぁ!!!」


 アトリンテの叫びに、すぐさま反応する冒険者たち。

 その様子を確認することなく、アトリンテはダロガとの間合いを詰める。


「【惨劇嵐(ブラッド・テンペスト)】!」


 アトリンテの斧槍が届くかに思えたその時、膨大な魔力が込められた吸血鬼の魔法が解き放たれた。

 今回を持ちまして、今作は百話目に到達しました。やったね!

 えっ、もう四話過ぎてる?よく思い出してくださいね、今作には登場人物紹介と登場神秘紹介という設定暴露回が四つあったでしょ?はい、だから、これがお話としては百話目で間違いないのです!やっふー!


 気の向くままに書いていたら、執筆するかどうかもわからない第二部の伏線を入れる羽目になりました。ご了承ください。どこかは、言わなくてもわかるよね!うん、まぁ、気にしないでください。作者は、わりとテキトーな人間なんです。のほほんと生きてるタイプなんです。

 この前、性格診断で、モリアーティ教授みたいな計画型の人間って結果出たのになぁ、なんでだろうなぁ〜


 それでは、皆様、ぜひとも我が作品の完結までお付き合いいただきたく願います。えぇ、物語とは、どれほど稚拙であっても読み物には違いなく、されば、読者がいてこそのモノなれば。


 具体的に言うと、コメ……


セイ「チッ?」

ジャック「食べるな、腹壊すぞ」

「チッ」

「ほら、これやるから」

「チッチッ!」


イジネ「また、おまえたちは……ハァ……まぁ、なんだ、うん。応援よろしくお願いする」

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