表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第四章 勇者と神子と神匠と
103/139

足を踏み出した

 軽い金属音を響かせて、片方の武器が宙を舞った。物悲しげに無機質な音を鳴らして、地面に墜落する。


「まだ、やるか?」

「いえ、ありがとうございました」

「おうよ。こっちも楽しかったぜ」


 アトリンテとイジネの試合は、アトリンテの勝利に終わった。

 評価としては、イジネは白金級に納まることとなる。


 ……


「ほら、こいつが挑戦許可証だ。で、こっちが神鉄(オリハルコン)の会員証だよ」


 会長室なるものに移動し、早速、用事のある物を受け取った。


「『バベル』の情報はあるか?」

「さて、ここ何年も挑戦者は現れていなかったからなぁ。古いのばっかだ。アタシは、迷宮よりも強敵を追っかける派で、中に入ったことはないしなぁ」


 なにやら、そのまま昔語りが始まってしまった。しかし、そばに控えていた受付嬢、いや、秘書だな。秘書さんが、資料を持って来てくれた。

 アトリンテについては、マサミチたちに任せて、俺は資料に目を通す。


 ふむ……大半が魔像(ゴレム)系。罠の類は、仕掛け矢、槍、落とし穴、鉄球などなど、まぁ、定番と言えば、定番なところ、か。


 秘書さんの淹れてくれたお茶を飲みつつ、ゆっくりと情報を整理した。


 ……


 翌日。アトリンテが、というか、秘書さんが手配した宿の一室で目が覚めた。

 隣のマサミチを叩き起こし、朝の鍛錬をやらせる。途中、アトリンテも参加して来て、マサミチには地獄だったろう。


 備え付けのシャワールームで、汗を流し、イジネたちと合流。朝食を終え、協会の方へと向かう。


 協会の建物は、それ自体が『バベル』への関所であり、この中の奥に『バベル』の入り口があった。


 厳重に封をされた鉄扉の先、天使の姿が彫られた石製の門扉がこちらを見下ろす。


「おぉぉ……」

「……」


 マサミチとイジネが圧倒されたように、半歩下がる。セイはイルに抱かれて眠っていた。


「行くぞ、気を引き締めろ」

「は、はい!」


 マサミチの様子を観察しながら、俺たちは世界最大の迷宮『バベル』に足を踏み入れた。


 ……


 ジャックたちが、『バベル』に足を踏み入れてから少し。

 アトリンテは、自身の本能がなんらかの気配を感じ取ったのがわかった。


 すぐさま、斧槍を持って、一階へと駆け下りた。


会長(グランドマスター)、どうされました?」


 ちょうど近くにいた職員が問い掛けた。だが、それに答える間はなかった。


 受付の机を跳び越え、スイングドアから姿の霞む速度で侵入した狼藉者を迎え撃った。


 ギッイィン!!


 辺り一帯に響く激しい金属の衝突音。屯していた冒険者たちが瞬時に、戦闘態勢を整える。すでに、等級の低い者は、職員の避難を誘導し始めていた。


 ここは冒険者協会総本部。一番弱い者で、金級なのだから、荒事には慣れているし、今回のような切迫した雰囲気もまた、大なり小なり経験済みだ。


 内心、その様子に笑みを浮かべたい衝動を抑え、アトリンテは狼藉者に鋭い目を向ける。


 龍人だ。だが、その瞳は紅く輝き、否応なしにその正体を悟らせる。


「テメェ!吸血鬼(ヴァンパイア)だな!!昼間から出て来てんじゃねぇ!」


 咆哮しながら、アトリンテは斧槍を振り切った。相手は特に抵抗なく、吹き飛ぶ、否、僅かに浮遊した。ゆっくりと着地して、目深に被っていたフードを外した。


「『猛女(アマゾネス)』アトリンテか、いつもならば、じっくりと相手をできるのだが、今回は命令優先だ。押し通る」

「へっ!アタシに勝とうなんざ、百年ほど早いな!若造!」

吸血龍騎ヴァンパイア・ドラグーンダロガ、参る」


 両腕に真紅の爪甲を嵌めた男が動く。


 それに合わせて、当然、アトリンテも足を踏み出した。


 注目は当然、彼らの戦いに集まり、『バベル』へと続く扉を潜った影には誰も気づくことはなかった。

 改めて、宣言します。私の作品は不定期更新です。(キリッ)


 次からは、何時に投稿されるか、も不定期だと思ってください、はい。


 まぁ、ちょっとリアルの方に集中すべきことがありまして。


 未だ、コロナが治まる様子はありませんが、皆さん体調にお気をつけてお過ごし下さい。

 私は、体力が手遅れです。外出たくねぇ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ