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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第四章 勇者と神子と神匠と
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柔よく剛を制す

 場所は移り、冒険者協会総本部の地下修練場。


 ほとんど闘技場のような様子を見せるそこで向き合う俺とアトリンテ。


「おい!展開しろ!」


 アトリンテの呼び掛けに応じて、魔力の動きを感じる。やがて、俺たちを囲う一つの魔術。


「【隔離空間アイソレート・スペース】か」

「そう言うこった。それじゃあ、思いっきしやろうぜ」


 獰猛な獣の笑みを浮かべ、アトリンテが黒光りする自身の得物を握る。

 それは、長柄武器(ポールウェポン)の中でも癖の強い重量級の武装。刺突槍をベースに、さらなる刃を付加した一種のロマン。生半可な者は、振るうことは愚か、持つことすら困難なそれを彼女は軽々と振り回して準備運動とする。


「どりゃあ!」


 合図などない。彼女は、力強い踏み込みで踏み固められた土を割り砕きながら、猛進する。


 俺は、それを上段に構えた夜刀姫(ヤトノヒメ)で迎えた。


 すぐに、彼女の間合いへと入った。間髪入れずの一撃が豪快に薙ぎ払われる。


「ずりゃあ!!」


 戦斧ですらもう少し小さいだろうに、彼女はそれを小枝ように振るうのだ。


 斧槍(ハルバード)


 三種の刃を持つそれの、一先ずは斧刃の剛撃が襲い掛かる。


 キィン!


「はっ!その小刀でよくやるぜ!」

『ヤトは小刀じゃない』


 俺は、薙ぎ払いに合わせ、夜刀姫を振り下ろした。


 結果、双方、力負けすることはなく、幾分か奇妙に見える様子となった。


 縦と横の攻撃が競り合っている。


「でぇりゃぁあ!!」


 押し除けるような振り上げに合わせ、俺はバックステップを踏んだ。


 同時、互いが互いに間合いを詰めた。


 アトリンテは、露出したその腕の筋肉を限界まで引き絞り、刺突の構えを見せる。

 一方の俺は、刀身を後ろに流した脇構え。


「ぼらぁあ!」


 やはり豪快な刺突が容赦の欠片もなく、俺の心臓を狙い打つ。


 ドッ……ゴォン!!


 衝撃波でも通り抜けたか、背後で爆音が響いた。


 俺は刺突を紙一重に躱して、アトリンテの懐に潜り込む。

 刀は撫で斬るなどという芸当がまかり通る。本来の間合いとは異なるが、俺は夜刀姫を斬り上げた。


 ガキン!


 アトリンテの腹部を斬り裂くかに思われた一閃は、彼女が身を屈めたことで阻まれた。唯一、彼女が身に纏う防具。紅の装甲が受け止めたのだ。


 しかし


「うっお!?」


 俺の人外の膂力が反撃を許さず、アトリンテを弾き飛ばした。

 すかさず、魔術を行使する。


 精霊魔術(シャーマニズム)爆炎球(ブラスト・スフィア)


 真っ赤に滾る火の球が、数個ほど展開され、大砲と同等かそれ以上の速度でアトリンテに踊り掛かる。


「なん、のぉ!!」


 豪快に振るわれる斧槍が【爆炎球】を捉える。しかし、その名が示す通り、そのような対処では不完全だ。


 バッ……ゴォン!


 斧槍に捉われた火の球から連鎖的に、【爆炎球】が爆発した。立ち上る煙が、その結果を覆い隠す。


 ゴォオオ!!


 振り回された斧槍の起こす風圧が煙をカチ割りながら、猛進する。

 現れたのは、ほとんど無傷と言って差し支えないアトリンテ。


「楽しいねぇ!もう一段階上げていくよぉおお!」


 一瞬、アトリンテの動きが止まったように見えた。だが、それは錯覚だ。あまりの速さに、脳の処理が、普通の人間ならば、追いつかなかっただろう。


 夜刀姫を振るえば


 キィン!


 すでにそこにいたアトリンテの斧槍とぶつかり合った。


「見えてるねぇ」


 舌舐めずりをしながら、アトリンテがさらに口角を吊り上げる。


「ディやぁあ!」


 夜刀姫とかち合ったまま、斧槍を引き下ろすアトリンテ。


 ガッ……ァアン!!


 斧槍、第三の刃。斧刃とは反対側に取り付けられた鎌刃が夜刀姫に引っかかり、地面に叩きつけられようとする。

 俺は夜刀姫を握る腕を引くことでスルリと逃げ出した。


 ドッ……バァアン!


 引っかかりをなくした斧槍は止まることなく、地面を砕く。その破片は四方八方に吹き飛んだ。

 それを嫌って、俺は上に跳んだ。


「空に逃げ場はないよ!」


 そう言って、間合いの外から振るわれるアトリンテの斧槍。しかし、それは確かな衝撃波を引き起こし、その刃を我が身へと届かせることを可能とする。


 魔力操作(マナ・コントロール)障壁(ウォール)


 薄紫の壁を俺の足元に展開して、足場とする。すぐさま、それを蹴って離脱。衝撃波は虚しくも【障壁】を叩くに終わった。


 真っ逆さまの体勢で、足元にもう一つ【障壁】を展開。それを蹴って、アトリンテの背後に降り立った。


 アトリンテは斧槍を地面に突き刺した。


「あぁあ、アタシの負けだ」

「なんだ、もう終わりか?」

「馬鹿言え、さっきので決着だろ。背後に降り立つ時、アタシのうなじを貫けたはずだ」

「さぁな。それで等級は?」

「文句なしの神鉄級だよ。おめでとよ、現在まで、現役の神鉄級はいなかった。つまり、オマエが今、唯一の神鉄級冒険者様だ!」


 ダハハハ!!と、アトリンテは豪快に笑った。

イジネ「柔の要素あったか?」


それは言っちゃいけないよ


「ふむ、そうなのか。すまない」


いやいやいや、別に良いよ。うん、はい宣伝よろしく


「ぬっ……その、何というか、まぁ、よろしくお願いする。どうか、私たちの物語が完結するように応援してくれ」


ジャック「何やってんだ、イジネ」


「ジャックか、いやなに、宣伝とやらをな」


「なるほど、じゃあ、取り敢えず、水着でも着てみるか」


「な、何故、そうなる!?」


「宣伝、するんだろ?」


はい、ジャックさん、暴走はやめてねぇ。あの世界で水着を使えるようなところないでしょう?


「それはあんたがどうにかしろ」


いやでーす!閑話に手を出したら、一生、完結しな……うわっ!?


なにするんですか!


「ダメダメ作者の調きょ……ゲフン……もとい教育だ」


いや、殺しにきてますよね?!


イジネ「何やってるんだ、お前たち。まぁ、うん、読者諸君、応援よろしく頼む」

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