第24話 演者一人の復讐劇
強い風が身体を打ち付ける。涼しい訳では無いのだが、これはこれで心地の良い風圧を感じられて、気分はなかなかに上機嫌だ
これからの事を考えると、自然が笑みが溢れそうになってしまうが、なんとか我慢する
「ひぁあああああ!! 」
上空からの眺めは絶景だ。陥落したプレイヤー達の築き上げた拠点。たった数時間で築かれた簡素な建築物、初めて見た時は代り映えのなく、少しだけ。ほんの少しだけつまらないと感じてしまっていたが、こは考えを改めなければならない
「ふぅぁつがああぁぁぁあああ!!! 」
......一帯に広がった複数の人工物が無残に蹂躙された光景。今もあちらこちらで火が煙を上げている。残骸は被害の甚大さを物語り、死者達は皆身体を光り輝かせ消えてゆく
中にはチラチラと残ったままの死体が存在した。どうやら異邦人以外もこの場所に呼び出されていたようだ
いや、もともとここに暮らしていた原住民なのかもしれない。まぁ、生前の死体の姿を想像するには、死体は余りに破損しすぎていたが
「れぃぃいむさあぁぁぁん! た゛ずけぇくだぁぁぁさいいぃぃぃ! 」
「クリン君? さっきからうるさいよ。はしゃぐなとは言わないけど、少し考え事をしているから黙っていてくれないかな? 」
「いやおかしいでしょ! 何でそんなに落ち着いてるんですか! ここ! 空! 高い! 怖い! 」
ますます声を荒げるクリンに、私は鬱陶しさを感じつつ、役者に対しての配慮は必要かと思い直し、丁寧に、丁重に、わざわざ長ったらしい定例文のような答えを答える
「何で落ち着いてるかって、クリンくんがテンション高めなだけじゃないか。それに私もテンション高い時はすごく高いからね? 勝手にダウナー系だと決め付けないで頂きたい」
「なんか訳わからない事言ってるんですけど! でもとりあえずごめんなさい! だから降ろして! 降ろしてください! 」
なんだろうこいつ、落としてやろうか。少しの間考えたが、この高さから落ちてしまえば、自力での飛行手段の無いクリンは死んでしまう。劇の役者をここで削るのは、それも主役を無くしてしまうのはとても惜しい。そもそも復讐が成立せず、物語は破綻してしまう
「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って! 止まって下さいよ! わかりました一回話をしましょう。だから一回降ろして! 」
私達は今、ルーシェストの身体に引っ付く形で大空高くを飛んでいた。私が背中にしがみつき、クリンは左腕で担がれている。ハイドは右腕で掴まれている...と言うか足だけを掴まれて、今にも落下しそうな体制で身体を逆さに、雑に運ばれている
「わかった。わかったから。あと数分もせずに到着するから。だから静かにしてよ」
ぎゃあぎゃあと半泣きのような状態で騒ぐクリンに適当な相槌を打ちつつ、私達はファイヤーバード達の潜伏地点へと向かった
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
荒れた土にデコボコとした岩。不安定な足場に空いた、小さな隙間をファイヤーバード達は住処としているようだった
「さぁクリンくん。好きなタイミングで初めて良いよ」
クリンとハイドをファイヤーバード達の住処の近くに降ろした後、私は少し離れた、見晴らしの良い、高台のような場所に移動し、現在地からクリンとファイヤーバード達の住処の位置を再度確認する
高台と言っても、クリン達からそれほど距離が離れている訳では無いため、クリン達の姿はハッキリと見える
〈はい。わかりました。用意を整えて、開始します〉
片言の言葉が頭の中に直接届く。仕組みは詳しく理解できないが、パーティーやレイド、フレンド同士で使用できるらしい通話機能を使用して、距離を無視した声のやりとりを可能とし、さほど重大では無いが問題の一つであった、万が一、クリンが想定外の事態に陥った場合、的確な指示を行うことが出来ない問題をクリアする事が出来た
しかし本当、メニュー画面のシステムだけでも色々な用途があるんだなぁと強い関心を覚える
ストレージにアイテムを収納し、ステータスから自身を強化、設定から世界の見え方や、スキルの起動ワードの変更等々、チュートリアルではこの世界での常識、生き方までも説明してくれる
どれか一つだけでも、それ自体が独立したスキルとして成立してもおかしくないぐらいの機能を備えている物を親切に一つに纏め、メニュー画面を標準装備として異邦人全員がこの膨大な力を、開始直後から所有しているのは、明らかにこの世界のパワーバランスを乱す事だ
余りにも過保護すぎるのだ。幸いにも、今は異邦人達が自分達の力を正しく認識していないから良いものの、もし誰かが、たった一人でもこの力に気が付いてしまったら。そいつが自身の力に酔い、調子に乗るような馬鹿であったら。考えたくも無い
「ま、あり得ないか」
そもそも力があるとは言えど、世界の人口に比べれば、そこまで高度な発展を遂げていない。死亡要因が多い世界である事を考え、仮にこの世界の総人口が地球の人口の十分の一だとしても、この世界に訪れる異邦人の数なんてたかが知れてる
それにバランスが崩れれば流石に運営も黙ってはいないだろう。テコ入れや、バランス調整を行うはずだ。私が心配する必要は無い
「しっかし、本気になり過ぎちゃってるな」
この世界があまりにも魅力的で、楽しくて楽しすぎて、ついこの世界の終わりを考えてしまった。っと、いけないいけない。何事にも終わりは訪れるからこそ、楽しめる時に楽しまなければならないと言うのに、私とした事が。なんっちって
〈レイムさん。始めます〉
緊張の色が滲んだ、簡素で曖昧な声が聞こえた。どうやら戦闘が始まるらしい
やっとだ。やっと待ち続けた...訳では無いが、楽しみにしていた戦闘が始まる。気分はまるで、ソルト味のポップコーン片手に映画鑑賞でもしているみたいにワクワクしてる
クリンが一言二言、ファイヤーバード達と言葉を交わす様子を見せてすぐ、戦闘が始まった
初劇はクリンの攻撃、クリンが手に何かを持ち、小さく口を動かした直後、クリンの姿が突然見えなくなった。恐らく一時的に姿を隠すアイテムか何かを使用したのだろう。次にクリンの姿が見えたのはファイヤーバードの取り巻きの一人。魔法使いと思われる異邦人の首を後ろから細い棒状の物で貫いている所だった
ファイヤーバード達のパーティー構成は、ファイヤーバードが片手剣と盾を用いた近接職。短剣を二本装備した盗賊のような見た目の奴と、大剣を両手で構える筋肉質の男は多分近接職だ
そして、今死んだのが杖を持った魔法使い。遠距離からのサポートが役割だったのだろうが、既に死んでしまった為、今は考えず、忘れても良いだろう
クリンに対峙している獲物の数が少ない気がしたが、どうやらここに居る4人以外の取り巻きはハイドが相手をしているらしい
40人以上の異邦人達が、ハイドに雑に相手をされている様子が遠目に見える。現時点でハイドを殺せる異邦人なんて数える程しか居ないだろうから、あちらは放置で良いだろう
私は再びクリン達の戦闘風景に目を戻す
「あれっ? えっ、これどうなった? 」
思わず声に出してしまうぐらい。状況は一変していた。ほんの少し前まで居たはずの取り巻きは死んでしまったのか消えており、ファイヤーバードは四肢に細い棒状の...あ、あれ鉛筆か。鉛筆を四肢に突き刺され、身動きが出来ていないようだ
いや、ほんとこれ、なんだこれ
私が状況を理解できていない内に、グリンは半透明に輝く短剣を鞘から引き抜き、ファイヤーバードの首に当て、滑らかにスライドさせ、ファイヤーバードの首を落とした
しまった。私がほんの少し目を離した隙に、クリンの復讐劇が終わってしまった。たかが一回、されど一回だ。これは貴重な一回だったのだ。重要な第一回目の復讐劇だったのに、私はそのたった一度の特別な回を見落としてしまった
原因は自分の不注意だとわかって居るのだが、楽しみにしていた分、凄く悲しいし、やる気も無くなった。イベント終了まではあと十二時間。どうしよう。巻き戻し機能とか無いかな? 無いよね
「レイムさんレイムさん! やりましたよレイムさん!! 」
怠い。最悪だ。気分が悪い。しかしこれは自己責任。クリンに八つ当たりをしてはいけない。私はとりあえず自然な表情を作り、心の底から、共に喜びを分かち合っているかのような声で、嬉しそうに近寄ってくるクリンの相手をする
「凄いじゃないか。もしもの時は助けに入ろうかと思ってたけど...無駄な心配だったかな? っと、それより先ずは、今回の勝利を喜ぶ、宴でも開こうか。まぁ参加者はたったの二人だけど」
クソ、気持ちが切り替えられない。ここまでに、なにか面倒な準備をしてきたと言う訳では無いが、それでも恨めしい。はら、あれだ。他人の金で食うタダ飯は美味しい理論の亜種みたいなものだ
心渦巻く悔しさに似た感情を人当たりの良い、善人そうな笑みで包み隠しながら、私とクリンは紅の騎士団から略奪した拠点へと帰る為、ルージェストとハイドを呼び、家に帰る為にルージェストに[命令]し、行きと同様、空を飛び仮拠点へと帰る
景色を楽しみながら帰ろうかと思ったが、やはりこの自業自得な失敗により持たされた感情はなかなか消えてくれなかった
◆◇◆◇◆◇
「食材は...パンとかしか無いけど」
「あっ、飲み物はまだまだありますよ! 」
あぁ溜息を吐きたい。欠伸を交えればバレないだろうか? 仮拠点へ帰った後も、憂鬱さに似た、無気力とはまた違う感情は、いつまでも留まり続けて居る。しかし今の私にとって、こんな不快感は些細なものだ
なんたってこの後の楽しみがある。これが成功すれば、私のLvは大幅に上昇する事だろう。いや、大幅に上昇する。楽しみだ。いや本当楽しみすぎて口元が不思議と緩んでくるから、演技する手間が省けて好都合
「うん。美味しい」
手に持つパンを一つまみ、口元に運び明るい笑みを浮かべ、咀嚼しながら、私は静かに、イベント終了時刻目前の時間を待ち、大して面白く無い話や、有意義な話。少し笑える話をしながら時間を潰し、時を待った
話の殆どは何処かで聞いたことのあるような、二番煎じの物であったが、面白い話という物は何度聞いても、やはり面白い物のようで
さほど詰まらなくは無い時間を過ごし、時刻を確認すればイベント終了までは残り二十分程。何者かが潜んでいるような気配は無いし、この分なら大丈夫だろう。私は、話疲れたのかすっかりと眠ってしまったクリンを残し、スケルトンからのドロップ品の杖を杖代わりに──いや、確かにそれは杖なのだが──おぼつかない足取りで仮拠点の外に出る
焦げ臭い、火災みたいな苦い香りは、滅びた街とそこに横たわる死体の数々を幻視させた。私は仮拠点の周辺を守護させていたルージェストとハイドを呼び寄せ、待機させる。その二つはスキルを使わずとも威圧的な、異質な存在感を示しており、もし私の支配がレジストされていたかと思うと、ゾッとする
「もう良いや。ルージェスト、ハイド。[命令][命令][命令][命令][命令]」
命令の重ねがけ、詳しい検証はまだ済ませていないが、効果についてはイベント前の自己強化の際に確認済みだ
命令のアーツは難しい行動を指示する為のアーツらしいが、現段階では少し複雑な命令を与える程度の事しか出来ない。それが故の重ねがけ。増幅した命令の効果は、容易に私の望む結果を呼び寄せた
矛盾した命令を下すと、支配の効力が弱まってしまうが、例え支配が解けてしまってもこの二人は意識が存在しない為、動かぬ骸同然の肉袋が二つ出来上がるだけだ
しかし今回はそうはならなかったようで、目の前には瀕死のハイドに、ほぼ無傷の状態のルージェストが次の指示を仰ぐように静止していた
私の予想では、ルージェストが瀕死に...最悪、勢い余って殺されてしまうと思っていたのだが、結果はその真逆だった。しかしこれなら調整がやりやすくて助かる
「よし。ルージェスト[命令][命令]」
ルージェストの行動を禁じる命令を発した所で、魔力...MP切れ特有の頭痛、倦怠感が襲いかかってきた。いやはや恐ろしい。本当の敵は魔力切れだったか
私は腰からMP回復ポーションを取り出し、服用しようとしたが、残念な事にNP回復ポーションは先の戦闘で全て駄目になってしまったらしく、腰に残っていたのはガラスの破片だけだった
しかし、ストレージの中になら、MP回復ポーションの残りはまだいくつかあった筈だ。私はストレージから手早くMP回復ポーションを取り出し服用する
すると溜まっていた疲労感や先程感じた倦怠感は嘘のように消え去り。感覚としてMPが回復した事を認識した。さぁ、続きを始めよう
「ハイド。[命令][命令]ほら、まだ死ぬんじゃない。もう少し頑張っておくれよ」
私が立て続けに命令を下すと、ハイドはゆっくりとその身体を動かし、その身体に埋め込まれた凶器を、無抵抗のルージェストに叩き付ける。一発目は頭に真っ直ぐ入り、ルージェストは怯み、倒れ込みそうになる。次の二発目は横になぎ払い。ルージェストは辛うじて保ててきた体勢を完全に崩し、そこに三発目。多段の突きが雑にヒットする
誰が何処から見ても致命傷の一撃。しかしルージェストはそれを耐え、ハイドの追撃がルージェストの体力を完全に削り切ると思われたが、命令の効力は、思っていたよりちゃんとしていたようで、二人の改造人間は共に活動を停止した
さて、ここからは私が行動する番だ。何をするか。それは勿論決まっている。この二体を、経験値に変換するのだ。なに、この二体は魔物と対して変わらない身体をしているし、多分経験値の足しになってくれる事だろう
このまま、この二体を生かしたまま運用した方が良いのではないかと、考えもしたが、ここが何処なのか分からない以上、どちらにせよこの二体を一時的に放置しなくてはならない事になる。しかもいつ回収できるかも分からない。だったら、もう殺してしまった方が楽だろう。いちいち気にしなくて良いし、手間も省ける
しかし問題は私のステータスでこの二体の防御力を貫通できるかと言う事である。ハイドの防御力であれば、私でもなんとか攻撃を通すことは出来るが、ルージェストの全体的に高いステータスを前にすると私の攻撃なんて弱すぎて話にならない。しかしルージェストは異常状態に非常に弱い。つまり私の終末を翳す手で十分対応可能だ
「あまり時間は無いし、手早く済まそうか。二人とも、今まで...と言っても一日と少しだけど、ご苦労様。扱いやすくて役に立ったよ【身体強化魔法】」
動作をなるべく簡略化し、短い時間で処理を済ませようと小さな目標を立てて、私は右手にメスを構え、静止したハイドに近付き[スラッシュエッジ]を発動。ATKを二倍にし、喉をめがけて刃を滑らせる
切り裂かれ、開いた傷口からは汚染されたように毒々しい体流れ落ちている。即座に鑑定してみたい欲に駆られたが、今すべきはこの二体の処理だ
ハイドの死体をストレージに収納し、そのまま歩みを止めずメスにこびり付いた体液を、先程食したパンの包み紙で拭き取りながら、これまた静止したルージェストの元へと向かう
「いてっ。あちゃぁ...溶けてる」
どうやらあの毒々しい体液には物を溶かす効果もあるようで、包み紙はちりぢりに溶けてしまい、刃の部分も板ガムのように曲がってしまった。それに包み紙を持っていた方の手の指にも被害が及んでいる。ちょっと綺麗にしようと思っただけでこの大惨事だ
幸いにも持ち手の部分は無事なので、刃を付け替えれば今まで通りに使えるが、これからもこのような事が起こるのであれば武器の更新も必要になる。おっと危ない、今はそれよりも早くルージェストの処理を済ませなければ
「【竜化+1】【終末を翳す手】さて、これで終わりだ。[スラッグ+1][連発]」
腕を竜の物に作り替え、皮膚を硬化させ爪を鋭く尖らせ、右腕に張り付く竜の鱗、それを不吉な終わりを感じさせるドス黒さで染め上げ、黒い瘴気を纏わせる。これで準備は整った
威力を上昇した単発の一撃がルージェストの身体と接触した瞬間、黒く変色した右腕から溢れる瘴気が、ルージェストの身体に染みついて行く。肉は瞬時に腐り落ち、骨も脆くなったのかその後の連撃により、全身は元が人間であったと想像し辛いぐらいに崩れてしまった。これだけ見たらアンデット、ゾンビだと言われてもそのまま鵜呑みにしてしまいそうだ
後は放置しておけば、ルージェストは毒で死ぬ。折角なので、毒でゆっくりと衰弱してゆく様を見守ろうと思い、私は地面に座り込みルージェストの事を観察する
「思ったより腐るスピードが速いな。困ったな、これじゃ参考にならないじゃないか」
現実でこれほど強力な毒物を入手する事はとても困難だろうし、そもそも扱えたもんじゃない。私は右腕を振り上げ、[スラッグ+1]を発動させ、顔だった物を思い切り殴る。顔だった物はその中心に大きな穴を開け、ねちょっとした、粘着質な感覚が腕に纏わり付いた
「うへぇ...これ洗ったら落ちるかなぁ......」
多少の気持ち悪さを感じつつも、私は大半が腐り崩れた死体を回収し、そのまま仮拠点に戻る。腕にこびり付いた粘着物は竜化を解除すると、同時に消え去った
疲れた。ぱぱっと処理を済ませてゆっくりしようと思っていたのだが、まさかこんなに疲れるとは。無抵抗の相手を殺傷するのも意外と大変らしい
ベットに身体を投げ出しながら、私はステータスを確認し、獲得したSPを割り振りながら、イベント終了までの残りの時間を過ごした
◆◇◆◇◆
ステータスの更新を終え、ゆったりとイベント終了の時を待っていると、何の前触れも無く、突然意識が遠くなる。なんだなんだと身体に力を込めようとしても、どうにも身体は動かない
意識が徐々に失われてゆく。感覚が消えてゆき、まるで幽体離脱でもしているかのように肉体から引き剥がされる感覚がした
意識が戻ると、そこは前に死亡した時、ペナルティとしてログイン不可の状態になっていた時に訪れた、待機部屋だった
〈第一回公式イベント、眠れる魔獣と荒廃の大地。攻略お疲れ様でした。遊戯をお楽しみの最中に大変申し訳ないのですが、これより時間加速装置と転移システム、空間と座標、隔離エリアと認識阻害の解除。その他の各種緊急メンテナンスを行う為、強制ログアウトを実行し、これより十二時間のログイン制限を実施いたします。イベントの報酬、緊急メンテナンスの補填はメンテナンス終了後、一ヶ月以内にログインした際にお渡ししますので、忘れずにお受け取り下さい〉
「え? そんな名前のイベントだったの? 私知らないんだけど...もしかして見落としてたのかな? 」
意識を失い、見知らぬ場所に飛ばされた混乱は、運営からのアナウンスによりもたらされた混乱に打ち負かされた。突然意識を失ってしまったのは、どうやら強制ログアウトによる物らしい。ログインは出来ないし、どうしたものか
少し考えた後、何も思い付かなかった私は、ログアウトする前に、既に公開されているらしいランキングの結果を呼び出し、自分の順位を確認する事にした
当初の目的だった上位入賞は、あまり生物を殺せなかった為、厳しいだろうが、それでも中の上ぐらいの順位には入っていてほしいと期待しながら、ワクワク感に身を任せ、自分の順位を確認すると──
「──ぁあ、ふふっ」
【第一回公式イベント】眠れる魔獣と荒廃の大地、ランキング一覧
第一位 15万4002P 八雲潤
種族:人間 職業:生者 総合Lv 22
第二位 1万3020P クロロ
種族:殺人 職業:殺害者 総合Lv120
第三位 4002P レイム
種族:人間 職業:科学者 総合Lv102
──そこには確かに、私の名前が存在した。第三位。ギリギリではあるが、私は目標を達成できていたらしい。自然と笑みが浮かんできた
しかし上の二人はなんだ。桁違いにポイントが高い。大虐殺を行わせた私以上のポイントを稼いでいると言う事は、あの場以外にも獲物となり得る生存者が居たことになる
しかし一帯の建物は軒並み倒壊、生き残りが隠れられる場所なんてそう多くは無い。発見した生存者はみな殺すように命令をしていたし、取りこぼしは存在しない筈なのだ
つまり、あの大規模な集団の建築した拠点と同規模の物が、他の所にも。異邦人の集まりは一カ所に集められた訳では無く、いくつかの場所に分散させられていたと言う事らしい
何故こんな簡単なことがイベント中に気付けなかったのか。少し考えれば、集まっている異邦人の数が少なすぎる事など簡単に気付けた筈なのに
少しの悔しさを感じながら、私はログアウトを実行し、待機部屋を去った
結果、ランキング レイム3位。クリンは12位です
Q、なんでレイムが第三位?
A、ハイドとルージェストの分のポイントが主人公に移行した為




