おかげさまですくすくと成長しました。
この国の貴族は、物心つく頃には家で教育係をつけることになっている。
それは一般教養から魔法の使い方など多岐に渡る。
それ以上のことを学びたい者は、王立学院へと進学する。
王立学院はその名の通り国の最高教育機関であり、様々な専門分野が集まる場所だ。
この学院は平民、貴族関わらずに入学できる場所で、なんと学問を学びたいものだったら年齢は問わなかったりする。
王立学院のことを説明してみたけれど、実は私も婚約者も進学してはいない。
私は家で事足りたし、騎士の家系として剣術や体術は習っていたが王国騎士団団長の父が師だったため毎日のように訓練はあった。
この国の成人年齢は16歳、女性の結婚適齢期は18歳。
そして私の現在の年齢は19歳。
そう婚約者は13年間もいるのに、未だに結婚せずにいる。
私だって結婚しないといけないぐらい理解はしていた。
周りの友人たちは続々結婚しているし、親からは孫の話をされるし。
これで自覚しない者はいないだろう。
だが忘れないで頂きたい。
ものすごく私と婚約者のオリヴァーは仲が悪いということを。
穏やかな昼下がり、我が家の邸宅にて強制お茶会が開かれていた。
特別に作られた庭園内のお茶会で対峙しているのは、私と婚約者である。
強制的にやらされている月一度の二人だけのお茶会は決まって我が家で行われていた。
既に人払いされているお茶会で当然、私たちはしゃべることもなく、ただ黙々と目の前の茶菓子を胃に収めている。
(——ああ、スコーンが美味しい)
手にしたスコーンははさっくりしていてほのかに甘い。
そのスコーンにいちごジャムをつけるとまた格別に美味しく、いくらでも食べられそうだ。
無論食べた分だけ毎日の鍛錬プラス特別メニューを、この後にこなすつもりだ。
特別メニューの内容を頭の中で組み立てていると、1時間半もだんまりしていた目の前の男が急に声をかけてきた。
「…そろそろデートだからもう帰る」
——私がこの男の一番嫌いところはこういうところである。
出会った当初こそ喧嘩をふっかけられただけであったが、いつの間にか女遊びをするようになった。
婚約者がいるのにも関わらず女遊びが激しいため、私はこの男が嫌いだった。
婚約者の最低義務として夜会のエスコートとファーストダンスは引き受けるが、後は他の令嬢方の元へと向かっていく。
帰宅は私を送りもせずに現地解散は当たり前だ。
貴族令嬢に生まれたからには政略結婚は当然の義務だ。
だが、他の女を追いかけている男と人のコンプッレクスを馬鹿にしてくる男は、心底遠慮したい。
とどのつまりこの男なわけだが。
オリヴァーが帰った後、すぐさま王都で出ている女騎士求人募集広告をメイドに部屋から持ってきてもらった。
(恋愛とか結婚とかどうでもいいから、早く女騎士にでもなって、あの男とおさらばしよう…)




