6.解剖
読み取れない記憶の破片が
そこらじゅうに散らばっている
拾っても拾っても
未だにすべてを集めることはできない
冷たい床の感触で目を覚ます
どれくらいの時間が経ったのだろう
朝と夜があと何回私に会いに来れば
静かに息を止められるのだろう
心にもないことを口にするくらいなら
いっそ舌を切り取って
あなたの声が聞けないなら
いっそ鼓膜を破ってしまえばよかった
意味のない機能ばかり
私をただ生かしている
読み取りたくない記憶の破片が
私の体を飾り立てる
はがしてもはがしても
未だにすべてから逃れることはできない
機械音の中で眠れずにいる
どれくらいの時間が経ったのだろう
あの時計の針があと何周したら
静かに息を止められるのだろう
会えない背中を探すくらいなら
いっそ眼をくりぬいて
あなたの匂いを忘れられないなら
いっそ鼻をちぎってしまえばよかった
あなたにつながる機能ばかり
私をただ生かしている
壊してしまったもの
無くしてしまったもの
たくさんたくさんあるの
いつも見失って
いつも逃げて
いつも怖がっていたから
心にもないことを口にするくらいなら
いっそ舌を切り取って
あなたの声が聞けないなら
いっそ鼓膜を破ってしまえばよかった
意味のない機能ばかり
私をただ生かしている
会えない背中を探すくらいなら
いっそ眼をくりぬいて
あなたの匂いを忘れられないなら
いっそ鼻をちぎってしまえばよかった
あなたにつながる機能ばかり
私をただ生かしている