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1-41 即時解決

 ブックマークありがとうございます!


 あのおっさんことバリバーンに連れられて俺たちもまた、ギルドの地上までやってきた。


 ちなみに逮捕とかじゃないぞ?


「でだ。ここまで来てもらった理由はわかるよな?」

「事情聴取ってやつだろ? 早くしてくれるか?」

「おー。理解が早くて助かる」

「……事情聴取って普通一人ずつじゃなかったかしら……」

「君たちが黒だとは全く思ってないんでね。それに建前上は事情聴取だが、実際はただの情報提供よろーって感じだな」


 小部屋で実久と共におっさんと向かい合っているわけだが……このおっさん。わりかしずっと思ってたのだが、顔とかオールバックていう若干厳つい見た目と違って中身は随分と緩いな。


「あたしたちが手に入れた情報はこれで全てよ」


 そう言って実久が早々に出したのはパソコンからデータを移したUSBメモリーだった。


「……ほう。確かここにも旧型だがパソコンがあったな。ちょっくら確認した方がいいか」


 そう言って立ち上がるおっさん。


「俺たちは?」

「……あん? そうだな。とりあえず泊まってる宿屋の名前を教えてくれるか? これの解析にどれくらいかかるかわからねえからな」


 そう言ってUSBメモリーを見せるおっさん。


「解析が終わったら迎えに行く。だから悪ぃがそれまではこの街に留まっててくれ。いいか?」

「わかった」


 おっさんのそれは実際拒否権なんてないんだろうな。

 建前上は拒否権があったとしても、拒否すれば何かしらの理由をつけて捕縛してくるだろう。


 牢屋みたいな部屋の中でジッとしているよりも、街という広い場所でジッとしていたいからな。


 俺が立ち上がると実久もまた立ち上がった。


「実久。悪いけど宿屋の名前教えていてくれ」

「……ミク?」

「へ? あんたは?」

「ちょっと行くとこがあってな。安心しろこの街の中だよ。……行き先をいう必要あるか?」

「ねえな。信用してるさ」

「そうかい。じゃ。よろしくな」

「え、ええ」


 戸惑いの色が結構強く見える実久を置いて俺は取調室(仮)から出た。


 さっきの部屋はこのギルドに二階にあった。


 酒場のような広間のほぼ中央にある巨大な階段を降りているのだが……視線が痛い。


「おい貴様!」


 不愉快極まりない状態の俺に声を掛けた奴に向かって視線を合わせようとするのだが、ん? この声どっかで……。


「……あっ」


 そこに立っていたのは地下に進入する際、たった一人だけ戦ったというか、ボコしたごっついおっさんだった。


「……ふむ」


 改めてそのおっさんを見て見るのだが……おっさんって言葉はこいつにこそ相応しいな。

 バリバーンの方はまだ男だったからな。俺は男だからわからないが、女だったら喜びそうなフォルモンっていうのか? そんな感じの何かを纏っていたからな。


「なんだその目は!」

「は?」


 突然怒りの形相で叫ぶおっさん。いろいろ大丈夫か?


 ああ。そうか。さっきの俺の目ってまるで値踏みしているかのようだったからな。まー、キレるか。


 今すぐにでも襲い掛かってきそうなこの男をどうしようと迷っているのだが……ボコしたらダメだよなー。


「……いや、先に襲われたら正当防衛か?」

(確信犯はだめだと思うよー?)


 この声。ピピカか?

 バリバーンと会ったあたりから姿が消えていたのだが、どうやら俺の中に帰っていたらしい。


 まあ、それしかないか。


 それはともかくとして。ほんとどうしよ。


「貴様! あの時はよくもやってくれたな!」

「……えぇー。それ、俺じゃないんだけどなー」

「問答は無用だ!!」


 憤怒の表情で全力疾走してくるおっさん。


 うわー。めんどくさーい。


 仕方がないのでさっさと気絶させて終わらせようと思うのだが……やっぱマズイか?


 ……問題ないよね!


 おっさんの動きはぶっちゃけ遅い。まあ、雷纏のスピードを体で覚えちまってるからな。そう感じるのも仕方がないだろう。


 自然体で立っていた俺が微かに右腕を動かすと。


「何をしている?」

「ーーっ!」


 階段の上から聞こえた声におっさんは憤怒の表情から一変し、焦った表情になるとキキーっと音を鳴らしつつ急ブレーキを掛けていた。


 俺が後ろに振り返るとそこにはやっぱりというか、バリバーンと実久が立っていた。


「俺は何もしてないぞー」

「俺が止めなかったらどうしてた?」

「一撃で気持ちよく気絶させてやろうかと」

「……はぁー」


 おいこら何故そんなに深い溜め息をつく。その隣で実久も呆れた顔で首をやれやれと振るなよ。


「お前ら! こいつらは元ギルド総本部直属ハンターの命令でここに派遣された者だ。被害を受けた者にはすまねえと思うが、許してくれ」

「ハンターマスター!?」


 おっさんが驚いた表情で俺の顔と実久の顔を交互に見ているのだが……なんだハンターマスターって?


「ハンターマスターっていうのはギルド総本部直属ハンターの通称よ。ギルドに属する者はハンター。彼はそんなハンターの中から選ばれた存在だからハンターマスターよ。わかった?」


 隣までやって来た実久がこっそり教えてくれた。


 なるほど。シンプルだな。


 ともかく、これで面倒な事にはならなくて済むっぽいな。


   ☆ ★ ☆ ★

 

 次回更新は明日です! 本当に!

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