↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/43

1-24 ちっ、胸糞悪りぃ

 三連休ごめんなさいでした!

 ブックマーク評価共にありがとうございます!

「俺、帰還!」

「うるさいわねー。こんな時間までどこ行ってたのよ」


 部屋に戻ってきた俺を迎えたのは不機嫌な面をぶらさげている実久だった。


「何故ここにいる」

「これ」


 実久の部屋は隣のはずだ。俺は部屋を間違えたりしていない。

 にもかかわらず、そこに当然の如く座っている実久に尋ねると、実久は紙束を俺に差し出す。


「もしかしてこれ」

「そっ。ルカさんからの報告書」

「これまた随分と」


 時間的には本人の自己申告通りなのだが、この紙束の分厚さ。これ、一日で終わる量じゃないぞ?


「あたしはもう目通したから確認しといて」


 そう言って俺の隣を通り過ぎる実久。


「作戦会議は明日の早朝だからね。ちゃんと起きてきなさいよ?」

「場所は?」

「そうね。……面倒だからこの部屋でいいかしら?」

「ああ、良いぞ。それなら俺も楽だしな」

「オッケーよ。それじゃあそういう事で」

「おう」


 手を振り合って実久と入り口の前で別れる。


 部屋の奥に進みながら渡された紙束に目を通していくのだが。


「……こりゃまた面倒そうな感じだな」


 あのドS幼女が直々に選んだクエストなのだ。面倒なのは百も承知だが、それにしてもここまでか。


「組織による誘拐、及び、実験か」


 このページにはその実験がなんであるかは書かれていないが、誘拐と結びつくとすれば容易に想像出来る。


 そう。人体実験だ。


 実験の詳細は次のページに書かれていた。


「やっぱり人体実験か……」


 胸糞悪いこの上ない。

 どうやら人間をベースに他の何かを付け加える実験のようだな。


 ここに書いてある一例を抜き出すと、人間プラス虎。

 虎の脚力と爪を併せ持った人間を作ろうとしたらしいが、実験は失敗。


 どうやら人間らしい知性が無くなってしまったらしい。


 野生動物の力強さと人間と知性を併せ持った生物兵器を作ろうとしているのだ。これじゃ意味がない。


 他にもいろいろあるな。


(ん? なんだこれ)


 実験例一覧に目を通していると、ふと俺の目が止まった。


(これは……人間プラス人間?)


 人間に人間を足してなんの意味があるんだ?

 いや、逆に無限の可能性があるかもしれないな。だからこそ試したのか?


 ……いや、違う。


 これは人間プラス人間でも普通のキメラじゃない。


 一つの肉体に複数人の魔力を注ぎ込み、人工的な魔力レベルでの強化実験か。


 結果は。


「……当初は拒絶反応のようなもので内部から炸裂。それがなくとも一定時間の安定後、炸裂よりも大規模な爆発……か」


 この世界での魔力は生き物の心から生まれるらしい。つまり、魔力は心の力なのだろう。

 一人の心には一種類の力しか御する術はないって事か?


 いや、俺はまだまだ魔力について知らなさ過ぎる。研究者でもない俺の推測に意味なんてないか。


 ただ。この資料から嫌でもわかるのは、人間は人間で良い。


 その後も俺は資料を読み進めた。


 書いてある内容のほとんどが読んでいて胸糞悪くなるような、非人道的な実験の数々。


 最後のページにその実験施設がどこにあるのかが書かれていた。


「……テニントギルド本部、地下研究所」


   ☆ ★ ☆ ★


 組織というものはどれだけ元が良かったとしても、規模が大きくなればなるほどに、絶対に闇の部分が生まれる。


 これは誰かが言っていた事だが、それは組織だけではなく、人間もそうだ。


 大人になるにつれて何処かに純粋にはなれない部分が。歪んでいく部位が。闇の心が生まれる。


 どうやらギルドという、この世界で一二を争うであろう規模と知名度を持つ組織の一部にも闇が生まれていたらしい。


 元々は一般市民を化物から助かるための武装集団らしいが、いつの間にか力を求め、法を求め、いつしか人体実験にまで及んでしまったようだ。


 マーレ師匠が知ったら……。いや、あの人は知っていそうだな。

 だからこそ俺たちをここに派遣したのかもしれないな。


 せめて自分の弟子で清算してもらうため。

 関係者の手によって。


「一輝。ちゃんと起きてる?」

「ああ。入っていいぞ」


 ノック音の後に聞こえた実久の声にそう返事をするとガチャリと音を立てて扉が開かれる。


「資料にはちゃんと目通した?」

「ああ。全部読んだぞ」

「……そう」


 おそらく内容を思い出しているのだろう。実久の顔色が悪くなっていた。


「……ショックか?」

「……そうね」


 実久は俺よりもマーレ師匠との関係が深く、長いからな。


 その師匠が属している組織の闇。知りたくない事だったかもしれない。


「けど、あたし思うのよ。きっと師匠は知っていてあたしたちをここに派遣したって」

「奇遇だな。同意見だ」

「……そう」


 少しの間を置いた後、実久は続けた。


「師匠は前から言っていたわ。巨大なものには歪みが生まれるって」


 その言葉はきっと組織だけに限らない。


 大きな何かを手にしたもの、それは金や地位、なんでもいい。


 見に余るそれは何を崩してしまう。歪めてしまう。


「だけどそれは仕方がないことだって」

「……そうかもな」


 人が人と、人類と呼ばれている間は仕方がない事なのだろう。


 それが、俺たち人間の有り様。


「師匠に代わってあたしたちが粛清しないとね」

「そうだな」


 敵さんの基地がどこにあるのかはわかっているのだ。


 作戦なんてものは必要ない。


 あるのは正面突破。


 作戦決行は今晩。


   ☆ ★ ☆ ★

 次回更新は明日です!

 感想や評価、お気に入り登録などよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。