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1-20 名前から受ける印象は逆だな

 ブックマーク評価共にありがとうございます!

 ルカたちと別れ、俺は一人街の中をうろつく事にしていた。

 目的? そんなものはない。


 ルカたちとお茶をールカは完全にご飯だったがーしていた通りは色々な店のある商店街エリアだったらしく、俺はそんな店たちを見て回っていた。


 偶にめちゃくちゃ食欲をそそる匂いがするのだが、いかんせん、金がない。


(実久からいくらか借りてくればよかったな)


 密かに後悔しながらもそのまま商店街を突き進む。


 ふと、俺の視界に一軒の店が見えた。

 他とは少し違う雰囲気を纏っているその店に近付いてみると、違和感が一体なんだったのかがわかった。


(ここ、食べ物屋じゃないな)


 雑貨屋には見えないし、看板には何も書かれていない。

 いや、この感じだと雨風の中ペンキが落ちてしまったのだろう。


 普段なら特に気にしないのだが食べ物の匂いから少し逃げたくなっていた俺はその店の中へと足を踏み入れた。


「あっ」


 扉を開け、中を見た瞬間にここが何の店だったのかがわかった。


「らっしゃい」


 カウンターに座り、新聞らしきものを読んでいた大柄の男が顔を上げて言う。


(なんというか無愛想だな)


 声から歓迎の意は全く感じなかった。だからといって邪険にされている風でもない。

 おそらく不器用なひとなのだろう。


 ここが何の店なのか。それは店内にズラリと並んだそれを見れば一目瞭然だ。


「すみません。ここは武器屋ですか?」

「ああ。そうだ坊主。表に看板があっただろうが」


 無愛想なだけじゃなくて言葉遣いも荒いなー。まあ、このゴッツイ外見でやけに丁寧口調でペコペコとされたら違和感しかないけどな。


「看板。完全に読めなくなってますよ?」

「……なんだと? もっかい言ってみろ」


 明らかな怒気を含んだ声と表情で言う男性。

 前の俺なら怖くなって何も言わなくなっていただろうが今の俺はあのドS幼女のおかげでそういうのには体制がついてるからな。


 ということで。


「客が読めなくなってるって言ってんだよタコ。つうか客相手に殺気放ってんじゃねえよクズ」


 軽く注意するつもりだったのだが俺の口からスラスラと出てくるのはこの男以上に悪いセリフの数々。

 結構イライラ溜まってたのかなー。……って、これやばくね?


「……おい、小僧」


 うわー。さっき以上に濃密な殺気だー。

 というかいつの間に俺は殺気とかそういうのを感じられるようになったんだ?


 おっと、あまりの状況に軽く現実逃避しちまってたな。

 だってこの殺気……マーレ師匠レベルなんだもん。


「がはっはっはっはっ! 気に入ったぞ小僧!」


 突然表情を変えて笑い出した男。


「……頭大丈夫か?」

「がはっはっはっはっ。面白い小僧だな!」


 さっきまであれほど濃密にこの空間を支配していた殺気も消えている。

 もしかして試されていたのか?


「あんたまさか」

「すまんすまん。随分と久しぶりに凄いのが来たからな。つい、どの程度が測ってみたくなった」

「……へぇ。それで? 俺はどの程度なんだ?」

「わからん」

「……はっ?」


 わかったから納得して悪戯をやめたんじゃないのか?


「小僧の底なぞ測れんかった」

「測れない?」


 この男は確実に強い。俺や多分実久でも、戦いにならないほどに。


 それほどの力を持っているであろうこの男が測れない?

 冗談だろ?


「小僧。武器は何を使っている?」

「今のところは素手だな」

「そうか。武器を使った事は?」

「……ちょっとだけ剣を」


 授業で軽く剣道をやったな。まあ、それで剣を使った事があると言っていいのかは甚だ疑問だが、まあ、良し。


「そうか。少し待ってろ」


 よいしょという声と共に立ち上がった後、何やらカウンターの裏にある出入り口から出て行く男。


 少し待った後、何かを持って帰ってきた。


「……それは」

「ここにある刀剣の中で三番目のものだ」

「三番目?」


 何故三番? どうせなら一番が見たいのだが、まあ、それほどの資格はまだ無いって事かね。


「小僧。これは貴様にやる」

「……えっ?」


 聞き間違いか?


「貴様にこの【浅斬(あさぎり)】をやると言っているのだ」

「売ってやるじゃなくてか?」

「そうだ」


 半ば強引に手渡されたその剣を少し鞘から出してみる。細身で諸刃の剣だった。

 そして何より。


「……軽い」

「その剣の名の由来は浅く斬ろうとするだけで深く分断する圧倒的な切れ味からだ」


 浅くが深くになってしまう。それってつまり。


「ジャジャ馬って事か?」

「がはっはっはっ。違いないっ!」

「けどいいのか? 本当に貰っても」

「どうせ一文無しだろう?」

「…………」


 何故わかったし。


「ふっ。その剣を完全に御してみろ。その後もう一度ここに来い。そうすれば小僧の器も計れるようになっているだろう」

「……何だそれ? けどまま、くれるって言うならこれはありがたく貰うよ」


 刃を鞘に戻した後腰に差す。


「それじゃあ。ありがとう」

「ふっ。必ずまた来い。良いな」

「はいはい。それじゃあな、おっさん」

「がはっはっはっ」


 おっさんの笑い声を背中に受けながら俺は武器屋を後にした。


   ☆ ★ ☆ ★


 俺たちが求めている情報はまとまり次第実久のところに運んでもらうようになっている。

 ルカの感じじゃきっと夜になるだろうな。


 ということで、街門の外までやってきました。

 門を出る時に敬礼されたのだが、もしかしてルカと一緒にいたの覚えられてる?


 もしそうだったら帰りはまた並ぶ必要ないかもな。


 外に出てきた理由は単純だ。

 肩慣らし。

 というより練習か?


 良い剣をもらったわけだがこいつは中々のジャジャ馬らしい。

 てことでそれを少しでも制御出来るようにするため街の近くにあった森へとやってきました。


「さて、始めますか」

 次回更新は明日だと良いな!

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